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それでも――。

結局。保健室に向かった明葉は病院送りとなった。

学校で流血沙汰である。当然と言えば当然だった。

別に大したことはなかったのだけど、一応レントゲンとかもとられてお昼頃までかかり。

今日はもう学校行かなくて良いことになった。

一応家にも電話いれたらしいけど当然のように迎えは来ず、明葉一人の帰宅である。

思いもかけず半休。さて、どうするか。

床に座って考える。

……まあ、勉強するんだけど。

それしかすることがないんだけどっ!

過去問集は家に置いてあるから無事だし。

教科書は買い替えなのだろうか……? 手痛い出費である。

ああ、冷静になってみて静かに怒りが湧いてくるな。

やっぱりどこか普通じゃ無かったようだ。

「……もう寝ちゃおうかな」

安静にしろと言われているし、色々あったということで。

明葉はため息をついて起き上がりセーラー服のリボンに手をかけた。

ピーンポーン。

そこで鳴り響くインターホン。

感じるデジャブ。

まさかとは思うが。

…………………光さんか?

一抹の期待を胸にドアを開けると、立っていたのは――

………高橋先生だった。


「なんのご用ですか」

明葉はそう言ってドアを背後で閉めた。

男性教員を自宅に上げる訳にはいかない。今、家には明葉一人しかいないのだ。

いろんな意味で危険である。

「すまなかったッ!」

高橋先生はいきなり頭を下げた。

……まあ、他に心当たりがない以上明葉の薙高受験を漏らしたのはこの人なのだろう。

「天下の往来ですよ。やめてください」

「……すまない」

そう言って高橋先生は頭を上げた。そうしてみると意外に背が高い。百八十後半ぐらいか。

……目立つな。これはちょっとまずくないか?

どうしよう……。

とりあえず、帰ってもらうしかないか……。

「とりあえず、お帰りください。詳しい話は明日ということで」

「そうか、そうだな。突然押し掛けて悪かった」

すまないとまた頭を下げて高橋先生は帰っていった。

家の中に戻った明葉は鍵をかける。もう、誰が来ても開けない覚悟である。

ソファに体を預けて腕を組んだ。考え事である。

果たして高橋教諭。敵か、味方か。

教員。そう教員である。我々生徒とは理を別にする存在。

例えば、遠藤雪菜に何か制裁を加えたいと言ったとして――乗ってくるのかどうか。

あるいは、それでも遠藤雪菜と友達になりたいと言ったとして、乗ってくるのかどうか。

あくまでも向こうさんの目的はクラス内秩序の構築であって、遠藤さんも明葉もその中の一ピースにすぎないことに気を付けなければならない。

向こうには向こうの正義がある。

それは理解しなければならない。

……まあ。

そこまではわかってもじゃあどうすればいいかがわからないからこその賢くないだ。

信じてもらえるだろうか。明葉と雪菜が――「    」なんて。


安部明葉。いじめられっ子。クラスの全員からシカトされ、今日はついに教科書とノートを破壊され病院送りとなった。

遠藤雪菜。いじめっ子。安部明葉へのシカトを主導し、今日はついに教科書とノートを破壊し明葉を病院送りにした。

それでも――。


いじめっ子です。いじめられっ子です。それでも――「   」してはいけませんか?

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