「単刀直入に申しあげましょう」
少し短めです。切りが良いのでこの辺で。
「大変なことになりました」
その男はそう言って切り出した。
魔法鉄鋼王国第一宮廷魔法師江藤蓮である。
明葉を向こうの世界に連れてきた男。
短く切りそろえられた茶色の髪と常に冷静な緑色の目の男。
四月二十六日金曜日。戦争が始まったと伝えられてから初めての召喚。
「そういうわけで時間がありません。手短にいきます」
「戦争は、どうなりました?」
江藤蓮は恐る恐る顔を上げる明葉を憎いくらい冷静に見回して口を開く。
「単刀直入に申しあげましょう」
江藤蓮はその冷静さを崩さない。
「この度の戦争は我々の敗北に終わりました。そして戦勝国神聖王国は勇者仁ノ宮愛の報酬として和平会談での勇者安部明葉と勇者仁ノ宮愛の会見を望んでおります」
「はい?」
「神聖王国の勇者仁ノ宮愛より勇者安部明葉への伝言を預かっております。『女子会しよー☆』だそうです」
江藤蓮は冷静さを崩さない。
いやもうこれは――極寒の目と言っても良いようだった。
「先に召喚したのは我々です。その件に関して一切の責任を負いましょう。しかしこれだけは言わせていただたい」
「そちらの勝手な都合でこちらを振り回すのはやめていただきたい」
――待ち合わせぐらいハチ公前でやれよ。ボケナス。
あくまでも冷静に、冷徹に――江藤蓮は怒っていた。