「……外に出たいって言ったら叶えてくれます?」
章の名前を変更です。「沃野領第七砦」にします
「そういうことなんですか」
「そういうことだ」
前回の報酬により安部明葉は魔法鉄鋼王国王妹になった以上本来は江藤龍ごときが気安く口をきいて良い相手ではないのだが、召喚師だけは別だ。
円滑な召喚と効率的なコスト運用のため召喚師は勇者の召喚に関して最終的な決定権を持つ。
例え国王陛下が命じても、勇者が望んでも、召喚師がgoサインを出さなければ勇者は呼ばれない。
ある意味国王よりも対等なのが勇者と召喚師の関係だ。
「ところで」
「ああ、蓮兄なら今は国王の直属でなんか動いてる」
「いや、そうではなくて」
勇者安部明葉はぐるりと辺りを見回した。
「今回私は何をすればいい?」
四月二十八日日曜日。あの女子会から一夜明けて午後三時。安倍明葉はまたしても召喚されていた。土日の午後3時から6時それが明葉の契約した召喚時間帯である。故に人は違えどいつも通りに安倍明葉は魔法鉄鋼王国先端技術大臣室にいた。
(……幼いな)
龍は内心で呟く。彼女の器は江藤命。龍もよく知る可愛い姪っ子だ。勇者より一つ年上の騎士志望の彼女と比べれば勇者は格段に幼い。
しかし、それを口に出すことはしない。言うようなことでもない。勇者とはそういうものだということぐらい龍も知っていた。
「先日、神聖王国法王陛下より要請がありまして。是非、勇者様とお話がしたいと。再来週の土曜午後三時沃野領第七砦で待つとのことです。いかがされますか?」
「報酬は?」
「お好きなものをお好きなように。着る物はこちらで用意します」
ふうんと、明葉は呟いた。
その眼は窓から外を見ている。
「……外に出たいって言ったら叶えてくれます?」
視線は。
窓の外から離さないまま。
「……前回あんなことがあったばかりですし、それは厳しいかと」
「……では、服を」
つ、と視線を公爵に戻し勇者は言う。
「服?」
「会談の服装、自分で選びたいので」
「叶えましょう。龍君、勇者様を衣装室へ」
「……こちらへ」




