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『そっか、政略結婚ってヤツですね?』

ちょっと短め

六月二十六日。火曜日。午後八時。安部明葉宅

『えー、それであの美少年振っちゃったのー?』

「当たり前です。女性をバカにし過ぎです」

「ま、ちょっとお灸を据えとかないとねー」

スマホをスピーカーモードにしてガールズトークである。

電話の相手は勿論遠藤雪菜。

公演期間中なので学校では会えない。

なので、公演終わりに電話した訳だ。

ちなみに。

仁ノ宮さんはまだ明葉のうちにいる。

昼間は「ピアノを弾きにいく」と言って出かけていたが夕飯ごろになって戻ってきた。

何でも『光が頭下げに来るまで私帰らないから』だそうだ。

『でも、美少年を侍らかすって正直やりすぎじゃあ……』

「ああ、そんなのただの縁談避けでしょ。大した事じゃないわ」

あっさりと仁ノ宮さんは言う。

『縁談避け……?』

「彼女は豊かな農業大国を治める女王なのよ? おまけに美人で独身。男漁りでもして悪名を立てなきゃ求婚者が列を成しているところよ」

『ああ、そう言うこと……。美少年集めてるのは彼女の本意じゃないと』

「バカね。美少年に囲まれて嬉しくない女なんている訳ないでしょう?」

そこは複雑らしい。

「まー趣味と実益の両立ってとこね。あのキモオタも狙ってたからねー」

「キモオタって……」

「法王よ、法王」

ひどい言い様である。

『そっか、政略結婚ってヤツですね?』

「まー、男の考える事なんか似たかよったかだから。二三日中に頭下げてきたら許してあげればー?」

「ですねー」

と、そこで。

チャイムが鳴った。

忍び足でインターホンを覗いてみる。

ブラックスーツ。

シルバーのネクタイピン。

グレイのサングラス。

仁ノ宮光が立っていた。



エルヴィーラさんは引く手数多です。

モッテモテです。

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