第7話【魔導兵器】《前編》
「こざかしい真似を…!!!!!」
アルベルト大将は稲妻を喰らったが一瞬しびれ、動けなくなっただけでたいしてダメージは無いようだ。
「アルベルト大将…行きます…!」
ロストを包む炎が激しくなる。
二人は睨み合い動きを止める。
まずアルベルト大将が仕掛ける。
鉄槌を思いきりロストめがけ振るう。
ロストは上半身を後ろに反らし紙一重で避ける。
そして持っている剣に炎を纏わせる。
そしてそのまま斬りつける。
「そんななまくらで我の鉄槌を破壊出来ると思うのか?」
アルベルト大将が鉄槌で攻撃を防ごうとする…が。
「ただ斬るんじゃない…。
焼き斬るんだよ…!!!」
ロストの爆炎に包まれた剣はアルベルト大将の鉄槌の真ん中をみるみるうちに溶かし、そして…真一文字に焼き斬った。
そしてロストは逆の空いてる手を開く。
身体中の炎がその手に宿る。
ロストは堅く拳を握りしめる。
「ぐっ…!!!!」
アルベルト大将はその太い腕と厚い鎧で攻撃を防ぐ体勢にはいる。
だがロストが放った一撃はアルベルト大将のガードごと巨体を吹き飛ばした。
そのままアルベルト大将は兵舎の壁に激突する。
兵舎の壁は煙と共に崩れた。
「げほっ…」
ロストは血を吐く。
無理をしすぎたか…。
多分肋骨が何本かいかれているだろう。左の拳の骨も多分駄目になった。
体も久々に使った魔法のせいか格所がギシギシと痛む。
煙が薄くなってくる。
その時ロストは自らの目を疑う。
アルベルト大将は立っていた。
ニヤリと笑いながら。
「化け物か…!!」
ロストは思わず呟く。
アルベルトは歩きだす。
ロストは死を覚悟した。
だがアルベルト大将は
「ふははは…!!!
楽しかったぞ…ロスト中将…!」
とロストに告げると
血を吐きその場に倒れた。
勝った。
ロストはアルベルト大将に近付く。
だが足下に無数の矢が刺さる。
「アルベルト大将が倒されるとは予想外でしたが…まあ良いでしょう。」
カトルだ。
ロスト達を裏切りはめた人物。
「今まで隠れていたのか…?
臆病者め…!」
「なんとでも言って下さいロスト中将…おっと今は反逆者のロストでしたっけ」
そう言うとアルベルト大将の巨体をカトルは担ぐ。
「ああ…今まで世話になったお礼に魔導兵器について少しだけ教えてあげますよ。」
カトルは不気味に笑いながらロストに向けて言う。
「今この本拠地にある魔導兵器は失敗作なんですよ。」
「失敗作…?どういう事だ…!?」
「解釈はお任せしますよ。
まあ今回は魔導兵器は貴方達に預けますがいつかアルタイムが総力を挙げて取り返しに行きますよ…!」
そう言い残すとカトルはアルベルト大将を担いだまま闇に消え去った。
どういう事だ?
失敗作?
だが取り戻しにくるだと?
ロストは考え込んだが、
魔導兵器を見てみないとわからない。
ロストの視界の端ではまだ相変わらずガイル将軍が斧を振り回している。
ロストは痛む体に鞭打ちマヒロ達を助けにいく。