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戦場の風  作者: あの人
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第5話##嵐の前の静けさ##

アルン本拠地まであと1・2kmの位置まで行軍した。


「マヒロ!傭兵達に隠れて待機だと伝えてくれ!」


とガイルがマヒロに頼む。


「了解だよ将軍!

ほら野郎共さっさと隠れろ隠れろ!!!」


すぐそばにある森に傭兵達は次々と身を隠す。


「カイル!死ぬなよ!!絶対だからな!!!」


ロックが手を振りながら木の陰から叫んでいる。

その隣でマヒロさんも手を振っている。


「大丈夫だロック!!!お前もヘマするなよ!!!」


と笑いながら叫び返す。


「カイル君ほら行くよ!」


カトルさんが待っててくれている。


急いでカトルさんに駆け寄る。


「カトルさんすいません…」


「謝らなくてもいいのに」


と苦笑しながらカトルは呟く。


「お前ら!気合い入れろよ!!」


とガイル将軍が周りを一喝する。


しばらく進むとアルンの本拠地の正門が見えてくる。


「いよいよですね…」


「ええ…カイル君頑張ろうな!」


正門をくぐり抜け、兵舎らしき建物の前に誰かが立っている。


金髪でオールバックの男だ。


「ロスト中将出迎えご苦労!」


とガイルが金髪の男…ロスト中将に言う。


「ガイル中将こそ行軍お疲れ様です。それにカトル、お前も案内ご苦労様。

カトル、ガイル中将の軍を兵舎に案内してくれ」


「了解しましたロスト中将」


カトルが先頭になり兵舎に入って行く。

兵舎は広く、カトルがカイルを部屋に案内した時にはほとんどの兵が部屋でくつろいでいた。


「カイル君、僕の部屋は隣だからね。

…そうそうガイル中将が後で俺と一緒に部屋に来いって言ってたよ。」 

「カトルさん、わかりました。」


「それじゃ少し俺は寝るよ。

おやすみ」


手を振りながらカトルは部屋に入って行った。


一人になったカイルはしばらく自室で武器を磨く事にした。


長年使い続けてきた武器…長めの刀。

名前も無く誰が造ったのか分からない。

自分と同じだと苦笑する。


カイルは親の顔を知らない。

何故ならカイルは傭兵団に拾われ傭兵団に育てられたからだ。

カイルと言う名前も傭兵達が名付けた。

只カイルは過去を知ろうとしない。

むしろ知らない方が良いと自分に言い聞かせている。


カイルが目を閉じて考え事をしていると、

「カイル君!ガイル中将の所に行くよ!!」と外から声が響く。


刀を鞘にしまい、腰に携える。


「カトルさん、行きましょう。」

とカトルに促す。


しばらく歩くとガイル中将の部屋に着く。

カトルはドアを軽くノックし、

「中将、失礼します。」

と一言言い、ドアを開けて中に入る。カイルもカトルの後に続く。

「おう、来たか。」


ガイルが腕を組みながら椅子に座っていた。

「将軍、ご用件は?」


「うむ。最終確認のために呼んだのだ。」


ガイルは懐から地図を取り出し机上に広げる。


「まず、ワシの軍とカトルで魔導兵器がある建物の反対側で騒ぎを起こす。

カイル、お前はその隙に建物に向かってくれ。

途中に『奴』がいるからそいつと合流して、魔導兵器を奪え。」


「奴?将軍、奴とは?」


将軍はニヤリと笑いながら、

「入って来てくれ。」

と誰かを呼ぶ。


すると全身漆黒の鎧を着込んだ人物…そう彼がドアを開き部屋に入ってくる。


「え…!ロスト中将?」

カイルは驚きの声をあげる。


「ガハハハハ!!驚いたかカイル!!」

とガイル将軍は高らかに笑う。


「カイル君。流石に俺だけじゃ魔導兵器の場所を探るのは無理だよね。」とカトルが言う。


「あー…さっさと説明頼むよ、ガイル中将。」


ロスト中将が髪を撫でながら呟く。


「悪い悪い。

とにかくカイルお前は途中でロストと合流してくれ。」


「そこから先はカイル、俺に着いてきてくれ。」


とロストがカイルを見ながら言う。


「ただ…問題があるのです…」

とカトルが低く唸る様に呟く。


「目的の建物の横に『究極の鉄壁』アルベルト大将の兵舎があるのです…」


アルベルト大将…『十三武神』の一人。


「アルベルトはワシらが引き付ける。

そのために大暴れするからのう。」 

「ところで魔導兵器とはどのような物なのですか?」


カイルが疑問点をぶつける。


「悪いが…よく分からないんだよ。確実なのはそこの地下の奥に魔導兵器があるという事だ」


ロストが答える。


「とにかくカイル、ロストお前らが魔導兵器を運び出したらワシが外にいるマヒロ達に派手に合図を送る。」


ガイル将軍は立掛けてある長い筒を指差しながら言う。


 

「その大筒で合図か…派手になるな…」

ロストが笑いながら呟く。


「マヒロ達が突っ込んできたらワシらはマヒロ達と共に撤退する。

お前らは合図が上がったら魔導兵器と共に戻ってこい。」


「その後はアカツキのラスク砦まで逃げる…と言う訳だ。」


最後にロストが付け足す。


「ラスク砦に着いたら、アカツキ国王の一人息子のあいつが迎えてくれるだろう。」


「あいつか…久々だな…」


ロストが苦笑しながらガイルに呟く。


「将軍…そろそろ日が暮れて来ましたよ…」

カトルが言う。


「よし…行くか…!

カイル!ロスト!死ぬなよ…!」


ガイル将軍はそう強く言うとカトルと共に外に出ていく。


「カイル!先に俺は行くぞ。

また後でな。」


ロスト中将もそう言い残し出ていく。 

作戦決行は夜だ。


カイルは少し自室で休む事にする。


魔導兵器は一体なんなのか…


様々な考えが頭の中で混ざり合う。


そして…作戦決行の時が近付く…

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