表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

其之二


 無意識に攻撃してしまったあの人は無事だっただろうか。直接顔を見たわけじゃないが、あの気は女性のものだった。

 あれから1週間が過ぎたが、あれ以来何の接触もなかった(とはいえ、俺の気を読み取られないように努力してたんだから。あたりまえだが)。

 あの時間に近くにいたというと、ここの生徒か教師の可能性が高い。元狐の俺がいるくらいだから、術者がいないとは言い切れない。しかも、ここは月見里学園。一癖も二癖もある生徒が多いのだ。


 あの女性は許してくれるだろうか。

 俺という存在を。


 「なぁ、伸征(のぶゆき)。女の人ってロマンチスト?」

 たまたま俺の部屋に漫画を読みに来ていた友達に話しかける。伸征は意外そうな表情で俺を見る。

 「何、彼女でもできた?女ってのは現実主義者(リアリスト)さ。一見ロマンチストに見えるだろうけど、それは見せかけだけさ。女は夢は見るけど、男のように夢だけを追わず、しっかりと現実を見つめているんだ。あんまり夢物語を言ってると、女に捨てられるから気を付けろよ」

 「別にそんなんじゃないよ。ただ聞いてみたかっただけ」

 あ、そう。そう答えて、伸征はそれ以上聞かずに漫画に視線を戻した。


 許してください、俺の存在を。

 まだ、ここにいたいのです。

 あなたは許してくれるでしょうか、俺の存在も。

 幻と現の真ん中にいる、俺の存在を。


 女性は現実主義者。俺が言うことは綺麗ごとだと笑うでしょうか。


 人間としての生命を生きたいというのは、許されないことでしょうか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ