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〜まだ見ぬ朝日〜
何処か遠くで呼ぶ声がする
真っ暗闇の中で声の主を探した
探せど探せど声の主は現れない
探せど探せど声の主は現れない
苛立ちが眉間に皺を寄せる
どれくらいの時間が流れただろう、
長くもあり、また短くもある、
断片的でいて継続的な曖昧な印象。
そうか、これは夢か!
夢ならば声の主は明白。
慣れた手付きで自分の頭上目掛けて右手を振り下ろす。
当たりだ。
男はため息混じりに身体を起こした。
[AM10:46]
また今日も自己嫌悪からの一日が始まる。
毎日これの繰り返しだ。
30過ぎて定職も無いような男のライフワーク
ぐちゃぐちゃの寝癖を抑えるヘルメットをかぶり
愛車を走らせた。