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第84話:二つの戦場 副核と主核

砂の壁の向こうで、衝撃音が弾けた。


ギィィン――ッ!!


金属でも氷でもない、

魔力が削り取られるような音。


アランは歯を食いしばる。


(リリア……!)


だが、振り返らない。

今、視線を逸らせば――核主が距離を詰める。


核主コア・ベイラーは低く唸り、

残る三つの核を不規則に脈動させた。


ズゥ……ズゥ……ズン……!


砂漠の魔力循環が乱れ、

地面が“生き物のように”うねる。


(核が多い分、制御が甘い……!

 なら、中心を突く!)


アランは地面を蹴った。


橙と白金が交互に揺れる槍先を、

あえて白金側に寄せる。


(今は“凍結”じゃない。

 白霜峡のときと同じ――

 “構造を止める光”だ。)


核主が前脚を振り下ろす。


ゴォォンッ!!


砂と岩が砕け散る中、

アランはその下を滑り込むように突進した。


「《ルーメン》……!」


強化も射出もせず、

ただ、純粋な光を槍芯に通す。


白金の光が、

核主の腹部を走る魔力の“筋”を照らし出す。


(見えた……!

 循環の要――ここだ!)


――だが。


核主の残る核の一つが、

不自然な動きを見せた。


「っ!?」


赤核が砕けるように分裂し、

無数の小さな赤光となって飛散する。


赤光が、盾のように重なり合い、

アランの進路を塞ぐ。


(くそ……!)


その瞬間――

アランの槍が、わずかに震えた。


白金と橙が重なり合い、

一瞬だけ、淡い金色になる。


(……今までと、違う……?)


理解するより早く、

アランの体が“前へ押し出された”。


「――ッ!?」


槍が、核の防壁に触れた瞬間。


ギィィィ……ッ!!


焼けない。

凍らない。


“すり抜けた”。


赤光の防壁が、

槍の通過と同時に崩れ落ちる。


アランの目が見開かれる。


(これが……魔装槍の――

 “律通過”!?)


次の瞬間。


ドォンッ!!


白金の閃光が、

核主の中央核を直撃した。


ズガァァァァンッ!!


核主が大きくのけぞり、

砂漠全体の脈動が一拍、止まる。


「……効いてる!!」


アランは着地し、息を整えた。


だが――まだ終わらない。


残る二つの核が、

怒りをぶつけるように赤く輝いた。


そのとき。


――砂の壁の向こう。


リリアは、深く息を吸っていた。


副核が宙を舞い、

灼熱反転の弧光を連続で放つ。


「……本当に、やりづらい相手ね。」


リリアは杖を下げ、

あえて魔法陣を展開しなかった。


(魔力を撃てば焼かれる。

 なら――流れを、ずらす。)


足元の砂に、細かく符文を刻む。


「《テンペスト・フィールド》――

 拡散制御。」


風は起こさない。


ただ、

魔力の“向き”だけを変える。


副核が放った赤光が、

リリアの周囲で歪み、地面へ逸れた。


ズンッ……!!


砂が爆ぜるが、

リリアには届かない。


「やっぱり……

 あなたたち、核って“力任せ”ね。」


副核が震え、

一気に距離を詰めてくる。


リリアは、目を細めた。


「でも――

 流れを読むなら、こっちのほうが得意よ。」


杖を突き出す。


「《テンペスト・フィールド――

 逆位相固定。》」


風が“絡みつく”。


副核の動きが、一瞬、止まった。


「今よ……!」


砂の壁の向こうで、

核主が再び唸り声を上げる。


アランは槍を構え直した。


(リリアが、作ってくれた……!

 なら――)


白金の光が、再び走る。


次の一撃で、決める。


紅砂帯の中心で、

二つの戦場が――一つに収束し始めていた。


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