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第63話:揺れる帝都 第一の異常地点へ

黒殻ダンジョン・地表入口付近。


転移門から出た瞬間、アランとリリアの前に広がったのは――

ひび割れた石床と、黒い霧が漂う荒野だった。


「ここが……黒殻ダンジョン。」

リリア・アルヴァインが低く呟く。


その隣で、アランは組み立て槍の柄を握った。

カチ、カチ、と接続部分が光を放ちながらはまり込んでいく。


(……嫌な空気だ。灰哭とは違う“濁り”がある。)


前方で、研究局の観測班と、護衛として同行した魔導士たちが周囲を警戒していた。


そのうちの一人――防御魔導士シールドメイジが突然声を張り上げる。


「全隊、警戒!

 魔力反応、前方五十メートル!

 前衛陣、障壁構えろ!」


瞬間、青白い光の盾が前列に展開され、半円状の魔力障壁が張られた。


バチッ……バチバチッ……!


黒い霧の中で火花のような光が瞬く。


リリアが杖を構えながら小声で言う。


「アラン……これ、たぶん“出る”。」


「うん。前とは違う。魔脈の動きが荒すぎる。」


そのとき――

霧が裂けた。


ズズズッ……!


地を揺らしながら、“殻に覆われた獣”が姿を現した。

甲殻は黒く、ひび割れの隙間から魔力が滲み出ている。


「……黒殻獣こっかくじゅうだ!」

後衛の魔導士が叫ぶ。


防御魔導士たちが声を合わせる。


「障壁、第二層! 衝撃に備えろ!」


リリアが顔をしかめた。


「魔脈が逆流してる……あれ、灰哭体より厄介かも!」


アランは深く息を吸い、槍を構える。


「リリア。

 俺が前に出る。風で軌道だけ抑えてくれれば十分だ。」


「……槍? あなた、武器持って来てたの?」


「組み立て式。持ち込み許可ぎりぎりだけどね。」


一瞬、リリアが目を見開く。


「ほんと、どこででも成長するのね……。

 いいわ、風で援護する!」


アランの掌に光が集まる。


「《ルーメン》!」


槍先に淡い黄金の光が灯り、空気が震える。


黒殻獣が咆哮した。


ガアアアアッ!!


地面を砕きながら突進してくる。


「来るわよアラン!!」


「分かってる――!」


槍を低く構え、地を蹴り出す。


アランの周囲に風が巻いた。


リリアの《テンペスト・フィールド》だ。


「勢いを殺す風壁、展開……行って!」


アランは突風の中を走り抜ける。


(ここだ――!)


光槍が黒殻獣の側面へ突き込まれる。


しかし甲殻が硬く、槍が弾かれた。


ガキィンッ!


「くっ……!」


リリアが叫ぶ。


「アラン、後ろ!!」


黒殻獣が尾で薙ぎ払う。


アランは転がってかわし、そのまま光を槍に集める。


「《ホーリー・バースト》!!」


槍先から爆ぜるような光が半円状に広がり、

黒殻獣の動きを一瞬止めた。


「効いてる! もう一撃!」


リリアも風を重ねる。


「《ウィンド・インパクト》!」


巻き起こる風圧が黒殻獣を押し返し、バランスを崩させる。


アランは槍を握り直し、踏み込んだ。


「今度こそ……!」


光と風が交差し、黒殻獣へ迫った――。


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