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第56話:核の覚醒 導かれた共鳴

灰哭副層・第一区画、中央観測帯。

崩れた封印陣の上で、アランはゆっくりと立ち上がった。


胸の符文がまだ淡く光っている。

その光は、先ほど見た“律の欠片”の輝きと同じだった。


「……まだ終わってない。」

小さく呟いた瞬間、

地面が再び揺れた。


「アラン!」

リリアが駆け寄る。


壁の符文が一斉に点滅し、

地脈の奥から、光の奔流が吹き上がる。


「封印陣、再起動!? もう崩壊してるはずなのに!」

「違う……これは“核”の反応だ!」


アランが腕輪に魔力を流す。

周囲の魔力流がうねり、灰の粒子が浮き上がる。


(感じる……さっきの“律”が呼んでる。)


通信符からセレスティア教官の声が響く。

『二人とも、急いで離脱しなさい! 魔力圧が危険域よ!』


「だめだ、このままじゃ学院まで波が届く!」

アランは叫んだ。


リリアが頷き、風を纏う。

「なら――抑えるしかないわね!」


「行こう、リリア!」


二人が同時に詠唱を始める。


「《テンペスト・フィールド》!」

「《ホーリーバースト》!」


風が渦を巻き、光が爆ぜる。

しかし暴走の勢いは止まらない。

地面の亀裂から、青白い光柱が噴き上がった。


「くっ……! 力が強すぎる!」

リリアの風膜が軋む。


そのとき、アランの胸が強く脈打った。

(……導け。)


あの声が聞こえた。

“律”の声。


光が彼の掌に集まり、風の流れと共鳴する。

アランは息を吸い込み、両手を掲げた。


「――《ルミナ・リゾナンス》!」


光と風が重なり、

空間全体がまばゆい金色に包まれた。


渦が静まり、灰の粒子が止まる。

風は柔らかく流れ、地脈の光が安定していく。


「……嘘、共鳴値が落ち着いてる。」

リリアが驚いた声を上げる。


「この魔法……“光を中心に風を重ねる”。

 力をぶつけるんじゃなくて、響かせることで抑えるんだ。」


アランの掌の中で、淡い光が脈を打つ。

それはまるで、生き物の鼓動のようだった。


数分後。

観測班が駆けつけ、再封印作業が始まる。


セレスティアが転移門から姿を現した。

「無事でよかった……。あなたたち、まさか暴走を止めたの?」


「ええ。」アランが微笑む。

「“律”が教えてくれました。光は、押さえるものじゃない――導くものだって。」


セレスティアは目を細めて頷いた。

「……そう。あなたたちの光と風が、ようやく“理”を超えたのね。」


リリアが苦笑する。

「でももう少しで吹き飛ばされるところだったわ。」


「次はもっと余裕を持ってやろう。」

「その言葉、信じるわよ?」


二人が笑い合う。

灰色の大地の上に、ようやく穏やかな風が戻っていた。


だが、その地下。

沈黙したはずの地脈核の奥底で、

微かな光が再び瞬いた。


――《導ク者、未ダ途上ナリ。》


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