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第54話:封印核の呼び声 共鳴の臨界点

灰哭副層・第一区画。

転移門を抜けた瞬間、アランとリリアの目の前に、

再びあの灰色の大地が広がった。


しかし前回とは違う。

空気がざわめいている。

壁面の符文が脈を打ち、地脈の光が“逆流”していた。


「……まるで、生き返ったみたいね。」

リリアが息を呑む。


アランは周囲を観察しながら頷いた。

「封印陣が反転してる。

 魔力の流れが、中心――地脈核へ吸い込まれてるんだ。」


通信符が震え、セレスティア教官の声が届く。

『第一区画で異常を確認。核座標の封印が崩壊中。

 アラン、干渉は最小限に――直接触れるな。』


「了解。……でも、様子だけでも確かめる。」


二人は慎重に進む。

中心部に近づくにつれ、音が変わった。

低い鼓動――まるで心臓のようなリズムが地面から伝わる。


リリアが杖を握りしめる。

「……聞こえる? この音。」

「うん。地脈核の脈動だ。でも……普通じゃない。」


視界の先。

封印陣の中央に、金色の光が瞬いていた。

それは地中深く――第3層の地脈核から“共鳴”して、

浮かび上がった映像のようだった。

だがその光の表面は滑らかではなく、ひび割れた鏡のように波打っている。


「地脈核……?」

アランが手を伸ばしかけた瞬間、

胸の記録符が熱を帯びて輝いた。


「っ……!?」


光が指先から走り、空間全体が震える。

封印陣の紋が逆方向に回転し、

重ねられていた符文が一枚ずつ剥がれていく。


「アラン、止めて!」

「わかってる、でも制御が効かない!」


彼の光が勝手に反応していた。

まるで――何かに“呼ばれている”ように。


一瞬、空気が沈黙した。

次の瞬間、封印陣の中心から声が響く。


――《導ク光ノ継承者ヨ。》


リリアの目が見開かれる。

「い、今の……声!?」

「……わからない。でも、“俺に”語りかけてる。」


光が広がり、視界が白に染まった。

風の渦が巻き上がり、灰の粒子が空へ舞う。


セレスティアの通信が割り込む。

『アラン! 応答しなさい、今すぐ退避を――!』


だが、通信の向こう側で音が途切れた。

封印陣の中心がゆっくりと開き、

中から淡い人影のような光が浮かび上がる。


輪郭も声も曖昧な“存在”。

それでも確かに、言葉を発していた。


――《再ビ問ウ。光ハ何ヲ導ク?》


アランは息を呑んだ。

「導く……それは――」


言葉を探した瞬間、足元が崩れた。

地面の符文が割れ、光の渦が二人を飲み込む。


リリアが手を伸ばす。

「アラン――!」


視界が反転し、音が消えた。

そして――アランの意識は、灰色の光に沈んでいった。


転移門の前で、セレスティアは歯を食いしばる。

「……まさか、地脈核が“応答”するなんて。」


研究員が叫ぶ。

「封印波、臨界値を突破! 地脈の再起動反応です!」


セレスティアは杖を握りしめた。

「お願い、アラン……その光を、見失わないで。」


――灰哭の地が再び脈動を始めた。

静かに、しかし確実に。

まるで“眠れることわり”が、再び目覚めるかのように。


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