表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/114

第50話:高位符文構築 新たなる試験

帝国魔導学院・中央研究棟。

白い大理石の床を踏みしめ、アランは静かに歩いていた。

壁に沿って並ぶ魔導管からは、低く響く魔力の流れが聞こえる。


今日から、学院の研究課題《高位符文構築》が始まる。

対象となるのは、灰哭副層の封印波形――あの地脈核を安定化させた制御式だった。


部屋に入ると、セレスティア教官と数名の研究員が待っていた。

中央の机には、光の符文が幾重にも重なって浮かんでいる。


「よく来たわね、アラン、リリア。」

セレスティアが微笑む。

「今回の研究目標は、“共鳴符文”の再現。

 灰哭副層であなたたちが起こした波形――あれは従来の理論では説明できない。」


リリアが首を傾げる。

「光と風の共鳴……あれって、偶然じゃなかったんですか?」

「偶然なら、封印は安定しなかったはずよ。」

セレスティアは指先で符文をなぞる。


光の線が走り、風のような魔流が重なる。

その瞬間、淡い旋律のような波が部屋を満たした。


「――これが、共鳴符文ハーモニック・サークル

 魔力の流れを“調律”して安定させる新しい概念です。

 あなたたち二人にしか、あの波を再現できない。」


アランは目を細めた。

(確かに……あの時、光は風に導かれていた。

 互いを押し合うんじゃなくて、響き合っていたんだ。)


リリアが横目で彼を見る。

「つまり、また私とペアってことね。」

「そういうことみたいだ。」

アランが苦笑すると、セレスティアも柔らかく笑った。


「まずは理論の確認から。符文の構造を分析して、

 共鳴を再現できる“安定式”を導きなさい。

 ――実験は明日から行います。」 


会議が終わり、二人は研究棟の外に出た。

夕方の風が心地よく吹き抜け、学院の塔が金色に染まっている。


「まさか、封印の続きが研究になるなんてね。」

リリアが肩をすくめた。


アランは少し空を見上げながら答える。

「でも悪くないよ。次は、もっと“光と風”を理解できる気がする。」


リリアは短く笑って頷いた。

「じゃあ、私も負けないように風を磨くわ。共鳴なら、どっちが強くてもダメでしょ?」

「そうだな。……でも、バランスは俺が取るよ。」

「なにそれ、生意気。」


軽口を交わしながら歩く二人の背に、夕陽が静かに差し込む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ