表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/113

第49話:査定報告会 光が導く証

翌日、帝国魔導学院・講堂。

封印任務を終えた学生たちが整列し、壇上ではセレスティア教官と数名の査定官が並んでいた。


天井に浮かぶ魔導灯が淡く輝き、報告会の始まりを告げる。


「――これより、“灰哭副層封印任務”の査定報告を行います。」


セレスティアの声が静かに響く。

講堂の空気がぴんと張りつめ、全員が前を向いた。


最初に映し出されたのは、地脈封印陣の映像記録。

光と風が交錯し、暴走する魔力を抑え込む瞬間が再生される。


ざわめきが走った。


「これ……本当に学生の制御レベルか?」

「封印陣の安定波形が理想値に近い……!」


査定官の一人が驚きの声を漏らす。


セレスティアが淡々と説明を続けた。

「封印の主制御を担当したのは光導基礎課程のアラン・ルクレディア。

 補助および風圧分散を行ったのは風雷課程のリリア・アルヴァイン。

 両名とも、地脈核の共鳴波を“崩さずに整列”させることに成功しました。」


すると、中央の査定官が問いかける。

「つまり――強引な押さえ込みではなく、“共鳴制御”による安定化と?」


「はい。」セレスティアは頷く。

「彼の光は干渉ではなく“調律”です。

 魔力を押し返すのではなく、揺らぎを受け入れて整える。

 これこそ、光属性の本質的制御法だと私は考えます。」


講堂が静まり返る。


壇上に立たされたアランは、背筋を伸ばしたまま静かに聞いていた。

(調律……俺がやったことが、そんなふうに言われるなんて。)


セレスティアが視線を向ける。

「アラン・ルクレディア。今回の任務における君の制御精度――95.7%。

 これは学院記録の上位に相当します。」


どよめきが広がる。

リリアが隣で軽く肘を突いた。

「やるじゃない。……ほんとに見習い候補なの?」

「いや、まだ“候補の中の候補”だよ。」


アランは苦笑したが、その目の奥には確かな自信があった。


査定官の一人がリリアにも目を向ける。

「風雷課程のリリア・アルヴァイン。君の《テンペスト・フィールド》も見事だった。

 地圧変動を最小限に抑えた判断は高く評価できる。」


リリアは姿勢を正し、堂々と答えた。

「ありがとうございます。ですが、次は暴走を起こす前に抑え込んでみせます。」


「頼もしいわね。」セレスティアが微笑む。

「あなたたち二人の協調制御が、灰哭副層の安定を保った。

 ――学院としても正式に表彰対象とします。」


拍手が広がった。

アランは戸惑いながらも頭を下げる。


報告会が終わり、学生たちが退出していく中。

セレスティアが静かにアランを呼び止めた。


「アラン。」

「はい。」

「あなたの光は、まだ“途中”よ。だが――確実に何かを掴み始めている。

 今後、学院の特別課題《高位符文構築》に参加してもらうわ。」


アランの目がわずかに見開かれる。

「高位符文……ですか?」


「ええ。地脈封印を維持するための研究班よ。

 次の段階で、光と風の共鳴理論を実験する予定。

 あなたたちにしか、あの波形は再現できない。」


リリアも振り返る。

「つまり、また一緒に?」

「ええ。――光と風の組み合わせは、まだ終わっていないわ。」


アランは一瞬だけ息を吸い込み、微笑んだ。

「はい。必ず、次も成功させます。」


夕暮れの光が講堂の窓から差し込み、白い床を照らした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ