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第47話:封印の光 地脈核の覚醒

灰哭副層・第三区画。

転移門を抜けた瞬間、空気が変わった。

地下とは思えないほどの広い空間――

まるで“神殿の遺構”のような石造りの大広間が広がっていた。


壁一面に刻まれた符文が淡く光り、床の中心には巨大な魔法陣が描かれている。

その中央で、青白い光の塊がゆっくりと脈動していた。


「これが……地脈核ちみゃくかく……?」

リリアが呟く。


アランは頷き、慎重に周囲を観察した。

「魔力の流れが集中してる。まるで心臓みたいだ。」


通信が入る。

『こちら観測塔、セレスティア。地脈核を視認したようね。

 観測値によると、内部でエネルギーの逆流が起きている。暴走の前兆よ。』


「逆流……?」

『ええ。副層であなたたちが鎮めた光が、今度は核に引き込まれようとしているの。

 おそらく、灰哭体を通じて核が“外界と繋がった”状態。』


アランは目を細めた。

「つまり――俺たちの魔力が、あいつを刺激したってことか。」

『そう。だけど、あなたたちにしか止められない。』


地面がわずかに揺れた。

核の光が一瞬、赤く濁る。

次の瞬間、床の魔法陣が反応し、周囲の石壁から影の腕が生えた。


「っ、灰哭体!? まだいたのか!」

「違う、これは核から直接……!」


影がいくつも現れ、彼らを取り囲む。

アランは前へ出て、リリアを庇うように手を伸ばした。

「リリア、吹き飛ばせるか!」

「やってみる!」


風が走り、影の群れを切り裂く。

だが、切られても霧となって再生する。

「止まらない……!」

「じゃあ、まとめて焼くしかない!」


アランは光を集め、掌を地面に向けた。

「《ホーリー・バースト》!」


眩い光が放たれ、周囲を包む。

一瞬、影が霧散したが――すぐに再び集まり始めた。


リリアが歯を食いしばる。

「無限に湧いてくる……! これ、地脈核が呼び出してるのね!」


アランは頷きながら通信に叫ぶ。

「教官! 核を封じる方法はないんですか!」

『あります。ですが――あなたたちを巻き込む可能性が高い。』


「構いません!」

リリアの声が響いた。

「ここで止めなきゃ、帝都にまで影響が出る!」


セレスティアは短く息を吐いた。

『……覚悟は、できているのね。なら、封印陣を起動します。』


塔側で複数の魔導陣が起動する音が聞こえた。

地面に光の紋が走り、第三区画全体が振動する。

アランとリリアの足元にも、白い符文の輪が浮かび上がった。


『封印のためには、核に直接“魔力の鍵”を合わせる必要がある。

 アラン、あなたの光を。リリア、風で流れを導いて。』


「了解!」

二人は同時に動いた。


アランが光を掌に収束させ、リリアが風を操る。

光と風が絡み合い、核の中心へと向かって伸びていく。


だがその直前、核が激しく脈動した。

「っ……反発してる!」

『そのまま押し込んで! あと少しよ!』


アランは声を張り上げた。

「リリア、今だ――全力で!」

「行くわっ、《テンペスト・ドライブ》!!」


暴風が光を押し上げ、二人の魔力が一点に重なる。

その瞬間、核が眩い光を放った。


――閃光。

空気が一瞬で焼け、視界が真っ白に染まる。

轟音とともに、灰哭副層全体が震えた。


……静寂。


地脈核は光を失い、ゆっくりと沈黙した。

壁の符文もすべて消え、ただ青白い残光だけが漂っている。


「……終わった、のか。」

アランが息を吐く。

リリアが頷いた。

「うん……核の反応、消えてる。」


通信が再び入る。

『こちら観測塔。封印、完全に成功。二人とも……よくやったわ。』


アランは肩で息をしながら、空を見上げた。

「灰哭の地も、やっと眠れたか……」


霧の消えた空間に、静かな光が満ちていた。

それはまるで、彼らの戦いを讃えるかのように穏やかだった。


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