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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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第29話:帝国魔導士団の査定 開幕

試験当日の朝。

ルクレディア家の滞在邸に差し込む光が、静かな部屋を淡く照らしていた。

アランは寝台の上で目を開け、深く息を吐く。

胸の奥で、魔力が小さくうねりを上げている。


(……いよいよだ)


《灰哭の森》で掴んだ感覚――

《ルミナエッジ》、そして《ホーリードライブ》。

あの戦いで見た光は、まだ未完成。

だが確かに、自分の中に“続き”があると感じていた。


ノックの音。

「アラン様、朝食のご用意が整いました」


扉を開けて入ってきたセルジオが、いつも通り整った動きで頭を下げる。

「もうお目覚めとは。やはり、心の準備はできておられるようですね」

「緊張で眠れなかっただけだよ」

「それもまた、覚悟というものです」


セルジオは机に査定書を置き、指先で表紙を軽く叩く。

「本日は一次試験。魔力量と制御精度の測定、そして理術筆記が行われます」

「……筆記か」

「ええ。問題の半分は“帝国史”と“魔法理論”です」


アランは苦笑した。

「理論はいいけど、帝国史はあんまり得意じゃないんだよな」

「では、一問だけ復習を。帝国の創立は?」

「初代皇帝ルメニア・アークセリオが魔脈を制御したとき、だろ?」

「正解です。その二つの塔――《アストラ・スパイア》の制御が帝国の始まり。“理と光の均衡”こそが帝国の理念です」


「……なるほど。理念通りなら、“光”の俺も歓迎されるはずなんだけどな」

「理念通りに動く人間が多ければ、世界はもっと平穏でしょうね」


軽口を交わしながら、アランは立ち上がった。

(貴族の後継、光の術者――そんな肩書きより、ただ証明したい。俺は、俺の光で帝都に刻む)


馬車に揺られ、魔導士団本部へ。

白銀の塔群が連なる中心街――その心臓部に、査定会場《査定ドーム》はあった。

外壁には帝国の紋章が刻まれ、魔力の波紋が絶えず流れている。


門前では、受験者たちが受付を済ませていた。

アランも名を告げ、試験票を受け取る。


そのとき――


「ふぅん……お前が“光魔法”の使い手?」


振り向けば、金髪の少女が立っていた。

白い制服に金の刺繍、胸にはアルヴァイン家の紋章。

帝国第一公爵家――その名を知らぬ者はいない。


「光なんて、古文書でしか見たことないけど? まだ使う人がいたのね」

少女――リリア・アルヴァインが小さく笑う。


アランはその挑発を受け止め、静かに言った。

「試験で確かめればいい。どちらが“時代遅れ”か」


周囲の受験者たちが息をのむ。

そのとき、試験官の声が響いた。


――帝国魔導士団査定、一次試験を開始する。


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