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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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第157話:第四層 対等層

第三層の崩壊が止まったあと、

床の中央が静かに割れた。


黒でも白でもない、灰色の階段が現れる。


そこには紋様も、水晶もない。


ただ、均整。


「……嫌な予感しかしないな」


アランは肩の傷を押さえながら、降りた。


第四層は広大だった。


天井は高く、床は滑らかな石。


中央に巨大な円環。


その周囲に刻まれた紋様は、白と黒が完全に対称。


踏み入れた瞬間。


身体が、重くなる。


「……?」


《ルーメン》。


発動。


光は出る。


だが――


弱い。


出力が半分以下に落ちている。


「制限……?」


闇も同時に揺らぐ。


空間の端で生まれかけた闇個体が、

通常より薄い。


ここでは、偏りが許されない。


声が響く。


「ここは、均衡層」


少年の姿は見えない。


だが存在はある。


「光も、闇も、同じだけしか使えない」


アランは静かに構える。


「……等価空間か」


「そう。君の“光の優位”は消える」


次の瞬間。


少年が現れる。


第四層では霧がない。


はっきりと、対面。


少年の傷はまだ残っている。


《ホーリー・ディバイド》の痕。


消えていない。


「……届いたな」


アランが言う。


少年はわずかに眉を寄せる。


「分けられたのは初めてだ」


闇が揺れる。


だが第四層では膨れ上がらない。


同じ制限。


「なら、ここでは純粋な技術だ」


少年が踏み込む。


闇刃。


速度は第二層より鋭い。


出力が抑えられているぶん、練られている。


アランは槍で受ける。


火花。


光と闇が等価でぶつかる。


衝撃は拮抗。


押し合い。


(重い……!)


ここでは押し切れない。


少年が連撃。


斜め、下段、横薙ぎ。


無駄がない。


アランは《ミラージュ》。


残像を作る。


だが分身も弱い。


「出力頼みでは勝てない」


少年が言う。


「それが第四層だ」


アランは距離を取る。


呼吸を整える。


(なら、削る)


《ルミナエッジ》。


最小出力。


極薄の光刃。


闇刃と接触。


拮抗。


だが。


光の位相を、ほんのわずかにずらす。


闇の刃が、微かに乱れる。


少年の瞳が揺れる。


「……制御か」


「出力じゃない」


アランは踏み込む。


連撃。


槍の回転。


最低出力で最大効率。


闇の刃を、受けずに滑らせる。


切るのではない。


“流す”。


第四層は、技術の層。


力で勝てない。


だから精度で勝つ。


少年が後退する。


初めて、押される。


「君は……」


闇が一瞬揺らぐ。


その瞬間。


第四層の中央円環が発光する。


白と黒が同時に回転する。


空間が揺れる。


少年の表情が変わる。


「……来たか」


地面の奥から、強烈な振動。


帝都魔脈に近い波長。


軍の禁術起動反応。


少年が笑う。


「やっぱり来る」


第四層の均衡が乱れ始める。


「第五層が開く」


床の中心が割れる。


深く、赤黒い光。


「そこから先は、君の問題じゃない」


少年が一歩退く。


「帝国の責任だ」


アランは槍を握り直す。


「逃げるのか」


「違う」


少年の声が低くなる。


「見せる」


振動が激化する。


第五層――魔脈断層。


帝都と接続する領域。


第四層は崩れない。


だが均衡は破られた。


「次は、戦争だ」


少年が闇へ溶ける。


第五層が開いた。


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