表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/195

第153話:光は帝国に向けられる

地下第一層は、かろうじて均衡を保っていた。


《ルミナ・アクシス》によって立てられた光の軸は、

天井へと細く伸び、空間の歪みを縫い止めている。

闇は押し込められているが、消えたわけではない。

足元の石床の奥で、なおも低く脈打っている。


そのときだった。


縦穴の上空から、硬質な装甲の衝突音が響く。


次々と着地する影。


黒銀の魔導装甲に身を包んだ帝国軍降下部隊だった。


先頭に立つ将校が、ゆっくりとアランへ視線を向ける。


「アラン・ルクレディア」


低く、乾いた声。


「帝国命令違反および反逆容疑により、拘束する」


十数の魔導銃が一斉に向けられる。


照準は正確だ。迷いはない。


アランは槍を握ったまま、動かなかった。


「ここで撃てば」


静かに口を開く。


「この層は、また暴れます」


将校の目が細くなる。


「脅しか」


「事実です」


足元の脈動が、わずかに強まる。


軍の装甲が発する高出力魔力。

それ自体が、この空間にとっては刺激だ。


将校は冷淡に言い放つ。


「我々は帝国の兵だ。未確認構造よりも命令を優先する」


その一言で、空気が決まった。


号令が飛ぶ。


「拘束射!」


同時に、三方向から光弾が放たれる。


アランは息を吸う。


《ルミナ・シェル》。


半球状の光膜が展開し、光弾を受け止める。

だが今回は、ただ受け流すだけでは終わらせない。


足元から《ルミナ・アクシス》を再展開。


縦に伸びる軸光が、飛来した魔力を捕捉する。


光弾が軸に触れた瞬間、波形が乱れ、減衰する。


分解ではない。破壊でもない。


整列。


魔力が再配列され、出力が落ちる。


「出力が落ちている……!?」


兵の一人が叫ぶ。


アランは踏み込んだ。


《ホーリードライブ》。


身体強化。


かつてのような暴走は起きない。

アクシスが制御を補助している。


一人目の兵士へ接近し、槍の柄で腹部を打つ。

装甲が軋み、兵士は吹き飛ばされる。


二人目の銃口を《バッシュ》で弾く。

衝撃波が銃身を逸らす。


三人目の喉元に槍先を突きつけ、止める。


「下がってください」


殺意はない。


だが、容赦もない。


しかし後方部隊が一斉に火力を上げた。


魔力斉射。


その瞬間、地下第一層が軋んだ。


床下の闇が反応する。


霧が滲み出し、空間が揺らぐ。


将校は怒鳴る。


「火力維持!」


それが決定打だった。


床が裂ける。


闇が噴き上がる。


複数の闇個体が生成され、

軍部隊へと襲いかかった。


兵士が弾き飛ばされ、装甲が砕ける。


「後方に敵性個体!」


「囲まれるぞ!」


混乱。


アランは歯を食いしばる。


「だから言った……!」


《ホーリーバースト》。


浄化光が広がり、闇を押し返す。


だが完全には消えない。


むしろ、軍の魔力に呼応して増幅している。


そのとき、声が落ちた。


どこからともなく。


静かに。


「ほら、これが帝国だ」


霧の向こうに、輪郭。


闇の少年。


はっきりと姿を現すわけではない。

だが確かにそこにいる。


「撃てば撃つほど、増える」


将校が振り返る。


「全隊、撤退準備!」


ようやく判断が下る。


兵士たちは縦穴へと後退を始める。


闇は追わない。


ただ、アランを見ている。


撤退が完了すると、

空間は不気味な静けさを取り戻した。


《ルミナ・アクシス》の軸光だけが、

地下を縫い止めている。


霧の向こうから、少年の声が届く。


「君は、帝国に向けて光を使った」


アランは槍を握り直す。


「守るためだ」


「帝国を?」


「人を」


わずかな沈黙。


「……それが光か」


闇がわずかに濃くなる。


「次は、もっとはっきりさせよう」


少年の気配が、奥へと退いていく。


第二層への通路が、ゆっくりと開いた。


光と闇の戦いは、もう隠れた実験ではない。


帝国も巻き込んだ、本当の衝突が始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ