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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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第146話:割れる帝国

帝都ルメニア・軍中央会議堂。


巨大な円卓に、軍上層部が集っている。


壁面の投影板には、北部鉱山跡地の戦闘記録が繰り返し再生されていた。


魔導砲斉射。

吸収。

反転。

爆発。


「……屈辱だ」


将官の低い声。


「第一軍団が、撤退を余儀なくされた」


誰も反論しない。


だが、沈黙は同意ではなかった。


「敵は殲滅対象だ」


別の将官が言う。


「対話の余地はない。あれは明確な戦力行使だ」


「戦力行使を先に行ったのは、こちらだ」


静かに割り込んだ声。


評定庁の監察官。


空気が冷える。


「軍の斉射がなければ、敵は出力を上げなかった可能性がある」


「仮定の話だ」


「だが事実として、敵は初撃で攻勢を取っていない」


沈黙。


将官が、机を叩く。


「管理不能な構造体を放置しろと言うのか!」


「違う」


監察官は一歩も引かない。


「理解不能な体系を“殲滅”で処理するのは、愚策だと言っている」


「体系?」


「敵は、構造を持っている」


投影板が切り替わる。


闇の紋様の解析図。


規則性。


演算的整合。


「偶発的暴走ではない」


「設計されている」


室内がざわめく。


将官が、低く言う。


「つまり、敵は意思を持つ」


「はい」


「ならばなおさら殲滅だ」


机上に、新たな書類が置かれる。


魔脈核接続型広域制圧術式

使用許可申請


室内の空気が凍る。


魔脈核。


帝都の心臓。


それを戦術兵器に使う。


「正気か?」


評定庁側が低く言う。


「帝都の魔力基盤を戦場へ接続する気か」


「必要ならばな」


将官の目は、冷たい。


「敵は帝国の理論外だ。

ならば理論そのものを叩き込む」


それは、思想の押し付けだ。


「副作用は?」


「周辺魔脈の乱流。

最悪、局所崩壊」


「それを容認すると?」


「帝国の秩序を守るためなら」


沈黙。


評定庁は理解する。


軍は止まらない。


これはもう、戦術判断ではない。


恐怖だ。


帝国魔導学院。


学院長室。


学院長は、報告を受けていた。


「魔脈核接続……」


低く呟く。


「狂っている」


「軍は焦っている」


評定官が言う。


「そして――」


一枚の書類を差し出す。


アラン・ルクレディア

特別監視指定


「……監視?」


「軍内部で、拘束案が浮上しています」


空気が張り詰める。


「理由は」


「戦場判断が軍命令と一致しないため」


つまり。


制御不能な戦力。


学院長の目が鋭くなる。


「ルクレディアは兵器ではない」


「軍は、そう見ていません」


帝国は割れ始めている。


外では戦争。


内では権力闘争。


一方。


管理外ダンジョン・深層。


闇の少年は、戦場の残滓を感じていた。


帝国の怒り。


恐怖。


焦燥。


「魔脈核に触れる気だ」


小さく呟く。


地面の奥で、闇の構造が軋む。


「そこまでして、守りたいのか」


霧が、ゆっくりと広がる。


「なら――」


新たな振動。


三地点が、同時に共鳴を始める。


構造が、連結する。


「もう、局地戦じゃない」


闇は、拡張する。


帝国全土を巻き込む規模へ。


夜。


学院の屋上。


アランは、一人立っていた。


槍が、微かに震えている。


遠くで、魔力の揺らぎが連鎖しているのを感じる。


リリアが隣に立つ。


「三地点、同時増幅」


「……来るな」


「軍は禁術を使う気よ」


「分かってる」


沈黙。


「アラン」


リリアが、静かに問う。


「もし帝国が先に壊れたら、どうする?」


その問いは重い。


アランは、夜空を見る。


「止める」


「軍も?」


「全部だ」


迷いはない。


光は、整える力だ。


帝国も、闇も。


「……本当に、危ないわね」


リリアが小さく笑う。


遠くで、雷鳴のような魔力波が走る。


魔脈が、ざわめく。


戦争は、拡大する。


そして次は――


帝都そのものが揺れる。


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