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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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145/195

第145話:開戦命令

帝都ルメニア・軍中央演算塔。


巨大な魔導投影陣に、三つの赤い光点が脈打っている。


北部鉱山跡地。

西方荒野。

南部旧街道遺構。


「同時拡張を確認」


観測士の声が震える。


「構造体、層形成を開始。推定階層――六以上」


室内の空気が凍りつく。


「六層……だと?」


それは、もはや管理可能な異常ではない。


将官が立ち上がる。


「全軍、第二戦術態勢へ移行」


低く、明確な命令。


「三方面同時制圧作戦を発動する」


魔導通信陣が一斉に輝く。


帝国は、決断した。


封鎖ではない。

観測でもない。


殲滅。


帝国魔導学院・特別招集室。


アランの前に、正式命令書が置かれる。


帝国軍特別戦力指定

対象:アラン・ルクレディア

任務:第一制圧部隊随伴


「随伴、か」


「前線よ」


リリアが、静かに言う。


「今回は演習じゃない」


分かっている。


外では、既に軍団結界が展開されている。


空を、魔導戦艦が横切る。


学院は、戦場の一部になった。


学院長が、重い声で告げる。


「止められなかった」


「止める気は?」


アランが問う。


学院長は、わずかに目を伏せる。


「帝国は、恐怖している」


管理できない力に。


理論に収まらない存在に。


そして――


アランに。


北部鉱山跡地。


既に第一軍団が布陣していた。


巨大な魔導陣が地面を覆う。


「目標、第三層相当構造」


将官の声が響く。


「全砲門、展開」


空気が歪む。


魔導砲が、光を溜める。


アランは、その前線に立たされていた。


「合図と同時に、斉射」


将官が言う。


「君は突破口を作れ」


兵器扱いだ。


リリアが、小さく囁く。


「嫌な感じがする」


「……分かってる」


ダンジョンの奥から、霧が立ち上る。


だが、今回は違う。


霧の動きが、秩序を持っている。


――整っている。


その中心に、黒い影が立っていた。


闇の少年。


軍の砲口が、一斉に輝く。


「撃て!」


轟音。


光の洪水が、構造体を呑み込む。


地面が裂ける。


空間が歪む。


爆煙が晴れる。


そして――


静寂。


構造体は、崩れていない。


むしろ。


黒い紋様が、より濃く浮かび上がっている。


「……吸収、だと?」


観測士の声が裏返る。


闇の少年が、ゆっくりと顔を上げる。


微笑んでいた。


「ほら」


声は、戦場に届く。


「これが帝国だ」


霧が反転する。


軍の魔力波形を取り込み、再構築。


黒い刃が、地面から噴き上がる。


第一軍団の前列が吹き飛ぶ。


「隊列維持!防御陣展開!」


叫び声。


混乱。


二次爆発。


将官の顔色が変わる。


「ありえん……」


アランは、槍を構える。


光導槍が、震えている。


導かれない。


拒まれない。


ただ――


応じようとしている。


「下がれ!」


アランが叫ぶ。


だが、軍は止まらない。


再斉射。


第二波。


闇が、笑う。


今度は反転が速い。


爆発。


兵が倒れる。


霧の中で、少年の視線がアランを捉える。


「君は、止められる?」


挑発ではない。


問いだ。


アランが前に出る。


《ホーリードライブ》。


光を纏う。


霧を突き破る。


光と闇が、初めて真正面から衝突する。


爆発。


大地が震える。


リリアが詠唱を重ねる。


風が位相を整える。


《ルミナ・リゾナンス》。


光と風が共鳴し、闇の振幅を抑える。


少年の目が、わずかに細まる。


「……やっぱり、君は違う」


背後で、軍が体勢を立て直す。


だが、被害は大きい。


「撤退命令を!」


観測士が叫ぶ。


将官は、歯を食いしばる。


撤退。


帝国軍が、初戦で退いた。


霧が収束する。


少年は、攻撃しない。


ただ、立っている。


「これは戦争だ」


静かな宣言。


「でも、始めたのは僕じゃない」


アランは、槍を握りしめる。


戦場は、終わっていない。


これは序章だ。


帝国は、本気になる。


そして闇も、隠さない。



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