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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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第144話:同行命令

帝都ルメニア・評定庁緊急監察室。


机上に並ぶのは、三つの報告。


「同時発生……?」


監察官が、息を呑む。


「北部鉱山跡地。

西方荒野。

南部旧街道遺構」


評定官が、静かに言う。


「全て、理論未分類波形と一致」


「規模は?」


「前回の管理外ダンジョンの――推定三倍」


室内の空気が、明確に変わる。


もう“調査可能な異常”ではない。


「軍は?」


「すでに動いています」


その言葉と同時に、

別棟から伝令が走る。


帝国軍中央管区。


「評定庁に主導権は渡さん」


将官が即断する。


「今回は明確な敵性構造体だ。

鎮圧対象とする」


「学院生の投入は?」


「戦力として同行させる」


「指揮権は?」


「軍」


短い沈黙。


「ルクレディアは?」


将官は、わずかに目を細める。


「切り札は前線に置く。

だが――」


声が低くなる。


「単独行動は許可しない」


机に、書類が置かれる。


帝国軍特別同行命令書

対象:アラン・ルクレディア

内容:管理外構造体制圧任務への強制同行


強制。


もう“要請”ではない。


帝国魔導学院・学院長室。


評定官が立っている。


机の上には、同じ命令書。


学院長が、静かに問う。


「拒否は可能か」


「形式上は」


「実質は?」


「不可能」


軍は、動いている。


既に部隊が編成されている。


「……切り札扱いだな」


学院長が、低く呟く。


「兵器扱い、です」


評定官が訂正する。


「止めますか?」


学院長は、しばらく考える。


「止めれば内紛になる。

動かせば戦場になる」


重い選択。


「ならば」


学院長は決断する。


「同行は認める。

だが条件を付ける」


「条件?」


「評定庁監察官を同席させる。

軍単独指揮にはさせない」


政治戦だ。


中庭。


アランは、呼び出された。


目の前に置かれる命令書。


「強制、か」


表情は動かない。


リリアが、隣に立っている。


「拒否する?」


「しない」


即答。


リリアが、眉をひそめる。


「軍の指揮下よ?」


「知ってる」


アランは、静かに言う。


「でも」


槍を持ち上げる。


「闇は、隠さないって言った」


リリアが、目を細める。


「聞いたの?」


「感じた」


短い沈黙。


「規模が違う。

あれは――」


「管理させるつもりはない」


二人は、同時に理解している。


これはもう、局地戦ではない。


帝国と闇の“正面衝突”だ。


学院長が、静かに告げる。


「アラン・ルクレディア。

同行を認める」


一拍。


「だが、君は軍の兵ではない。

学院の生徒だ」


アランは、わずかに頭を下げる。


「了解しました」


軍の伝令が告げる。


「出立は二日後」


早い。


軍は、準備ができている。


夜。


リリアが、アランの横に立つ。


「嫌な予感しかしない」


「俺もだ」


「それでも行く?」


「行かないと、もっと悪くなる」


遠くで、雷が鳴る。


帝国は、ついに本気だ。


そして闇も、隠さない。


光と闇の衝突は――


次は、

“試し合い”では終わらない。


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