第一話 謎の少女との遭遇
裏社会『 Hope Palace』ーそれは、神界に存在するといわれている神々の遊戯場。色んな世界から「終わった奴ら」を集めて、戦わせることを目的とした場所である。もしも、『 Hope Palace』で勝利し続け、頂点に立つ事が出来たのならば、その者には、何でもひとつ願いごとを叶えて貰える権利が貰える。新田 恭弥は、日本という国での「終わった奴ら」の一人だった。
「次の給料日まで1000円しかねえってまじどうなってんだよーー!」
やけに鬱陶しい日差しに照らされながら俺は天から見下ろしているであろう神を睨みつける。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。大学卒業までは何もかもが順調であったのに、ある日親友の保証人になってから俺の人生は一変してしまった。安易に保証人になってしまってすぐのことである。その親友が消息不明になってしまい、抱えていた借金1000万を俺が全額負担しなければならなくなってしまった。不幸はこれだけでは終わらず、当時勤めていた会社は倒産。かくして俺は、借金1000万のフリーターとなってしまったのだ。
「はあ...。俺の人生終わってるよなーほんと。これから行くバイト先も変な客ばっかで嫌になってるぜ。」
口を開けば愚痴がでてしまう。バイトなんかで稼げる額ではすずめの涙ほどにしか足しにはならないが、何もしなければ飯すら食うことができない。そんな感じで自分に言い聞かせて億劫な足取りでバイト先へ向かった。
時は22時。バイトも終わり帰り道を歩いていると、前に一人の人影が視界に入ってきた。背丈は小学生くらいで道路の真ん中を仁王立ちしているそれは微動だにせずにこちらを見ている気がする。これはもしかしてあれだろうか?よく怪談で語られるような心霊体験なのだろうか?俺は恐れながらも疲れた体をはやく寝床につきたいので、警戒しながら歩を進めた。その人影の真横ぐらいまで来たのだが、その人影ー否、少女は未だ微動だにせずにいる。そのまま通り過ぎろうとした瞬間。
「人生を変えてみたくない?」
「は?え?」
突然少女が喋ったと思ったら意図の分からないことを聞かれてしまった。人生を変えてみたい?どうしてそんなことを聞くのだろうか。そも、この少女は俺の何を知っているのだろうか。様々なことが錯綜して、しどろもどろになっている俺に対して再び少女は。
「人生を変えてみたくない?」
「いや、え?なんでそんなこと俺に聞くんだ?大体、君はだ―」
「私が質問しているの。質問を質問で返さないでください。」
「...。まあ変えれるなら変えたいよ。」
「じゃあ、好都合ですね。私があなたの人生を変えてさしあげましょう!」
少女はニッコリと少女らしい笑顔でそう言ったのだった。