【記録1】living dead教団蹂躙
冒頭。
この世界の観測記録を記す。
私は、過去も現在も未来も同一に観測する。
何故、記録を残すかは、言語化出来ない。
私は、世界の敵でも味方でもなく善でも悪でも無い。
私は、イチ世界を、ただただ観る、観測者だ。
◆
観測記録を記す。王国歴1025.7.××
※ベルカ(性別・男)趣味・読書。
魔法軍特務員。炎属性。魔剣士。
※エリオット(性別・男)趣味・ゴミ掃除。
魔法軍軍医。スキル・エネルギー吸収と放出。魔導士。研究者。
ドカーン!! ドカーン!! ドカーン!!
「うわああぁ! 逃げろぉ!」
薄暗い石造りの遺跡の奥、軍服姿の男が二人、だらだらと話しながら、だらだらと歩いている。
「うーん、」
「どうしました?」
「眠い、疲れた、帰りたい」
「何だ、いつもの病気ですか」
「そう、俺の体は、真面目に働くと、全身が焼け爛れて口から火を吹き死に至る、恐ろしい病に侵されている」
「前回は、全身の穴という穴からあらゆる液体を垂れ流して惨たらしく死ぬ病、だった気がします」
「そう、働くと様々な症状が出る。ツライ。帰って昼寝したい、読みかけの魔導書読みたい、ただただぼーっとして時間を無駄に浪費して、逆に今日、なんかめちゃくちゃ余裕じゃね? みたいな何だか得した気分になりたい。やらないといけない事が多すぎて、任務してる場合じゃねぇ」
「凄い。どれも本当に、やらないといけない事じゃない。君の優先順位の概念は、著しく崩壊している。特に、最後の何ですか?」
「全てを諦めた者だけが得られる余裕」
「なるほど。全然分かりません」
そんな、不毛な会話を交わす男達。
そのうちの一人、眠い方の男は、魔法軍特務員ベルカである。彼について語ろう。
彼は、見た目がとても良い。均整の取れた肢体。薄い水色の目が印象的な鋭く端正な顔立。聴くものを魅了する美声。
少し長めの青黒い髪は、無造作な雰囲気で小洒落ている。
ラフに着崩した軍服が、彼の帯刀する、赤黒い意味深なオーラを放つ、魔剣の雰囲気と合間って、とてもスタイリッシュな印象だ。
そして、彼は実はとても強い。王国でも指折りの実力者である。
彼の使う炎の魔法は、周囲の全てを焼き尽くす。
「ん? 何だろう、、」
「今度はなんですか?」
「俺のカッコ良さと強さとオシャレさが、凄い良い感じに讃えられいる気がする。どうもありがとう。なんか」
「はぁ? 君なんて、見た目だけで中身はクズだし、自分の炎の魔法で熱に焼かれて髪は、痛みきってボサボサだし、軍服も、何枚も着るの面倒くさいって言って、上着一枚だけで、半裸で気持ち悪いし、その汚い魔剣、二束三文で適当に、この前買ってましたよね? どう言う趣味?」
「なんだよ、お前まで、褒めてくれてありがとう。俺流スタイルを貫いてて、カッコ良いだろ」
「……、うーん、顔だけなら、、」
シュウウウウ、、
「あ、あ、、、力が、、、」
この、つっこみを入れている、ですます口調の男。この男は、魔法軍軍医エリオットである。彼についても語ろう。
柔らかな薄茶色の長髪を、緩く三つ編みにし、服装は普通の軍服よりも、長めのロング丈の軍服。それを、とても綺麗に、きちんと着こなしている。
丁寧な口調、優しい微笑み、物腰の柔らかさから、とても聡明な人物であろう印象をうける。
実際彼は、頭が良い。自身の魔法、エネルギー吸収・放出の能力活かし、人を癒す。
そして、彼のする研究は、多くの人命を助けている。
「え? エリオットお前、そんな良い人間じゃないよなぁ!? ですますゴミゴミうるせぇし、知的なフリしてるけど、愛しの養護教諭、イーファ先生に好かれたくて擬態してるだけで、短気だし、凶悪だし、残忍だし、無慈悲だし、お前の研究、ただのマッドな性癖を活かした、殺戮兵器の開発だろ? 性癖がクライマックス過ぎて最終回だわ。怖えぇよぉ」
「あぁん?! いきなり何でディスって来てんだテメェ?! ゴミガキテメェコラァ!! 干からびてぇのか??! イワスゾボケオラァ!!」
「歳、一個しか違わねぇだろ……、え?! 何その語彙?! 言葉使い酷いよ、エ、エリオット先輩?!」
「……、はっ! え? 何の話ですか? 僕、突然、ここ数分の記憶だけが、抜け落ちています! 一体何が?!」
「いつもの病気だろ」
「お、恐ろしい、、僕のこの天才的な頭脳に収まっている、全ての知識を持ってしても、解明出来ない、恐ろしい病気です」
「お前は、馬鹿だ」
「馬鹿って言う方が馬鹿です」
「じゃあ、やめる。ごめんね」
「え、僕もごめん。人間、素直が一番ですよね」
「そう、俺は、だから素直に生きる。眠い。疲れた。帰りたい」
……。さて、人物紹介はもう良いだろう。
先程の爆発音、と、吸収音。
話しながら歩いているが、実は、彼らは今、好戦中である。
石造りの遺跡の中で、複数の敵に囲まれながら、喋りながら、戦いながら、薄暗い通路を歩いている。
彼らは、今、魔法軍の任務で、祖国の王国民をさらう、悪しき教団を調査に来ている。
その教団は、彼らの祖国の近海の離島、その離島にある遺跡を拠点としている。
彼らの所属する魔法軍はす私設軍隊だ。祖国の王家と協力関係にある組織だ。
彼らの祖国の重鎮、大魔女ソフィアの私設軍隊である。
この世界は、現在、シンプルに出来ている。
単純かつ、飽和している。これ以上の発展は無い。
超大陸が一つ。その大陸の南西に位置する大国が一つ。その大国はイチ王国と呼ばれている。大きな国はそれ一つのみ。
それが、彼らの祖国、約千年平和の続く城塞都市、千年王国、イチ王国である。
私は、この世界の群像劇を、ただただ、今後も観測していきたいと思う。
◆
ドカーーン!!!
「きゃああ!!」
「うるさいメス牛ですねぇ。等級をあげて出直して来てください。男女平等のご時世ですから、女性と言えども容赦しません。僕は紳士ですから、真摯に対応して差し上げます」
「やめろやテメェ、オラァ!!」
……、うん。今、何が、起きているかと、言うと、エリオットの口調を真似しながら、炎の魔法を放ったベルカの台詞を、エリオットが諌めている。
「ちょっと! やめてくださいよ!! 僕が酷いやつみたいに、思われるじゃないですか! 擬態すんな! ゴミカスクズボケコラァ!」
「お前はそもそも酷いやつなわけだが、いや、なんか敵の中に、女もいるし、コンプラ的にお前に全部罪を押し付けて、俺は凄い好感度高い良いやつ、みたいにしようかな? と思って」
「必要ありません。君の好感度は、その命が尽きるまで、最底の下ってまだあるの?! って言う感じで、最底辺を更新していくので、もう手遅れです。安心して下さい」
「マジか?! じゃあいいや。次々、殲滅します。どんどん行きまーーす」
ドカーン!!! ボカン! ボカン! ボカン!
彼らは引き続き、敵対組織と交戦中だ。
遺跡の奥へ進むたびに、出くわす敵へ、ベルカは次々と、火球を解き放つ。
強烈な熱量に押され、出会う敵は、蜘蛛の子を散らす様に逃げて行く。
そして、逃げまどう敵には目もくれず、二人は、しつこく、だらだらと、喋りながら、石造りの遺跡を奥へ、奥へと、歩いている。
「よし、だいぶ敵、出てこなくなったな。どんどん暗なるし、これはまた、眠くなるな。帰りたいな」
「そろそろ、深部まで来ましたね。後は、ボスキャラくらいでしょうか。あ、もう君の怠惰ネタ、飽きたからもう良いです」
「え? 飽きるとか無いし。俺の標準装備の状態異常だし。でも、なんかごめん。でも、ホント、もうすぐ帰れる。解放されるーー!!、……いや、、つーか、この教団、絶対ハズレだわ。大魔女様に言葉巧みに、ハメられてこき使われてばっかで、イラつく、、」
「ん? 急になんの話し? ハズレって何ですか? 何か探してます? 何か特別な調査の話しされましたっけ??」
「いや、最後の辺はうっかり出た、デケェ独り言。え、お前、俺の独り言をひろうくらい、俺に興味津々なの?! 俺の事、好きなの?! こ、怖い、、!」
「別に? 君の事は好きでも嫌いでもありません。四足歩行の魔獣が、二足歩行してて偉いなぁ、と言うくらいには、認識しています」
「偉いと認識してくれて、どうもありがとう」
「どういたしまして」
そんな風に、丁寧に、お礼を言い合える、仲のいい二人の眼前に、二手に分かれた道が現れた。
「あ、ここから道が、分かれていますね。どうします? 一箇所づつ回りましょうか? 二手に別れましょうか?」
「そうだな、お前、俺の事、大好きみたいだし、一緒に行ってやろうか?」
「そうですねぇ。じゃ、寂しいから一緒に行く、、わけねぇだろ!!! と、乗りましたけど、ノリツッコミ待ちやめて下さいね。そんな構ってちゃんの君とは、重いので、一緒に行きたくありません。さようなら。後ほど合流しましょう」
「はーい、先輩。ノリツッコミどうもありがとう」
「どういたしまして」
本当に、仲の良い二人だ。別れを惜しみつつ、二人は別々の道を言った。
引き続き観測する。
◆
「こっちがたぶん、当たりだな」
エリオットと分かれたベルカは、順調にダルそうに、敵対教団本部である、遺跡の最深部へと進んでいる。
途中、少し、敵に出くわしていたが、もはや、魔法を放ってはいない。
彼は、自身の周囲に超高温の、魔力のシールドを張り巡らせている。近づく事はおろか、飛び道具や魔法でさえ、彼に届く前に、魔力の熱の層で消滅していた。
敵は彼へ対抗する手段も無く、彼の敵が出来ることは、もはや、逃げ惑う事だけになっていた。
程なくして、敵も全て逃げさり、最新部についた様だ。
教団の創始者らしき男が、祭壇の前で身構えている。教祖っぽい服を着た普通の男だ。
突然の来訪者に、驚いている。
「な、何だ?! お前は?! 何処から来た?!」
「何でもねぇよ。ただのお使い。ちなみに普通に入り口から入って、普通に歩いてここまで来ました」
「ふざけるな!! 邪教の使徒め、、!! 誰か、来い!」
教祖の男の呼びかけに、返事は、ない。
ベルカが来た方向には最早、誰もいない。
「え? 結構ドカンドカンしてたけど、気づいてないの? お前の信者ならみんなお家に帰ったぜ? 自宅かあの世か、あ、お前らの信奉する、神の御許かな?」
「な、なにを、、?! ひ、く、来るなぁ!!」
「すぐにドカン! でも良いんだけど、ちょっと聞きたい事があるので、これから、君を事情聴取します」
ただならぬ気配を感じたのだろう。高圧的に出迎えた男だが、不遜に近づいてくるベルカに、既に恐怖している。
「くっ、この…!! 呪われろ! カオススパーク!!」
湧き上がる恐怖を振り払い、教祖の男は攻撃魔法を放った。
ドス黒い閃光が解き放たれ、辺り一面が黒い稲光に埋め尽くされる。
「おお! カッコいい感じの技名叫んだ!! それいる? 俺、叫んで気づかれる前にドカーン!!! ってやった方が早くねぇか派、です」
ベルカは敵の魔法を意に介さず、目の前の男を不遜に煽りながら、ただ近づいていく。
先程と同様に、炎の魔力のシールドによって、全ての攻撃は、彼に届く前に消滅した。
そして、その様子に、戦々恐々と怯えている、教祖の男の前に辿り着いたベルカは、おもむろに脚を振り上げ、、
ドカ!!!
「っ、、げほっ、、?!」
「ドカン! じゃ無くてとりあえず、ドカ! にしました。あ、分かりづらい??」
ベルカは、靴裏で彼の敵を、蹴り飛ばした。蹴られた勢いで教祖の男は、苦悶の表情で仰向けに転がる。
そして、彼は、仰向けに転がった教祖の男の口に革靴を、、うん。靴を口に捩じ込んだな。
少々極悪だが、出会い頭のマウントで、相手をねじ伏せ、敵の心を折るためだろう。
戦いのある世界だ。力の強い者が勝つ。
「あがっ、?!」
「よぉ、お前、王国民を攫ったよな? お前が、何でそんなふざけた遊びしてるのか、俺に教えてくれる気ある? あるなら、はいって言ってみな?」
「ふ、ぐぅ!!、、はぎっ、、ぃ、!」
「んん? はい、か?」
はい、と言っただろうか。とりあえず靴を離したようだ。
「げほっ、ひ、ひぃ!!」
腰が抜け、立ち上がれない男は、それでも何とか四つん這いで逃げようとしたが、ベルカに、後ろから踏まれ、地面に突っ伏した。
「プギュ!!」
「何だその音? かわいいかよ。え? お前、はいって言ったよな? 逃げずに早く答えてくれない?」
「ひ、はいぃ、」
「もうはい、じゃねぇ。テンポが悪ぃ。早く何の遊びしてるか、質問に答えろ」
「それは、、い、いや、、ダメだ!! 我が神は裏切れぬ!! 私は、、あっつう!!」
ベルカは、踏ん付けている足に、炎を纏わせ、男の背中を焼いた。
「あああ!! や、やめ、てぇ!!」
「おい、気持悪いわ! 悲鳴、襲われた女かよ! ちょっともう、お前ぇ! 早急に、質問に答えてくれよぉ。そろそろ、オレの眠さの限界」
「な、なぜだ! 何故、私が、この様な、仕打ちをされるのだぁ、、!!」
「はあ?! 嘘だろお前! お前が言う? ってやつだな。お前が攫った奴達だって、同じだよ? 突然、お前に、蹂躙されて終わったよ? 理由なんて教えてあげましたか? そう。理由なんて、どうせ死ぬのに、あっても無くても同じだろ、早く答えろ。もうカウントダウンする。あと寿命三分です」
「三分?! っ、、あ、悪魔ぁ、、、」
「ああ? ねぇ、俺の話、聞いてる? 神の次は悪魔かよ、好きだな人外。俺は、ただの人間だよ。さっきから自分の事を棚に上げてないで、自らの罪を悔い改めるのです。早く質問に答えなさい。あと、寿命10秒」
「カウント早くねぇ?! わ、わたし、は、、神の使徒、、」
「しつけぇ! うるせーーーー!!!」
ドカーン!!! ドカン! ドカン! ドカン!
なかなか質問に答えない男に、痺れを切らし、ベルカは周囲の壁に、やたらめったら火球を放った。
「ひぃ!!!」
「俺の、眠さと疲れと帰りたい欲求の限界、活動限界が来ました。ドカ、じゃ無くて、ドカンになりました。今すぐぶっ殺しても良いんですよ? もう後がありません。エリオット風です。はい、3.2.1……、はい!」
ベルカの、恐怖のカウントダウンに、つられて教祖の男は話し出す。
「は、……ひぃぃ、はい、答えますっ、! 我が神に、10人の贄を捧げれば、永遠の命と富を与える、と、約束されました、、神の声がしました」
「神の声、ね、どんな神だよ」
「この地に眠るワイトキング様です!」
「はい、来た! 誰だよぉ! ワイドキング! 絶対違うわコノヤロウ!! 命と富! くれるわけねぇだろ! ちなみに俺は、長生きしたくねぇ! 老後考えたくねぇ! 派です。もぉ、お前、馬鹿かよ! テンプレのクソ理由じゃねーか!! ふざけんなぁ!!」
「テンプレ?、、あ、あの、、」
「あのババア、わざとだな、、もう、帰るわ」
ベルカは足を離し、踵を返して、本当に帰ろうとしている。
ずっと煽られ、痛めつけられていた教祖の男は、突然の開放と、何やら一人でわぁわぁ言っているベルカに、ポカンとしている。
先程もベルカは、ハズレと言っていたな。ここの神は、彼の探し物とは違った様だ。
目的を達して、最早ここには興味が無いらしい。
敵としては、無慈悲な彼から逃れられて幸いだろうが、、ん? 嫌な気配がするぞ。
サァァァーー、
「これは、、?! ひ、ひぃ、、い??!」
「あ? なに?」
教祖と嘯く男に怪しい影が近づく。
これは、そうだな、10人の贄で復活と言っていたので、この男で、10人目となったのだろう。
ベルカに痛めつけられ、弱っている男を取り込もうと、怪しい影が這い寄った。
そして、男を飲み込み、漆黒の影が浮き上がる。彼らの神が、復活できる様だ。
ゴオオオオ!!! ガラガラ、っ!!
遺跡の天井を突き抜けて、王族の衣装をまとった巨大なドクロ姿の魔物が現れた。
復活してしまったな。見るだけで魂を吸い取られそうな、邪悪な姿だ。
巨大な魔物は眼前のベルカに、深く内側を抉り取る様な、恐ろしい声で言い放つ、
『ク、クク、、礼を言うぞ!! お前のおかげで、復活出来たぞ!! 王国の守りが固く、なかなか贄が集まらないので、痺れを切らしていた所だ!!』
「……」
『お礼にお前を、復活初めの供物にしてやろう』
「……、……」
『……おい、聞いているのか!!?』
おどろおどろしいオーラを放ち、全ての生あるものを呪い殺しそうな、恐ろしい出で立ちの敵を前にしても、ベルカはさして、恐怖もしていない様だ。上の空だ。
魔剣を上に向けて、自分も上を向いて、ぼーっとしている。上の空、空、、
空と言えば、この魔物のおかげで、壊れて見晴らしの良くなった天井から、空が見える。
空に、物すごい、熱気を感じる。
『貴様!! 私を前にしてその態度は何だ!!』
「……いや、僕、貴方の信者じゃ無いですし、急に現れて、急に凄まれても、え?! 誰?! ワイドキングって何?! ってゆーか、、」
『な、何だとぉ!!?』
「って言うか、お、お前、、!! よく考えると、復活しても骨って何だよ?! 肉忘れてない?! どうしたぁ?! 全然ちゃんと復活出来てねぇじゃねぇかぁ!! 馬鹿かよ」
『な、なに?!! さっきから貴様ぁ!!』
すごい怖そうな敵なのだが、全然ビビらないし、ずっと煽っているな。
しかし、この魔物に、もう、あとはないだろう。上空に、膨大な熱量の火球が出来上がった。これが落ちたら辺り一面、火の海だ。
「で、そろそろ、上見て、上。ワイトキング様? 上です」
『? 、? 、なっ???! あれ、は?』
「あれは、巨大な火球です。知ってる火球? あたるととても熱いし、燃え尽きるし、怖いやつです。俺の魔法です」
『か、火球なら、知ってるけど、、』
「よし! じゃあ、中途半端な復活で、可哀想な骨の王様、俺に任せろ!! 今度は無様に復活出来ない様に、きっちり火葬で、燃やし尽くしてやるからよぉーー!!」
『いや、……ど、土葬、が、良っーーーー、、、、クソォ!!!!』
カッ!! ーーーー、、
……遺跡が消滅した。
「ふぅ、離島の遺跡って、周辺環境への配慮を、考えなくて良いから楽だわ。……あ!!! やべぇ!! エリオット忘れてた。どうしよう。。え? 死んだ??」
彼は、大丈夫だろうか。
◆
「いた、いた、見晴らしが良くなって、探す手間が省けたな。ほら、回復しな」
全壊した遺跡の、燻る炎の中、瓦礫の下に倒れているエリオットがいた。エリオットは生きていた。
不意の状態で、爆撃をくらったのだろう。だいぶ、焼けこげているが、まぁ大丈夫そうだ。
彼もまた相当な実力者の様だ。
彼の能力であるエナジードレインを促し、自らの体力をベルカが分け与えている。
「ごほっ、、お、お前ぇえ、ゴミガキオラァ!!! ざけんなよ!!! オレの事、忘れてやがったナァ!?!」
「言葉使い」
「ウルセ、……ぐ、っあああ頭がっ!! あれ? 僕、今、何か言いました? ふう、さて、それで? 僕の方の調査は終わっていますよ。君の方は? あれ? 遺跡がありませんね? 何故でしょう」
「さすがだぜ先輩!! 気持ちの良い、切り替えの早さをありがとう。俺? 別に? 変な男が、変なデカい骨を復活させて、長生きしようと馬鹿やってただけだった。全部燃やした」
「いや、ざっくりしすぎ何ですけど、、まぁ、いいか。どうせ残虐非道の限りを、尽くして来たんでしょう、君は」
「はぁ? 俺なんて優しい方だろ。お前にネチネチ拷問されるより、俺にあっさりやられた方がまだマシだろ。エリオット先輩に比べれば俺なんて、優しい、優しい、善良な人間だよ?」
「や、優しいーー?! の、概念が、今、僕の中で崩壊し、再生しました。そうですね。優しい君、ちょっと聞いて下さい」
「概念が、巡り巡ったな。何だよ?」
「何故か、さっき凄い燃えたんですが僕、その謎の理不尽な殺戮への殺意によって、凄い殺意のこもった、凶悪な魔道具を思いつきましたぁ!!」
「ほう、、お前らしい。それで?」
「良いですか、聞いて下さい。内容です。あ、凄い喋るよ、大丈夫? 行きます→ ちょうど君の家くらいの範囲で爆発した後毒ガスが散布され三日三晩精神は覚醒し続けたまま肉体の苦痛だけが続いた後麻痺効果が付与され身動きが取れないまま全身の細胞が融解する呪いを与えて絶命させた後最後に残った骨を完全に溶かす酸を発生させ生命体が存在した尊厳も痕跡も跡形もなく消し去る様な、そんな、優しい、優しい、魔道具なんですが、あ! せっかくなので完成したら、君の家に送りますね!!」
「長ぇーー、!! あっはっは! ワンブレスで言ったな。じゃあ、受取拒否で、送り主に荷物が帰るかもしれないけど、せっかく考えてくれたし送っといて。じゃあ、荷物届くから帰るか。来るまで俺、家で、寝てて良い?」
「まだ、出来てすら無いし、一回、報告に本部に戻りますけど、とりあえず分かりました。帰りましょう。あ、、そう言えば、遺跡壊すなって、司令官が言ってましたよ」
「マジか、、え、、拷問器具でる?? まぁ、良いか、、」
凶悪な魔道具は本当に届くのだろうか。
本当に、仲の良い二人だな。にこにこと笑い合いながら談笑しているな。
調査が終わって、帰れるし、良かったな。
この場は万事解決した様だ。
今回の観測を終了する。