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サンタクロースな彼女

作者: ちくざう

12月25日


9:00


「お! 起きた起きた!! お寝坊さんめ〜」


朝、目が覚めると横には赤い帽子に赤い服、赤いミニスカートを身に纏った少女がいた。

茶色がかった長い髪を揺らしながら、やんちゃな笑顔で寝起きの僕にのしかかってくる。


「もぉ〜! 何その今にも死にそうな顔は!! 早く顔洗ってきなさい!!」


少女はそう言うと僕にのしかかるのをやめ、ベッドから引き剥がそうと必死に毛布を引っ張りだす。

まだ覚醒していない僕は、その少女の力に負けベッドからずり落ちる。


「痛っっっ…… 朝からなにすんだよ…… もぉ〜……」


雑な起こされ方に少し機嫌を損ねた僕は、洗面所に向かい蛇口を捻り、外の冷気によってキンキンに冷やされた水道水を顔に浴びせる。

この時期の冷たい水は相当効く。


「ぷはぁ〜!! 寒いけどやっぱりこれよな〜」


顔を洗い終え気持ちよくなった僕は、いつも通りの手順で歯ブラシを手に取り、歯磨き粉をウニュニュニュニュ〜とブラシの上に乗せる。左下の歯から磨き始め、右端まで磨いたら今度は左上から右にかけて磨き続ける。




9:15


「サッパリした〜」


冷水で顔を洗い完全覚醒した僕は、上機嫌に鼻歌を奏でながら洗面所の扉を開ける。


「あ! ご飯もう出来てるからちゃちゃっと食べちゃってね」

「お! サンキュー」


テーブルの上には、僕が毎朝食べている食パン。

その横には、バランスの取れたサラダに体に優しいヨーグルト。

男の1人暮らしとは到底思えない栄養バランスの取れた食事が目の前に並べられていた。


「いっただっきま〜……」


目の前のご馳走に勢いのままありつこうとしたそのとき、ある異変に気がつく。

その異変は、ポットで沸かしたお湯をコーヒーの粉末の入ったカップに注いでいる。

そして、そのカップをアチチチチと僕の元へ運んでくる。


「はい! 食後のコーヒーどうぞ!」

「……あの…… どちら様で??」




9:23


「ひどい!! 君が欲しいものに書いてたから!! こうして世話してあげてたのに!!」


全身赤色の服を身にまとった少女は、1枚の紙を僕の枕元から拾い上げる。

そこに書かれているのは『彼女が欲しい』ただその一文。


「サンタさんにこんなこと頼むなんて相当アレだよね君……」


アレとはなんだアレとは……と思いつつも僕は目の前でヒラヒラと見せつけられている一枚の紙から目が離せないでいた。


(あれは……確か……)


昨日の夜のことを思い返す。



12月24日


22:30


「あ〜疲れた……クリスマスイブはやっぱりバイト忙しいなぁ……」


アルバイトから帰ってきた僕は、服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる。

一日の疲れを癒すにはお風呂に入るのが適切ではあるが、明日も一日バイトのため簡単にシャワーで済ましてしまう。


「ビールビール」


シャワー上がりにビールを数本冷蔵庫から取り出し、バイト帰りに買ってきたお菓子を摘みながらテレビを見る。


大学2年生である僕は、まだ20歳になったばかりではあるが疲れた時はビールに限るというおっさん脳になっていた。


「どいつもこいつもクリスマスクリスマスはしゃいじゃって……お陰様でバイト先はリア充だらけで嫌になっちゃうよ……」


彼女がいないただの僻みではあるが、友達も少ない僕にとってクリスマスはただの日常に過ぎない。


「彼女がいれば、クリスマス楽しく感じるのかな」


ふとそう思った。

すでに3本ほどビールを開けていたせいか、少し頭がボヤボヤしている。もちろんまともな思考はできていない。


「ふへへ〜サンタさんにでも頼んでみようかね。『彼女が欲しい』って」


僕はすぐさま、近くにあったペンと紙を手に取りスラスラ走らせる。

幸い僕は都内の大学に進学しているため、実家を出て一人で生活している。

そのため、こんなことをしているなんて誰にも知られない。大怪我することはないのだ。


「くだらない……寝るか……」


『彼女が欲しい』と書かれた紙をそのまま放置し、ふらふらとした足取りでベッドに入っていく。




12月25日


9:25


「あれか……」


酔った勢いでやってしまった、誰も大怪我するはずのなかった些細なおふざけ。

にも関わらず、大怪我した人が一人。

そう、僕である。

目の前には全身真っ赤な衣服を纏っている少女がいる。よくよく目を凝らすと、サンタに見えなくもない。

というか、完全にミニスカサンタだこれ……


「そんなわけで、私が一日君の彼女になりにきたのよね」


少女はそういうと紙を放り投げ、左手を腰に、右手人差し指をこちらに向ける。


「だから、早く着替えて! 出掛けるわよ!!」


少女はにっこりと微笑む。その微笑みには少しだけ幼さが宿っていた。

そんな可愛らしい少女の姿に思わず見惚れてしまったが、気になるフレーズが耳に入ってきた気がする。


「出掛けるって、どこに?」


思わず聞いてしまった。


「どこにって、デートにでしょ。クリスマスに彼女とデートに行かないとかありえなくない?」


予想はついていたが、直接言われるとやはりどこかむず痒い。

嬉しい提案ではあったが、僕はその提案に乗るわけにはいかなかった。

なぜなら、非リア充な僕は予定ができるなんて思っていなかったため、バイトをフルで入れていたからだ。

その事実を彼女に伝える。


「え……嘘でしょ……」


少女は口をポカンと開け放心状態だ。


「こ、こんなに可愛い女の子が今日一日だけあなたの彼女になってあげるっていうのに!?」

「ごめん」

「そんなぁ……」


少女の目が少しだけ潤む。


「バイト、何時からなの……?」

「11時から」

「何時まで……?」

「8時まで」


短いやり取りの中、少女は膝をガクンと落としさっきまでの元気さが嘘のように消えていた。




11:00


僕が一日バイトだということを知り拗ねていた少女を家に置き去り、そのことを気にしないようにバイトに励むことを決意する。


「おはよ〜脇目わきめ

「おはようございますひびきさん」


僕がバイト先である喫茶店でお店の状況を確認しているとき、少し眠たげに響さんが僕に声をかけてきた。


「せっかくのクリスマスにバイトとか、脇目の非リア充ぶりは神がかってるね!」


脇目こと僕は、癖毛混じりショートボブのいつもどこか気怠げな一歳年上の先輩である響さんにいつも茶化されている。


「そんな響さんもバイト入れてるじゃないですか」

「やだな〜 私は就活で最近忙しいしお金も必要だから泣く泣く働いているのよ〜」

「三年生ともなると大変そうですね」

「そうよ〜、脇目も来年こうなるんだからね〜覚悟しとけよ〜」


響さんの気の抜けたような話し方で就活が上手くいくのかなと余計な心配をしつつも、バタバタとせわしなく人が行き来しているホールへ足を運ぶ。




14:30


お昼時にご来店されたお客様が続々と退店され、忙しなかったホールにしばらくの静寂が訪れる。

ホール中を走り回っていたため、疲労が溜まった僕は更衣室で一息つくことにした。

キッチンから拝借してきたコップにお水を入れ、それをちびちび飲みながら朝家にいたミニスカサンタコスプレしている少女のことを思い出す。


「思わず置いてきちゃったけど、大丈夫かな……」


そう思っていたのも束の間、コンコンと更衣室の扉がノックされ響さんが顔を出す。


「脇目、ここにいたんだ〜」


急いで来たのか、少しだけ息が乱れている。

そんなに急いでどうしたのかと尋ねると


「ミニスカサンタクロースの格好している高校生くらいの女の子が来てるんだけど……」


と突拍子もないことを言い出した。




15:00


突然の来客のため、休憩時間にホール端のテーブルを使うことを許可してもらいそこへ足を運ぶ。


「あ! きたきた!! やっほ〜」


そこには朝見た少女がサンタコスプレのまま座って待っていた。


「なんで、ここが分かったんですか?」


とりあえず席に座りながら最初に思った疑問をぶつける。

そんな僕をニヤニヤしながら見つめる少女。


「何でかっていうと、私はサンタクロースだから。サンタクロースはみんな魔法が使えるのよ!」


そんな冗談みたいなことを言い出した。


「なんですか、魔法って」


少し小馬鹿にした感じで疑問を投げかける。


「魔法は魔法よ。プレゼント渡す手段として空飛んだり、家に入るときに外から鍵を開けたり、そんな感じの魔法が使えるのよ! あなたの名前も家もバイト先も全部ぜーんぶ魔法で分かっちゃうのよね。」


そんなことあるわけないだろうと思うも、朝起きたときに少女が家の中にいたことを思い出して見ると少しだけ納得してしまうところがある。

寝る前に家の鍵は絶対閉めるし、何より朝起きてから少女がいることに違和感を抱くのにも時間がかかった。

それもこれも魔法の仕業だったのか。


「おまたせ致しました。ご注文のクリームパスタです。食べ終わりましたら教えてください、食後のデザートお持ちいたします。」


そんなことを考えていると、スタッフの一人が少女の元に料理を置く。それを上品にくるくるとフォークで巻いて食べ始める。


「ん〜!! おいし〜」


少女は次々と巻いては口に入れてを繰り返す。

それを見て僕もお腹が空いてきたため従食を頼むことにした。

この喫茶店ではフルタイムで働く場合、一食無料でご飯が食べられるようになっている。

お金の少ない僕のような学生にはとてもありがたい手当てだ。




15:50


ご飯も食べ終わり、そろそろ休憩時間も終わる頃。

目の前の少女は満足そうに食後のコーヒーを啜っている。

少女がミニスカサンタクロースの格好をしているため、そこそこ注目を集めてはいたが本人はそんなのどこ吹く風。

周りの目線をもろともしなかった。


「ねぇ、仕事早く上がれたりしないの?」


少女はコーヒーカップを両手で大事そうに抱えながら僕に疑問を投げかける。


「上がれるわけないだろ。生活もかかってるし、何より夜も夜でお客さんたくさんくるだろうからそんな中でシフトを乱す訳にもいかないしな」

「そんなぁ〜……仕方ない……8時までちょっと時間潰してくる……」


少女はぐすんと鼻をすすりながら空っぽのコーヒーカップをそっとテーブルに置き、レシートはそのままでカランコロンと出入り口の鈴を鳴らしながらその場を後にする。


「脇目〜あの子のお金立て替えよろしくねってマスターが〜」


響さんのその声を聞き僕は慌ててレシートを確認する。


クリームパスタ ¥800

クリスマス限定パフェコーヒーセット ¥1100


合計1900円。

一人暮らしの大学生にとっては中々に手痛い出費だった。




20:00


「脇目くん、今日はお疲れ様。もう上がって大丈夫だよ」

「ありがとうございます。お疲れ様です!」


マスターに労いの言葉をかけられ、僕は更衣室で着替えて他のスタッフにも挨拶をしバイト先を出る。

職員専用出入り口からお店の入り口の方へ足を運ぶと、そこには手をハアハアと息で温めながら寒そうにしているあの少女がいた。


「やっと来たわね! クリスマスデートがこんな時間からになるとは……」


少女はこの時を待ち侘びていたのか、僕の手を握りしめそのままこっちこっちと言わんばかりに力強く引っ張り出す。


「夜ご飯まだでしょ!」


と少女はご機嫌にズンズン前に進む。




20:20


しばらく歩いているとホテルが目に入った。


「あ! あそこあそこ! 君を待っている間色々探し回って予約してきたんだ〜!!」


右手でホテルを指差しながら、左手で僕の手をグイグイ引っ張る。


「ホ、ホテル!? 出会って間もないのにそれはちょっと……心の準備が……」

「えっ……何言ってるの? まさか変なこと想像してた? ごめん、それはちょっと流石にキモいよ……」


僕の不審な言動に少女はかなり引いている。


「え、だってホテルってそういうことするところじゃないの……?」


童貞で恋愛経験0の僕にとって、ホテルとはそういうことをするところという認識しかなかった。ましてや、男女2人でとなるとやましいことをする以外に何があるとまで思ってしまう。


「キモいわ〜……」


と少女はかなり引きながらも、握った手は離さないままため息混じりに説明を始める。


「ここのホテル、レストランが高層階に付いてるのよ。そこから見る夜景が綺麗だって評判らしいから来てみたかったのよ! もちろん、泊まらないし君の想像してるようなこともしないけどね。」

「そういうことね……」


少女に促されるがまま、ホテルに入りエスカレーターでレストランへと向かう。


「あの〜先程予約した脇目ですが」


どうやら予約は僕の名前でしていたらしい。

ウェイターは「お待ちしておりました」とミニスカサンタコスの格好した少女を気にも留めず、夜景が一番綺麗に見える席まで僕らを案内した。


「うひゃ〜! 綺麗!! これを見ながらご飯食べられるなんて幸せすぎるでしょ〜!!」


少女はかなりはしゃいでいる。

料理はコースらしく、お洒落で上品な盛り付けのお皿が並べられては片づけられを繰り返している。




22:50


「ふぅ〜……食べた食べた満足満足」


夕食を終え、少し夜景を楽しんでからその場を後にした僕らは、寒空の下二人で足並みを揃えて歩いていた。


「コース料理ってあまりお腹にたまらない印象あったけど、全然そんなことなかったね」

「ね〜! 私も初めてだったけど料理も美味しかったし、あそこ選んで正解だったよ」

「席も運良く夜景が一番綺麗に見えるところだったしな」

「あっ……うん! そうだよね、運良かったよね! あはははは〜」


レストランの感想を言いあっていると、少女は何か隠していることがあるのか少しだけ言葉が詰まる。


「もしかして、何かしたのか?」


嫌な予感がした僕は少し食い気味に聞く。


「まあ、少しだけ魔法を……」

「なるほどね」


ウェイターがこの少女の格好を気に留めてなかったのも魔法を使ったせいなのかと少し考えるが、考えても仕方ないことのように思えた。


「あ、あのウェイターが私の格好気にしてなかったのは魔法とかじゃないからね? 予約しに一人で入った時、あの人目かっぴらいてビックリしてたもん」


本当に考えても仕方ないことだった。


「なにそれ」


と苦笑いをしてしまうも、少女の自由奔放さが少しだけ愛おしく感じる。

短い時間ではあったが、どうやら僕はこのサンタの格好をした少女に惹かれてきているのかもしれない。

恋愛経験が無いためこれが好きということなのかはっきりとは分からないが、少なくともこの時間がこれからも続けば良いのにという思いは少なからずある。

そんなことを考えている僕を、少女はじっと見つめた後に口を開く。


「続かないよ」


少女はそう一言だけ呟く。


「何言ってるの?」


口に出していた会話とは脈絡がなかったため、キュッと胸を絞られたかのような感覚に陥るもとぼけてみせる。


「心の声、聞こえてるから」


真面目な口調で少女は続ける。


「私とあなたの関係はこれで終わり。ていうか、あなたは明日以降私のことを忘れる。私のことを見た人も明日には忘れている。」

「それも魔法?」

「そうだよ、私はサンタクロースなんだから本来は知られちゃいけない存在なの。だから魔法であなたを含めた全員の記憶を消す。」


少女の表情が真剣なところからこれは本当のことだということが分かる。


「それは残念だな」


思わずポツリと呟いてしまう。


「なにそれ」


少女は少し頬を緩め、先程僕が言った言葉を返す。

楽しい会話から一転し、人通りも少ない今、あたりは静寂に包まれている。


「はぁ〜……しょうがないなぁ……」


少女は深くため息をつき、僕の右腕にペタリと身体を寄せる。

少女の大きくも小さくもない、程よいサイズの胸の感触が伝わってくる。

それと同時に、少女の息遣いも先程より遥か近くに聞こえてくる。


「こっち見て」


その一言で僕は我に帰る。荒ぶった動悸を少しずつ慎重に鎮め、言われるがままに少女の方へと顔を向ける。


「クリスマスプレゼント、あげる」


少女はそういうと、僕の頬に左手を当てる。

次の瞬間、僕の唇が何か柔らかいものに塞がれていくのを感じた。

一秒か二秒か、それとももっと短かったのか長かったのか、僕は何が起こったのか理解ができないほどに困惑していた。


「メリークリスマス」


その一言を最後に、僕の目の前は真っ白になった。






目を覚ますと、そこは普段から見慣れている自分の部屋の風景。


「まさか……夢、だったのか……?」


これまでの出来事が何故かあやふやで、現実に起きたことなのかはたまたただの自分の妄想だったのか判断がつかない。

ふとスマホに目をやると、時刻は9時をちょうど指していた。日にちは12月26日。

財布の中を確認すると、何かあった時のために常に三万円ほど入れている中身が見事にもぬけの殻になっていた。


「やっぱり夢ではなかったか……」


今日はバイトも予定も何も入ってないため、気分転換に外に出ることにした。




12月26日


10:30


「あ〜脇目だ〜」


朝から腑抜けた声が聞こえる。響さんだ。

響さんも今日はバイトが無いらしく、休みを満喫していたようだ。


「一人で可哀想だから〜お姉さんが相手でもしてあげようか〜?」


力のないフニャフニャ声で僕をからかう。

特に予定も何もないため「お願いします」と一つ返事。

予想外の返答だったのか響さんは目を大きく開き、かなりびっくりした様子で動きが一瞬止まる。そして間もなくして、癖のある前髪をクリクリ弄ったあとに軽く微笑む。


「しょうがないな〜就活とかで忙しいけど、可愛い後輩のために相手してあげますか〜」


そんなことを言ってのける響さんの頬が少し赤くなっている気がした。

昨日の微かに残っている記憶が、僕にそのように感じさせたのかもしれない。


「そういや、昨日バイト先にサンタの格好した女の子来たの覚えてますか?」


街中を響さんと歩いているときに、ふとした疑問をぶつけてみた。

響さんは頭をかしげ、


「今時クリスマスだからってそんな格好してる人いないでしょ〜」


とクスクス可愛らしく笑う。

「変なの〜」と小馬鹿にもされた。


昨日の出来事全てにモヤがかかったような、唯一明確に覚えているのはサンタの格好をした少女がいたことだけだ。

顔もどんな子だったのかもよく思い出せない。

財布の中に入っていた2枚のレシートが、昨日の出来事が現実だったことを教えてくれる。


「もう一度だけ会いたいな」


思わず出てしまった独り言に、響さんは再び頭を傾げる。

気にしないでください、ごめんなさいと謝り、響さんはいつも通りに「可愛いやつめ〜」と身体をトンと軽くぶつける。

そんなやり取りをしている最中さなか、微かに聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「昨日は、ありがとね」


その声が聞こえた瞬間、風が強く吹き始める。

帽子を被っていたら飛ばされたであろうその強い風からは、なんだかとても愛おしく胸が締めつけられるような香りがした。


クリスマス前夜になんかクリスマスぽいことしたいなと思い、勢いだけで書きました。

クリスマスまでに投稿しようとしましたが間に合いませんでした笑笑

最後まで読んでいただきありがとうございます!!

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