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第一話

スペード「スポット、それは現社会の秩序を正しい方向に導くため国が作った組織である。

全ては機密情報のためここで働いているものはお互いの素性を明かさずコードネームを使用している。

彼らの役目は上層部「オークション」の人間から届いた依頼をこなし、テロ組織「オナー」からこの社会を守ることである」


シンク「ジョーカー、俺オーエン探してくるから」

ジョーカー「え? また居なくなったのか? 朝のミーティングには居たよな?」

シンク「なんとか椅子に縛り付けて参加させたんだが、ちょっと目を離したすきによ」

ジョーカー「ったくあいつは……いつも悪いな」

シンク「躾がなってないのは親の責任ってね。行ってくる」

ケイト「あれ、どこいくの? 今日依頼入ってたっけー?」

シンク「ああ、逃げた猫を探しにな。留守番は任せたぜケイト」

ケイト「げ、また~?!(扉しまる)シンクも大変だよね、オーエンとペアだなんて。あたしは絶対なりたくない!」

ジョーカー「ケイトとオーエンがペアになったらうるさくて仕方ないしな」

ケイト「なーにーよおじさんのくせに!」

ジョーカー「それ関係ないだろ! ってか俺はおじさんじゃな(い)……あだッ(ケイトに突き放される)」

ケイト「あ~ハイハイいいから離れて! 可愛いサイスにタバコの匂いがついちゃうでしょ! 今からふたりで美味しいケーキ食べるんだから! ね~サイス!」

サイス「……うん」

ジョーカー「相変わらずの馬鹿力だな……わかったよ……。だが、あんまり気を抜くなよ? いつオークションから依頼がくるかわからないんだからな。俺たちのやるべきことは……」

ケイト「社会と人を守る、でしょ? それに関しては任せてよ。あたし達プロなんだから! ねえサイス~? あーん!(サイスの口にケーキを運ぶ)」

サイス「あむ……ふんふん…(ケーキを食べてもぐもぐしている)」

ジョーカー「そのプロがサボりとはなあ……困ったやつだよ、あいつは」



高い鉄塔のようなところに座っているオーエン

ぼーっと下の町並みを眺めている。しばらくして紙袋をあさってサンドイッチを食べようとするところにシンクがやってくる


オーエン「……、……、あー」

※口を開ける前に「眺めている」ときと「紙袋を漁る」ときの息や鼻歌ください

シンク「なぁに食ってんだ? オーエン」

オーエン「ゴフッ……! ゲホゲホ!……し、シンクてめえ急に話しかけんな!」

シンク「急に居なくなったやつに言われたかねえなあ。お、それ美味いって最近噂になってたサンドイッチじゃねーか! 俺にもくれよ、な?」

オーエン「誰がお前なんかに!」

シンク「P-NSの予算」

オーエン「グッ……(ギクッとする)」

シンク「だろ? そのサンドイッチを買った金。どうしよっかなぁ、ジョーカーに言っちゃおうかな~~??」

オーエン「~~……(わなわなとして)……ほらよ……」

シンク「おーサンキュ!! やっぱ持つべきは優秀なダミーだな!」

オーエン「優秀? サボってチームの金で買い食いするやつがか?」

シンク「ま、それはいただけねえが、お前の成績がトップなのは紛れもない事実だしな」

オーエン「…………」(ふんといった感じ)

シンク「でもお前の力を最大限まで引き出せるのはマザーである俺だ」

オーエン「お前の手助けなんて要らない。別に俺は一人でもやっていける」

シンク「かもな。だが相手がオナーのメンバーであればそうはいかない」

オーエン「オナー?」

シンク「やっぱりちゃんと話を聞いてなかったな? 元々スポットは現社会の秩序を正しい方向に導くために国が作った組織とされている。だが、本当の目的はオナーっていうテロ組織の対策だ。最近はそのオナーに関する依頼が増えてきてる。どういうことか分かるか?」

オーエン「さあな。俺は来た依頼をこなすだけだ」

シンク「ふっ、ははは! まったく、お前らしいな。じゃ、そろそろ依頼がきてるかも知れないし戻らないか?」

オーエン「俺は俺の気分で動く。お前の指図は受けねえ」

シンク「なるほど。あ、そう言えばさっきケイトがケーキを買ってきてたんだけどなあ」

オーエン「……」

シンク「あの箱はたしか有名なパティシエが賞をとったとかの……」

オーエン「……イチゴのショートケーキ」

シンク「(ニヤリ)残念だなあ、オーエンが戻ってこないなら一つ余るし勿体ないから皆で分けて……」

オーエン「あああ帰りたくなってきたなあ?! さっさと行こうぜ」

シンク「お、本当か? じゃあそうしよう!」

オーエン「……ニヤニヤしやがって…くそ……」



ジョーカー「午前中にも伝えたが、最近オナー関係の依頼が増えてきている」

オーエン「ハグハグ……(ケーキを頬張っている)」

ジョーカー「オナーについての記録はほぼ皆無だ。だからやつらに接触した場合、相手の出方や能力が不明確なうちは情報収集をメインに立ち回ることが重要視される」

ケイト「5年もここに居てあたしがオナーのメンバーに会ったこともないし……正直オナー対策で設立されたってことも忘れかけてたわよ」

シンク「今になってどうして動き出したんだろうな?」

ジョーカー「あいつらの考えていることはさっぱりわからん。十分に気をつけるように……」

オーエン「あ~~~~(大きく口をあける)」

ジョーカー「オーエン~~?? 一体誰のためにもう一度ミーティングしてると思ってんだ!」

オーエン「(もぐもぐしながら)ああ? 俺はそんなのどうでもいいんだよ。オナーだろうがなんだろうが敵は倒す。それで文句ねえだろ?」

ジョーカー「そういうことじゃ……」

ケイト「成績トップのくせにほんっと頭悪いんだから! 今まで通りじゃだめだって言ってんの! あんたはいつもマザーのシンクを置いて一人で突っ走るじゃない!」

オーエン「俺ひとりで十分だからな」

ケイト「だぁかぁら! オナー相手にそれが通用するかが分かんないでしょって言ってんだってば! 何のためにマザーとダミーが契約してると思ってんの?」

オーエン「こいつが何の役にたつってんだよ?!」

シンク「あはは! また噛み付いてきた。オーエンは本当に懐いてくれないなあ」

オーエン「俺をペット扱いすんなシンク! ぶっ飛ばすぞ!」

ジョーカー「また始まった……いつもなんでこうなるんだ……な、サイス……」

サイス「……。ダミーはマザーの切り札で強くなれる……」

オーエン「あ?」

ケイト「サイス~~! そのとおりだよ~~偉いねー! ぎゅう~~~(抱きついて左右に揺れる)」

サイス「ふんふんふん……(抱きつかれて左右に揺すられる)」

ジョーカー「サイスを揺らすなケイト」

シンク「オーエンは今まで切り札の能力を必要としなかったしな。ここに所属したときに契約についての説明を受けなかったか?」

オーエン「知らねえよ。俺はおっさんにただ敵をぶっ飛ばせばいいって聞いただけだ」

シンク「躾は親の責任……」

ジョーカー「(苦笑い)ははは……すまん。説明出来るような状況じゃなかったんだ」

シンク「(少し笑ったような溜息)スポットに所属している人間は全部で10人。P-NS(ピーエヌエス)、P-WE(ピーダブリューイー)の2つのチームがあって、司令官を合わせた5人ずつで構成されている。それは分かるよな?」

オーエン「ああ、俺達はP-NS(ピーエヌエス)だ」

シンク「そう。そしてその司令官、うちでいうジョーカーを除いた4人もふたりずつのペアに分けられる。戦闘員として常に前に出るダミーとその契約者でありフォローをするマザー」

ケイト「知ってると思うけどあたしがあんたと同じダミーで、サイスがあたしのマザーね?」

シンク「マザーはダミーに影響を与える特有の能力を持ってるんだ。それが切り札ってわけだな」

オーエン「ふん、影響ね。どうせ大したことねえんだろ」

シンク「さあ、それはどうだろうな? 次の依頼で試してみるか?」


ノックする音


シンク「お、噂をすれば」

ジョーカー「(歩いてドアを開ける)……トリック、いらっしゃい」

トリック「こんにちは。オークションからの依頼をお届けに参りました」



トリック「今回の依頼は怪鳥の討伐です」

オーエン「カイチョー?」

ジョーカー「鳥だな? オナーに関する依頼は獣が多いような気がするが」

トリック「はい。オークションではオナーに獣を使役できる者がいるのではと考えてます」

シンク「なるほどな」

ケイト「で、その鳥は今どこにいるの?」

トリック「北の方からこの街に近づいてきているようですね」

サイス「早くしないと街が危ない……」

ジョーカー「そうだな。北には広い採石場があったはずだ。そこでそいつを食い止めよう。いい機会だ、お前ら全員で行って来い」

オーエン「はあ?! 鳥ごとき俺ひとりで……!」

ジョーカー「契約について学ぶためだ。うまく活用しているケイトとサイスに習ってお前も成長しろ」

オーエン「なっ……!」

シンク「OK、じゃあ行こうぜ」

ケイト「置いてっちゃうわよ? オーエン!」

オーエン「ちょ……! 待てお前ら……!!」


出ていく4人


ジョーカー「ふう……」

トリック「彼は相変わらずですね」

ジョーカー「……ああ」

トリック「ふうん、うまく動いてくれるといいんですけどね」

ジョーカー「……(少し睨む)」

トリック「やだな、そんな顔しないでください。僕はあくまでも、彼に期待をしてるんです」

ジョーカー「そうだな。俺も、あいつに期待してるよ」



※怪鳥の鳴き声

ケイト「ただの鳥じゃないだろうとは思ってたけど……」

サイス「おおきい……」

シンク「ああ。ありゃあ人間2、3人は乗れそうだな」

オーエン「チッ、ギャーギャーうっせえなぁ……さっさと黙らせて……!」

ケイト「待って、あれは今まで戦ってきたやつらとは比べ物にならない強さよ。全員で来て正解だった。あれは一人じゃ倒せない……!」

オーエン「んなの、やってみなきゃわかんねーだろ!」※鳥に向かって走り出す

ケイト「オーエン!!!! あんの馬鹿!!」

シンク「まあまあケイト、これも一つの方法だ。野良猫を躾けるための、ね」


オーエン「へっ、俺に突っ込んでくるか……いい度胸だ! 返り討ちにしてやる……! ハァァァァァっ!!!」

※突っ込んできた鳥を殴る

ケイト「嘘……! あの大きさ相手に殴って地面に叩きつけるなんて……!」

シンク「はは! さすがはオーエンだな。俺たちスポットに所属している人間の中で最も戦闘能力が高く優秀な人材」

ケイト「あいつ……本当に一人でやっちゃうんじゃ……」

シンク「いや、それは無理だ」

サイス「あれは足を止めただけ……攻撃は……」

オーエン「効いてねえ……俺の攻撃が全部あの羽毛に吸収されちまう……! ……だったら、てめえの身体にダメージ与えるまで攻撃を続け……、ッ!!!(攻撃に気づく)」


※鳥が雄叫びをあげながら爪で攻撃してくる

オーエン「早いッ!!!! くそ、間に合わな……! ぐあああッ!!!」

ケイト「オーエン!!!! サイス、お願い!!!」

サイス「わかった……契約宣言【エルディスト】!」

オーエン「ゴホッ……ガハッ……! 何だこいつ、でけえくせに……!」

シンク「な? 言ったとおりだろ」

オーエン「ッ! またお前急に……」

シンク「手を貸そうか?」

オーエン「はぁ?!」

シンク「俺ならお前をもっと強くすることが出来る。お前がちょっと"お願い"をしてくれれば、な?」

オーエン「誰が……、ッ!? またくる!!!」


※鳥が雄叫びをあげながら爪で攻撃してくるのをケイトが止める

オーエン「け……ケイト!」

ケイト「ぐ……ッちょっと! 呑気に喋ってる場合?! あたしが間に合わなきゃふたりともやられてたわよ?!」

シンク「切り札を使ったお前なら間に合うだろうと思ってな。これでも信頼してるんだぜ」

ケイト「あっそ!!! そりゃ、どおーも!!!!! はああ……! おらあッ!!!!(鳥を殴り飛ばす+追いかけて更に地面に叩きつける)」

オーエン「?! あの速さは……?!」

サイス「契約宣言……」

シンク「そ。あれがマザーの契約宣言によって強化されたダミーの力だ。サイスの切り札はスピードの強化。元の攻撃力に今の速さが合わされば、能力はお前とそう変わらない」

オーエン「あれが……契約の力……」

シンク「どうする? 俺と協力するか? オーエン」

オーエン「…………」


※怪鳥の鳴き声

ケイト「さすがにしぶといわね……それじゃあつぎは……!!!!」

※大きな攻撃音とともに怪鳥が吹き飛ぶ

ケイト「なっ……!!?? なに……鳥が一気に吹っ飛んだ……」

オーエン「へえ……なるほどな。こりゃあ悪くねえ」

ケイト「オーエン……! あんた、まさかシンクの切り札を……!」

シンク「契約宣言【ソリティア】……どんなものかと思ったらオーエンの能力を一時的に全面強化する力か。はは、とんでもないな」

サイス「強い……」

シンク「ああ。……どの切り札を使ったダミーよりも今のオーエンは強い」

オーエン「ハアアアアアアッ!!!」


※遠くで鳥がやられた爆発音

キング「あーあ、やられちゃったあ。あの能力強化、厄介だね」

テン「……そうね」

キング「どうしたの? あ、もしかして悲しくなっちゃった? 君の……」

テン「余計なことを言う暇があれば次の作戦を考えましょう」

キング「冷たいなあ。まあいいよ。どうせあいつらとはすぐに会える……ふふ……ふふふふ……」



ジョーカー「(たばこを吸って吐く)ふー……お疲れ様、その様子だとうまくいったようだな」

シンク「おかげさまでな」

オーエン「うるせえ! 今回は仕方なく使ってやったんだよ。てかこんな強くなれんならもっと早く言えよなおっさん!」

ジョーカー「散々言ってたんだっての! お前が聞く耳持たなかっただけだろ!」

ケイト「ジョーカー、もしかしてこの依頼内容が今までのオナーに関するものと違うって分かってて行かせたの?」

ジョーカー「さてね。ただ、嫌な予感がする。後日P-WEのメンバーとも合流でミーティングを行う予定なんだ。お前らも強制参加だからな、覚えとけよ」

オーエン「はああ? なんでそんな面倒なこと……」

シンク「そういえばそのミーティングのあとは料理が出るんだよな? 相当美味い飯が食えるんだろうなあ」

オーエン「ふ、ふうん? それならまあ……行ってやらなくもねえ」

ケイト「これだからオーエンは」

オーエン「ああ?! なんだよ俺が行っちゃ悪いってか?!」

ケイト「あ~ハイハイ!! 向こうに行きましょうねサイス~?」

サイス「うん……」

オーエン「おい待て、こら!! 待ちやがれーーー!!!!」


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