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短編ファンタジー

悪役令嬢と呼ばれるようなことはしていないと思いますの

作者: 中井 香

お初にお目にかかりますわ。わたくし、タイム国で悪役令嬢とされている、フェイと申しますの。

されている、というのは何と申しますか…わたくしは全く悪役のつもりはありませんのに、周りからそう呼ばれておりますの。

えぇ、腐っても令嬢ですわ。幼少の頃から教養を身に着けなければなりませんから、習い事ばかりして、他人と接する機会はあまりありませんでしたの。ですから、悪役令嬢と呼ばれることはおろか、わたくしの名が世界に知れ渡る筈がありませんわ。

わたくしが悪役令嬢とにわかに呼ばれだしたのは、先月、大きな地震が起きてからですわね。それが起きてから、魔物が湧き出し、勇者が現れたという噂がたち、わたくしは悪役令嬢と呼ばれるようになりましたの。

…本音を申し上げますと、その2つを並べられますと、わたくしがどう呼ばれるとか霞むと思いますわ。だからこそ不思議ですの。何か変な力が働いている気がしてなりませんのよ。

ある日、隣国のアタック国の兵士がいらっしゃいましたの。兵士が言うには、なんでも、わたくしのことを抹殺しようとしている人が来るかもしれないとのことですわ。

アタック国は、わたくしが悪役令嬢と呼ばれていても、国をあげて実害を及ぼしていないからと、特に何かしようとしているわけではありませんでしたの。国王の、実害のない隣国より、まず魔物の対応をしようという考えには助けられましたわ。

本当は抹殺されたくはありませんが、覚悟を決めて、国境の入り口に向かい、兵士や国民を傷つけさせずに殺される道を選ぶことにしましたわ。

国境の入り口で待ち続けて3日目、大量の魔物を引き連れた何かがやってきましたわ。先頭に立っていたのは、人間の見たりをした男性でしたの。

先頭にいた人間は、わたくしを見るなり、こう言い放ちましたわ。

「ふひひひ、やっぱ俺が思った通り、めっちゃかわいいなぁ。転生前の、この世界で一番かわいい女を悪役令嬢にしてほしい…が叶ったって訳か。ふへ、ふへへへへ、魔物、魔王を手玉に取り、悪役令嬢と結婚する勇者の話かぁ。ひひ、このシナリオを考えた神様には感謝しかないなぁ。」

神の気まぐれ一つで世界が大きく変えられた事実を悟ったわたくしは、引きつりながら笑うしかありませんでしたわ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] オチが良かったですね! 主人公の献身的な姿勢が好きです(*´∀`)♪
2020/02/15 12:28 退会済み
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