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ヘタレ魔王の拾い物

作者: Shin

シリアスに書こうとしたら序盤でキャラが崩壊し始めました(´;ω;`)書き物初心者なので生暖かい目で見てくれたら幸いですm(*_ _)m

ヘタレ魔王の拾い物


01.忌み子

手足が、身体が酷く冷たい、息も出来ない。そう思っていると、心の中で何かが「当然だ。」と嘲笑する。今は真冬、この地域の冬は朝昼晩と絶え間なく雪が降っている。そんな中、氷の張った湖の中に投げ込まれたら身体が冷たくなって当然、下手したら凍死してしまう。

しかし、この冷たくて死んでしまいそうな状況もあと少しの辛抱だと私は知っている。あと少し、あと少し、そう思っているうちにいつしか吐く息は白く手足の感覚など無くなってしまった。きっとそうして身体の芯まで 冷えきり、心の臓が止まった頃に私は、、、魔王様の贄となるのだろう。


私は忌み子としてこの村で育った。幼い頃に母と父に捨てられ、この村の前村長に拾われたそうだ。と言っても私にはその頃の記憶は無く、前村長も死んでしまった為確認のしようも無いが。村には元々歓迎されていなかったが、前村長が死んだことで私への村人の態度はいっそう酷くなった。だがそれも私が暗赤色の目黒髪の忌み子であるかららしい。「黒」という色は古より人間と敵対していた魔族が多く保有している色であり、この世界では不吉な色という言い伝えがある。その言い伝えを信じきっている村人は村の不作や疫病、それはを全て「黒」を持つ忌み子のせいにした。

そんなある年に雪が例年に比べ倍以上降るという事態が起きた、その年は不作が続き、病も流行った。それを「「魔」の色を持つものがいるから不運な事が起こる、魔のものは魔へ返すべきだ」という声が上がり、忌み子である私は魔へ返されることとなった。要するに生贄だ。

魔へ返すなど体のいい言い訳だ、村人は手っ取り早く忌み子を殺したかったのだ、だが楽には殺したくなかった、これまで村に不運を持ち込んだ忌み子を苦しませて殺したかったのだ。

それによって私は凍った湖の中に手足を縛られ投げ込まれたのだ。


あぁ、もう、意識が保てない。息が出来なくてどんどん水が体の中に入っていく、あぁ、苦しい苦しい苦しい苦しいっっ!、、、、でも、、、ようやく、解放される。。


02.魔界での出会い(視点??)

冬の魔界は人間界と同じように雪が降る。だが人間界と違うことは水場が凍ることは無い、花が枯れることがない、干して日が登ることがないという事。冬の雪の降っている間は太陽は出ず、代わりに夜の月がずっと出ている。月は魔族の力を高める作用があるため多くの魔族が外へ出ている。かく言う私も外を徘徊している。

「今日も月が綺麗だ。」そんな事を思いながら歩いていると、突然湖の方からパシャンッと音がした。この付近の湖は魔力溜りとなっている為立ち入り禁止区域となり結界を張っているのにおかしなことだ。

少し気になって見に行くと、そこには黒く小さなものが浮かんでいた。近づいてよく見ると、、人型をしているではないか!?慌てて湖の中に飛び込み人型のものを引き上げると、それは黒髪をした小さな少女だった。

「なんでこんな所に少女が、、、」

あまりの驚きで呆然としていたが、少女の身体の冷たさに気がついた、このままでは凍死してしまう。急いで連れて帰らねばっ。

体温を回復させようと己の屋敷に戻ると、

「何をしていたのですか!?こんの忙しい時期に1人で出歩くなど、上に立つものとしての自覚があるのですか?!己の責務を果たしているのならともかく公務を放棄して出かけるなど、笑止千万!そこに正座しなさい!」

、、、、一息に言い切り顔真っ赤した怒り心頭の私の部下がいた。だが今はそれで頃ではない。

「そ、そんな事は今はどうでもいい!とりあえず、暖かい湯とタオルを準備してくれ!」

こうしているうちに少女の身体はどんどん冷えきってっている。このままでは本当に死んでしまう。

「「そんな事」って、、貴方ねぇ?!っ、、、つてその少女はどうしたのですか?!濡れて冷えきっているではないですかっ、急いで温めねば!」

少女の存在に気づき状況を把握した部下は急いで少女を暖める為に準備をし始めた。

そんなこんなで医者を呼んだり温めたりとバタバタしながらも少女への対処をし終えて、数時間経つと少女の容態は安定したのであった。


「ところで主様、この少女って、「みなまで言うな!」人間ですよね」

………………全力で目を逸らし、「自分は何も知らん!」という態度を取る主を部下は胡乱な目で見つめている。

ー沈黙ー

「……言うなって、言っただろぉ!言わなかったら、まだ『人間っぽいけど、魔界だし、悪魔だろーなー』って思ってること出来たのになんで言っちゃうかなぁ!」

そして長い沈黙の飲みたい後、無理のある現実逃避が始まったのだった。

「いや、どう見ても人間でしょう。悪魔的特徴がない中その現実逃避は無理ありますって。見た目からして魔界への生贄として送られた子でしょうね。」

今は着替えさせて綺麗なシャツを着せているが、湖に浮かんでいた時はボロ雑巾のような服と呼べるか分からない布を身にまとっていた。そして少女の手には「魔界への捧げ物」だという旨の書かれた手紙が握ってあった。状況から見ても明らかに魔界へ捧げられた哀れな生贄であることが分かる。

「分かるよ?!分かるけどね?!人間って怖いじゃん?!面倒臭いじゃん?!」

「助けた時は普通に触ったりしていたではないですか、」

「そりゃね!?この子が生きるか死ぬかの境目だったから必死になるし恐怖なんてないよ!でもよく考えたら人間って100年ごとに聖女やら勇者やらが魔王城襲うし!魔物とか動物の被害の責任をこっち(魔界)に押し付けてくる面倒くs、、怖いやつらじゃん?!そんなのと関わりたくない!怖い!」

そう人間界と魔界は長い間、お互いが不干渉という暗黙のルールのもと平和な世界がつづいていた。人間界で1番大きな国が異世界より「聖女」なる者を召喚するまでは。召喚された「聖女」と共に勇者が選ばれ、魔王城へ乗り込んできたのだ。それが、100年ごとに行われた。その度に魔界からは手を出さず勇者共を追い出す事だけをしてきた。そして、聖女の召喚が行われることで人間界での魔力の動きが活発になり、魔物の活動が多発する。そして、その魔物による被害の責任を魔界に押し付けた。そして魔界を悪として聖女と勇者に魔界の王、魔王の討伐をさせる。その悪循環が起こっているのだ。自業自得なことを押し付けられ、攻めいられ続けると全くと言っていいほど非のない魔界の住人が人間のことを「面倒くさi、」もとい、「怖い」と思っても仕方ないのだろう。

「『怖い』より『面倒臭い』って気持ちの方が勝ってるじゃないですか!貴方ねぇっ!自分の拾ったものに責任を持ちなさい!それでも魔王ですか!?」

「これでも魔王だよ!とりあえず、この子をどうするかはこの子が目覚めてから決める!俺はそれまで近ずかないからお前が世話してくれ!頼んだぞ!じゃ!俺は執務室で書類を処理しとくからー!」

そう、この人間を恐れている男は魔王。魔界の頂点に身を置くものだ。今、部下もとい側近に情けない背中を見せ執務室へ逃げていったが。

「えー、、、任せたって、、」

そして魔王の情けない姿を見送った側近は1人残された側近は途方に暮れるしかなかったのであった。


03.目覚め

ふわふわとする、暖かい。あの冷えた湖中とは全く違う。心地の良い空間。そんな中、ふと意識が浮上した。

「……ここ、は?」

周りを見渡すと豪奢過ぎず上品な部屋だった、外は雪が降ってまるで夜のような景色だ。それにしても湖で凍え、溺死するはずだった己が生きているのが不思議でならなかった。ガチャッ。部屋に誰か入ってきたようだ。

「失礼致します。、、、お目覚めになっていたのですね。どこか体調の悪い所や痛い所はございませんか?」

どうやらメイドさんのようだ。ただ、、、猫耳に尻尾が生えている。人間でなく猫獣人なのだろう。

「……大丈夫、、です、。」

「あら、3日ほど眠っていらしたので、声が掠れていますね。お水を持って参りましたのでお飲みください。」

綺麗なコップにお水を注がれた、とても美味しい、こんなに美味しい水は初めてだ。

「ありがとう。」

「いえいえ、これが私の職務ですのでおきになさらず。少し状況をご説明しますね、貴方様は魔界と人間界の境の森の奥にある湖で魔王様に拾われたのです。貴方様の人権は約束されております。今後のことについては貴方様がお目覚めになってからお話しするという事でしたので、もうすぐ魔王様がこちらへ来られるはずです。」

魔王?魔界?………マジでか、

「あの、私、行儀とかなってなくて、魔王様に会うなんて出来ません。」

「大丈夫ですよ。安心してください!魔王様はとてもお優しいのです。それに、己の意に反して魔界への生贄として来てしまった人間界の方に対して貴族のような礼儀を押し付けるような方ではございません。」

「そうですか、わ、わかりました。」

いや、大丈夫じゃないよね、薄汚い自分のような小娘にお国のトップが会うなんて大丈夫じゃないよね?!

ドタドタドタドタドタ、バタンバタバタドテ-ンッ

なんか凄い音がしたんだけど、、

「……魔王様がおいでになったようです。それにしても、、、あのような大きな音を立てて淑女のお部屋へ来るなどと、、後できちんと進言しなくてはなりませんね、フフフフ。」

「あ、あの、メイドさん?」

「フフ、冗談ですよ。私の名前はオフィーリアと言います。淑女と男性を2人きりにする訳にはなりませんので、私もお部屋にはいます。ですのでなにかあったらすぐ呼んでくださいね。」

「あ、はい、ありがとう、ございます。」


04.対面

ガチャッ!!!

「目覚めたとは誠のことかっ!ぶはぁぁぁぁあ!」

メイドさん、オフィーリアさんとのお話がひと段落したところでいきなりお部屋に男の人が飛び込んで来たと思ったら、、オフィーリアさんがその男に向かってクッションを投げていた。

「オフィーリアさん、あの人魔王様では無いの?クッション投げても大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。淑女の部屋にノックもなしに飛び込んで大声を出す男など私は知りませんわ。そのような紳士あるまじき男に投げるのはクッションでなく石でもいいくらいですわ。」

……オフィーリアさんはめちゃくちゃいい笑顔でディスっていた。

少女はこの人を逆らってはいけないと悟ったのであった。

「オフィーリア!いきなりクッションを投げるな!」

「「いきなり飛び込むあなたが悪いです」」

いつの間にか居たもう1人の男性とオフィーリアさんの声が見事にシンクロした。その人も猫耳尻尾が生えているし、色彩もオフィーリアさんと似ている。兄妹なのだろうか。

「ぐぬぬぬ、わ、わかったよ、すまなかった。」

「謝るのは私にではありませんわ、先程目覚めたばかりなのに驚かされたこの方に謝るのではないのですか?」

オフィーリアさんは私の方を手で指し示し、気のせいか魔王と思われる方の方を睨んでいる。すると、

「驚かしてすまなかったな。」

魔王が謝ってきた。もう一度いう、「魔王」が謝ってきた。それでいいのか、魔界のトップが。いいのか。

「あ、いや大丈夫、です。おきになさらず。」

「そ、そか、ありがとう。」

ー沈黙ー

「えー、とりあえず、自己紹介からしましょうか」

魔王(と思われる方)と一緒に入ってきた男性が沈黙を見かねたのか自己紹介を提案してくれた。

これは、私からやるべきなのだろう。

「じゃあ私から、魔界から少し離れた人間界の村にいました。名はありませんが黒と呼ばれてました。魔界へは生贄として捧げられました。お助け頂きありがとうございました。」

まぁ、こんな所だろう。

「じゃあ、次は俺だな。魔界の王をしているシュバルツという。湖でお前を拾ったのも俺だ。まぁ、よろしくな。」

やはりいきなり部屋に入ってきた、男が魔王だったようだ。

「次は僕ね。僕は魔王様の部下、秘書をやっているレインというよ。魔王様が君を連れてきた時はびっくりしたけど、目が覚めてよかったよ。」

オフィーリアさんに似てるこの人は優しそうな物腰だが、どこか逆らったら怖そうな雰囲気だ。

「最後に私ですね。改めましてオフィーリアと申します。魔王様の側近を務めております。今後貴方様のお世話をさせていただきますわ。よろしくお願いしますね。それと、そこのレインは兄で私達は兄妹ですわ。」

やはり兄妹だった。雰囲気が、こう、「怒らせたらヤバい」みたいなくらい感じが似てる。

「にしても名前がないのは困ったな、レイン、オフィーリア、なにか案はないのか?」

「「拾ったのは魔王様だから魔王様がお付けになってください」」

えぇ、いや、名前を付けるのはいいけどそこもシンクロするのか。

「わ、わかった。俺が付ける。お前もそれでいいか?」

「あ、はい、大丈夫です。」

名前、ね。昔母様と父様に呼ばれていた気がするけれど、もう思い出せないな。

「よし、じゃあお前の名はノワールだ。お前の髪と瞳は穢れのない綺麗な黒に暗赤だ。そんなふうに何にも穢されない強い子になりなさい。」

そう言って私の頭を撫でる魔王はとても優しい顔をしている。

「魔王様、人間怖いとか言ってませんでしたか?」

え、人間怖いの?この人(魔王)

「あ、いや、その、無害そうだし、か弱いし、こう恐怖心より庇護欲が勝ってな。ハハ。」

レインさんがすごくニヤニヤしてる。

「へー、そうですか。貴方、ノワールですね。良い名を頂きましたね。」

そう言うとレインさんも私の頭を撫で始めた。そんなに撫でやすそうな頭をしているのだろうか私は。

「はい、素敵な名前を頂きました。ありがとうございます。それで、あの、私は今後どうなるのでしょうか。」

そうだ、私の今後の話をするために来ているのに随分も脱線してしまった。

「あ、それは俺から話させて貰うぞ。ノワール、お前は今後魔界で保護する。もちろん拘束など人権を侵害するようなことはしない。オフィーリアの元で魔界のことを知り、1人で生きていけるように教育してもらう。ここまではいいな?」

「はい、大丈夫です。」

「よし、この教育の後は魔界で生活するなり、人間界で生活するなり好きにしていい。仕事を探す時は手伝うし、協力もするよ。俺は拾ったものには責任を持つからね。安心して暮らすといいよ。」

なでなでなでなで。凄い撫でられる。そんなに撫でやすい頭か私。それにしても至れり尽くせりだけどいいのかな。

「あの、私、体力とか回復したらお城のお手伝いをしたいです。お勉強しながらでいいので、なにか手伝わせてください。」

魔界の住人(魔王城幹部)3人は思った!『『『健気か!』』』と。

「ノワール様、わかりました。私がお勉強と一緒にお仕事も少しずつ教えますね。」

「ありがとうございますっ。」

オフィーリアさんには沢山お世話になるから今後なにかお返ししよう。

魔王様がじっとこちらを見て、手を差し出して来た。

「これからよろしくな。ノワール。」

「はい!よろしくお願いしますっ。頑張りますっ。」

私は生贄としてでなく1人の少女として魔王様の手を握り返したのである。いつか必ずこの方々に恩返しをすると誓って。


そんなこんなで、生贄となった少女は魔界にて新たな人生を歩むことになった。

この少女が今後魔界最強の魔法騎士となり、魔王の妻になるなどこの時は誰にも想像出来なかったのである。

続く、、、、かも、しれない?( ˙-˙ )

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