第3話 俺はニセ金づくりをしているのか?
「ま、待てよ。もしかしたら、これはトラップかもしれない」
昔見たドラマの話を思い出していた。
お札を高性能な印刷機でコピーする。
用紙も似たものを使う。
だけど、番号が全部同じでニセ札とバレた。
そんなストーリーだった気がする。
「やばい、やばい」
もう少しで俺はニセ札づくりをしたことになり、バレて捕まるところだった。
『なろう映画』と違って現実では、そんなうまい話なんてないものだよな。
俺を喜ばせておいて、実はひどい目にあわせようという女神のいたずらなのか。
お金というのは、それぞれ番号がついているんだ。
同じ番号がついている札があってはいけない。
あったとすると、どちらか、もしくは両方ともニセ札なんだ。
「ふぅ、よかった、気づいて。もう少しで俺は犯罪者になるとこだった」
どんな仕組みかはわからないが、この財布はお札のコピー能力があるのだろう。
一度、取り出すと、元々あったお札と同じものがコビーされる。
超高性能な立体プリンターなのか。
財布サイズの小型化に成功した。
最先端の技術に違いない。
「となると、この100万円の束は、元々俺の財布に入っていた1万円札と同じ番号だ」
ほら、番号を確認するとな……
「なんだ? 全部バラバラじゃないか」
おかしい。
ここにある100万円は、普通にATMから引き出したようにバラバラの番号。
帯のついた新札100万円の連続した番号でもなければ、コピーした同じ番号でもない。
ありがちの刑事ドラマの誘拐犯のセリフを思い出した。
「番号がバラバラの1万円札で3千万用意しろ」
犯人が電話で誘拐した子供の親に要求する。
横で聞いている刑事がうなづく。
そんなシーンだ。
この財布から取り出したお札は、誘拐犯も喜ぶバラバラな番号のお札だ。
「女神様、素晴らしいプレゼントをありがとうっ」
俺はとうとう、今、起きていることを認識した。
そして、それを引き起こしてくれた女神様に感謝をささげた。
ちゃらららったらーーん♪
俺は使っても減らないチート財布を手に入れたのだ!
無限に使える金。
これからの人生はバラ色になる。
俺はそう信じることにした。
これでお金が無限に出てくるようになりました。
すげー、俺だったら!!!
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