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番外『マグロス』編6話 猫心より女心は難しいな

「あーあ。明日には帰らないとダメなの。帰りたくないな」


猫島で仲良くなった女性。

猫に恋している彼女は、1週間の有給休暇を使って猫島に来たらしい。


そのお休みも明日まで。

だから、帰らないといけない。


「帰りたくないなら、ここに住めばいい」


猫に恋している彼女は猫と一緒にいることが、やりたいことみたいだ。


「そんなことできる訳ないじゃん。ずっと島猫達と一緒にいたいけど」


まぁ、そうなんだろうな。

きっと、やらねばならないことがたくさんあるのだろう。


「東京で待っていてくれる人がいるのか?」

「そんな人、いたらいいわね。一人暮らしだし、恋人はいないし。ペット禁止のマンションだから猫もいないし」

「じゃあ、この島に来ても問題ないんじゃないか?」

「無理言わないでよ。仕事があるでしょ」


話を聞いていると、どうも派遣の仕事をしているみたいだ。


派遣なら一定期間でひとつの仕事場は終わりになる。

そのタイミングで猫島に来たらいいと思うのだが。


「派遣はね。派遣会社が派遣先をマッチングしてくれるの。派遣会社の望むような行動ができない人には時給の良い仕事はもらえないのよ」


うーん、そういうものなのか?

派遣の仕事というのは、簡単に仕事を中断できるのがいいと旅行好きな人が言っていたな。


数年仕事をして、半年とか1年くらい海外で生活する。

そんな生活ができるのも派遣という形の仕事があるからだと笑ってた。


同じ派遣なのに、考え方が違うんだな。


「だいたい、この島に来ても仕事などないでしょう。遊びに来るのとは違うのよ」

「いや。この島に移住している人達はいろんな仕事をしているぞ」


まぁ、最初に移住した美代子さんは、カフェやホームステイ、最近はシェアハウスも運営している。

だいたい、移住するとお金がかからないって言ってたな。


「こっちは家賃が安いぞ。そのうえ、野菜はほとんどもらえるからタダみたいなものだぞ」

「それ以外のお金がかかるのよ。いろいろと」


うーん、そういうものか。

猫に恋しているなら、猫と一緒にいれば娯楽など必要ないって美代子さんは言ってるけどな。


「まぁ、都会の世界が好きなら仕方ないな」

「何、言ってるのよ。都会の生活なんて嫌いよ」


うーん、おかしいな。


いろんな料理が食べられる、なんでも売っている、レジャーもたくさんある。

そういう都会の世界が捨てられないなら、猫島移住は無理だろう。


だけど、都会が嫌いなら猫島移住も考えられると思うんだが。


そういえば俺はチート財布を拾う前から都会の生活を捨てていたな。

住んでいたのも都会というほどのところじゃないし、風呂無しアパートだった。

娯楽といえばなろう映画くらいしかみなかった。


俺が猫に恋していたらきっと。

この島を知ったら移住していたかもしれないな。


「それなら、休みをまた5日ほど作って移住体験してみたらどうだ?」

「なにそれ」


美代子さんを中心とした猫恋チームとスローライフチームがやっている体験プロジェクト。

まだ始まったばかりだから、参加者はそれほど多くないって言っていた。

猫島に移住したらどうなるのかを体験できるプログラムらしい。


「そんなのあるの? 次はそれ参加しようかな」

「いいと思うぞ」

「移住なんて夢の夢だって知ってるわ。ファンタジーだとしても、夢くらい見てもいいわよね」


うーん、それってファンタジーなのだろうか。

猫に恋している人にとってたくさんの猫とずっと一緒にいる生活はファンタジーなのだろう。


だけど、やると決めたら現実化すると思うんだが。

仕事とか、生活とか。


乗り越えないといけないことはたくさんあると思う。

だけど、乗り越えるためには、まず「やる」と決めないとダメなんだけどな。


そうか。

今の俺は、「やりたい」を選んだ人達に囲まれているんだ。


美代子さんもみゆちゃんも。

美咲さんも美波さんも。


みんな「やりたい」を選んだ人なんだ。

渋川社長も翔も、そして、俺も。


「やらねば」を捨てて、「やりたい」を選んだ人。

それが楽だとは言わない。


みんな、ギャーギャーいいながら、「やりたい」を続けている。


でも、楽しそうなんだよね。


俺の「やりたい」は、「やりたい」を持っている人の「やりたい」を実現すること。


そのためには、成長の可能性があったS&Sを手放した。


俺がやりたいのは、世界企業を作ることじゃない。

それをやりたいゴーグルの人達に任せればいい。


その代わり、誰かの「やりたい」を実現するために必要なリソースを手に入れる。


また、スタートアップ企業に投資して、可能性を広げてあげればいい。


チート財布を拾って、無限の収入を手に入れて分かったこと。

俺は金を使うのは、向いていない。


豪遊するのが得意じゃない。

キャバクラ豪遊…あー、キャバクラ豪遊は楽しかったな、あれだけは好きだ。


それ以外はあまり楽しいものじゃなかった。

豪邸も買ったけど手放した……ちょうど欲しいというお金持ちと知り合ったのもあるが。


この彼女は、心では島猫と一緒にいたいと感じている。

これは間違いなく伝わってくる。


だけど、言葉に出るのは「無理」ばかり。


どういうことだろう。


猫心は分かる気がするが、「やらねば」を選んでいる女の気持ちはどうも分からない。


何をしたくて、「やらねば」を選びつづけるのか。

そういう人に何を伝えればいいのか。


「人間は心と頭がチクハグで分かりません。それはエラーです」


そんなことを言っている海底宇宙人の気持ち、わかる気がするぞ。

海底宇宙人の主流派が人間をエラーだらけの不良品だから殲滅するというのは違うと思うがな。


心と頭のエラーを破壊するには、ミンリーの「愛、溺れていますか」の歌がいるのか、それともマグロスのオロチ時空砲をぶち込むのか。


相当硬い壁があると、猫に恋する女性と話して感じてしまったぞ。


悠人はそう言ってますが。


僕もやっぱり、現実世界では「やりたい」より「やらねば」を優先しているな。

この8月にやっとひとつ、「やらねば」を手放して、「やりたい」優先人生に近づいてきた。


海底宇宙人の主流派に人類殲滅されないように…「やらねば」手放しをみんなでやっていきましょう。(笑)



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[一言] 返答ありがとうございます。 >「俺だっていつかは」 >こんなことを言っているといつかは永遠に来ない。  例えば、漫画家になりたいなら、なりたいと言うだけじゃなく漫画の練習をしろ、みたいな事…
[一言] >乗り越えないといけないことはたくさんあると思う。 >だけど、乗り越えるためには、まず「やる」と決めないとダメなんだけどな。 ……要するに、ただ生きてるだけじゃ駄目、趣味(生きがい)を持たな…
[一言] ふむ…海底宇宙人へのアプローチが斜め上から降ってきました。 そりゃそうか、マグロス本編ではなかったのでした(笑) やらねば、と、やりたい。 自分が置かれている立場への強迫観念的な押し付けられ…
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