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7日目 心層世界《魔女ラビリンス》 第一層《記憶の間》

久方ぶりの投稿です! (b・ω・d)イェァ♪

「元気にしてたかしら? 憎き巫女少女ちゃん。 私はとても最悪な気分だったわよ・・・・とてつもない程にねェェェ! あんたら巫女のせいで魔神わたしたちは腐った人間かとうせいぶつに穢されたのよ! 知りたい!? どんな風に私達--魔神が穢されたか!?」


強欲アワリティアの魔神』--オルフェス・エルケナートは自身の白い頬に爪をたてて悲痛と怒りの入り混じった表情で恨み節を叫ぶ。抉った頬からは沢山の血が滝のように流れるがそんなことお構い無しに『強欲アワリティアの魔神』は叫ぶ。


叫び声は段々と大きくなり、地が揺れ明るかった空が嵐へと姿を変える。周りに無雑作に置かれている死体の山が亀裂の出来た地面の底へと消えていく。 アルゲリッチ•ロンデコナだった燃えカスも、虚ろな目をしたリリーナ•アーレント、そして--本当に死んでいるのかと疑うほどに綺麗な顔で目を瞑るクリトリア•セーランス

さえも地の底へと消えていく。


「クリ...アァァァァァァァァァァァァア!!」


銀色の髪を乱しながら、頭を押さえて喉が張り裂けんばかりに叫ぶ少女--リレア。 怒りでもなくましてや喜びでもない。 頭を心を蝕むのは【絶望】の感情のみ。 途端、彼女の周りの空気が爆ぜて白光が『雪月せつが』全域を包んだ。 その光は『雪月』だけでは飽き足らず全ての世界を白に染め上げ始めた。


とある北方の大国では、凶悪な病が一瞬にして浄化された。 それはその大国だけではなく世界中でその現象は起こっていた。 闇だけを浄化する白光。 それは『強欲の魔神』も例外ではない。


「・・・い、いや!? 何なのよこれはぁァァァア!? まだ復讐できてないのに・・・こんな小娘にィィィィイイ!!」


白光に触れた部位が徐々に燃えていき悲痛の叫びをあげながら『強欲アワリティアの魔神』--オルフェス•アルケナートは消滅した。 依り代であった青年と共に。暫くして白光が消え、膝立ちのまま動かない白銀の少女だけがそこには存在していた。 それはどこか神秘的で美しかった。 これが後に巫女と呼ばれる少女の物語だ。


「・・・ここから先のページは申し訳ありませんが存在しません」


俺の前に座るさらさらの白銀の髪に紅い色の瞳をした女性--アストラ•レムリア•フリューゲルは膝に置かれている『巫女物語』と記された分厚い一冊の本を閉じた。 すると、本が消滅した。恐らく元の場所へと帰したのだろう。


「構いません、後は私の中にいる彼女達に聞いてみますよ。 アストラさんは私に巫女についてお話してくれました。 それだけで充分感謝しております」


「あぁ、なんて寛大な心をお持ちで。 やはりあなたこそが巫女様の生まれ変わり! 何年貴方様を待ち焦がれていたか!!」


「あ、ハハハ。 それよりアストラさんにお願いがあります」


俺は苦笑いを浮かべ、その後に顔を引き締めて、ここに来た本題を話し始めた。


「私と共にここに来たヒナという少女にかかっている呪いを解いて欲しいんです」


「そんな事ですか。 分かりました、今から彼女をここに転送しますので少々お待ちください、巫女様」


「分かりました、ですが私も一刻を争う状況なので早めにお願いします」


「承りました、巫女様」


そう言うとアストラは横に置いていた杖をトントンと二回、床をつつくとその部分に水の波紋のようなものが浮かび上がった。 そしてその波紋の中から布団にくるまり眠る少女の姿が現れた。 眠っている様はまるで眠り姫のように見えた。 自分がどれほど危険な呪いをかけられているのか理解しているのかと思うほどに安らかな眠りをしている。 自然に自分の口元が緩むのを感じた。 自分の必死さが馬鹿みたいに思えてきて怒る気力も起きない。


「それでは、呪解じゅかいを開始します」


アストラさんは杖で床に五芒星の魔法陣を描いた。途端、白光に輝く魔法陣がヒナの周りを囲むように浮かび上がった。 その白光は徐々に輝きが増していき、アストラさんは杖を前にかざして呪解の魔法詠唱を唱え始めた。


「光精の女神アストテリアに安らぎの歌を-- 汝の光は慈愛の癒し--我の力を礎に眠りし姫を永遠の闇という名の死から救いたまえ!! 神聖術〈終呪ノ解〉」


詠唱が終わると、ベッドにくるまって眠っていたヒナの胸あたりから宝石のようにキラキラと蒼く光る石が現れた。 その石は生きているかのように鼓動を鳴らしている。 瞬間、ヒナの胸あたりから紅黒い鎖が何本も現れ、蒼く光る石に巻きついた。 まるで逃がしまいと石を捕縛するように。 俺は呆然としたまま、その光景を眺めていると、


「これが彼女が起きない理由です。 あの鎖が彼女の心を捕縛している限り目覚めることはありません」


「え? じゃぁ、どうすれば!?」


「それは今から説明します」


アストラさんはそう言って鎖で捕縛されている石に右手を向けた。


「眠りし少女の心の扉を開きたまえ」


そう呟いた瞬間、捕縛されていた石が先程以上に眩き電気が流れるような音を響かせながら、姿を変えていく。 それは大きな門。 時折、電気のバチィという音が鳴る。


「これが心層世界の入口です。貴方様には彼女の心の中へと行っていただき、そこに存在する心層迷宮全六層踏破をしてもらいます。というのも六層に辿り着かなければ彼女を救うことはできません。全六層に彼女を眠らせている元凶の根《不完魔神アプティフィア》と呼ばれる魔神の一部から生まれた不完全な魔女が存在しています」



「《不完魔神アプティフィア》・・・」


俺はその名を聞いて歯ぎしりをさせた。 あまりにもクソみたいな呪いだ。 転生らちられただけの俺達が、それもヒナがそんな呪いをかける何てイカレてやがる。 こんなクソな呪いをいち早く解いて元凶である本物の魔神共を殺してやる。


「アストラさん--行ってきますね」


「気をつけてください。 一度失敗すれば、二度とチャンスはありません」


「ありがとう、アストラさん」


俺はアストラにそう言って、心層世界へと続くゲートへと足を踏み入れた。 途端、それが合図だったかのように、先程まで開いていた門が消失した。


「なるほどね--一度しかチャンスはないってのはこういうことか。 おもしれぇ、やってやるよ」


俺はニヤリと笑って、目の前に鎮座する巨大な迷宮の入口にある転移魔法陣へと足を踏み入れた。

眩い光が消え、視界が開けると、視界一面を、青白く輝く壁を沢山の鎖が覆っている光景が広がっていた。


「ここが・・・心層世界」


『Memory=Recollection=Start』


俺は右手でその壁に触れると、突然、女性の声が聞こえ、頭痛が起こり、膨大な量の記憶が流れてきた。 それは見覚えのある少女の顔で--そして初恋の少女の顔だった。 茶色の長い髪をかきあげて桜を見上げる彼女の表情に俺はあの時一目惚れした。 あの時の笑顔を俺は忘れない。


その光景は--俺と彼女、白神姫凪が初めて出会った時の記憶だった。


次回は『ひねくれクズと猫かぶり』を投稿してから出します! まぁ、両方とも投稿日は未定ですけど

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