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7日目 巫女物語〜一柱の巫女〜第4章

次回、巫女物語終了!!

がれきの山と切り裂かれた敵と味方と思われし死体の場所にて。 フードに身を包む人影は、砂埃で汚れた魔法繊維を編み込んだ自身の白色のローブのフードを外した。

ローブから現れたのは、銀色の髪をした黄金色の瞳のランクSS 零術グリモア所持者ホルダーの少女、リレア。


「いない....リリーナさんもクリトリちゃんも...」


その顔には絶望の色が彩られている。


「嘘だ....まだどこかに...いるはず... 」

リレアはおぼつかない足取りで死体の身柄を確かめる。


「違う、 これも違う.... これも、これも!!」

私は、喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。


「なんで..どこにもいないの....」

リレアは泣き崩れた。


チリン、


「クリトリちゃん?!」


背後で、鈴の音がした。 それは、クリトリアがいつも手放さずに身につけていた首飾りの物。

しかしそこには、クリトリアはいなく、引きちぎられた鈴の首飾りだけが落ちていた。


「クリトリちゃん.... う、う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


リレアは、引きちぎられた血のついた鈴の首飾りを大事に抱き寄せ泣いた。 そこには、悲しみと悔しみの涙。 助けれなかったという感情と失ったことに対する感情の涙。


「リレア!? 何があった?!」

背後から聞きなれた男性の声がした。


「アルゲリッチ先輩....」

私の背後には、紅い髪に青い瞳をした『天楼』の隊長の青年、アルゲリッチ•ロンデコナがいた。


「それって....クリトリアの首飾りか?」

私は、アルゲリッチ先輩の問いに首を縦に弱々しく振った。


「そうか... 悪かった リレア」

アルゲリッチは哀しそうな顔をしてリレアの頭に手を置いた。


「いえ...悪いのは私です。 私がもっと早く駆けつけていれば....」

「本当にすまなかった、リレア」

アルゲリッチはリレアの頭から手を離し、頭を下げた。


「ふぅ、お取り込み中悪いんだけどそういうアホみたいな感動話は嫌いなんだよねぇ。 だから邪魔するよ」


不意にアルゲリッチとリレアの前に現れたウェディングドレスを着た女性をお姫様抱っこしている白地の燕尾服を着た白髪の男性。


「やぁやぁ、神術所持者ディステラホルダーと巫女の器。 君達は、僕の百四十人目のお嫁さんの何なのかな? というか、君達百四十番目だけが心配なの? この女は心配でも何でもないと?」

何一つ反応をしないアルゲリッチとリレアに向けて、白髪の男性はウェディングドレスを着た少女を地面に下ろし、空間に穴を開けた。


「出てこい、僕の性奴隷」

白髪の男性はそう言って、その空間から出てきた鎖を握り引っ張った。 すると、出てきたのは、鉄製の首輪にボロ衣姿の白髪ロングに紅い瞳の少女、リリーナ•アーレント。 それは『天楼』の副隊長だったはずの少女。 しかし今は、あの正義感あふれる紅い瞳は底なし沼のように真っ暗な闇に染まっている。


「いい加減にしてくれないかなぁ?! さっきから何の反応もしないけどさぁ、僕をなめてるの?というか、君の大事なお仲間がここにいるんだよ? えーと、クリトリアだっけ? あーあとは、リリーナ•アーレントとかいう僕のストーカーだっけな。 ほら、感動の再会だ!! 喜べよ!! 僕に感謝しろ! この神たる僕に!! 跪いて無様な土下座を見せてみろ!! さぁ!!」


白髪の男性は髪をかきあげて笑った。


「あ....え....クリト....ちゃん?」

リレアは混乱していた。


あれが、地面に仰向けで倒れている少女が...あの元気で少し気が抜けたあのあのかわいい女の子、クリトリアなのか?


現実を直視出来ない。 自然と頭の中で夢だと幻想だと錯覚している。 これは全て、あの男が作った幻想の塊だと。 なら、あいつを倒せば、この幻想は消える。 あの男を殺せば!!


「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!」

リレアは右手に魔法で作られた氷槍ひょうそうを握り、ものすごい速さで走り出す。

リレアの周りを煙が舞う。 風が吹き抜ける。


「はぁ、無駄だよ」

白髪の男性は、地面に仰向けのウェディングドレス姿の少女を無造作に掴み、自身の前に出した。


リレアの顔面に飛び散る血の雨と、肉を抉る感触が同時に起き、あの男を殺せたと思い、確かめようと煙が消えるの待った。 煙が消える。

しかし、目の前に男はいない。 いや、いるにいる。 ウェディングドレス姿の少女の後ろに。 そう、リレアが刺し貫いたのはウェディングドレス姿の少女。 この時、一つの現実が頭の中へと流れ込む。 これは幻想ではなく現実。 そして、この少女は私の親友、クリトリア。 これが紡ぎ出す答えは私は、親友を自分の手で殺した。


心を罪悪感が埋め尽くす。滝のように流れ込む。


「あ、え、クリトリ...ちゃん!? クリトリちゃん!! 嘘、嘘に決まって.....あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

リレアは絶望の叫び声を上げる。 まるで、獣の遠吠えのように。


「プッ、アハ、アハハハハハハハハハハハハハ!! 親友と再会して自分で殺す、最高の物語だねぇぇ!! どうだい? 親友をその手で殺した気分は? 最高だろ!! 絶頂だろ!! エクスタシーだろ!! 君が違くても僕は最高だったよ!! あの感情は泣きじゃくる親子を殺した時以来だよ!!」


白髪の男性は邪悪な笑みを浮かべる。


「で?そろそろ、そちらの神術所持者ディステラホルダーの君にはご退場願おうか。 バイバイ、ロンデコナの穢れた血族よ」


白髪の男性は右手を軽く振った。 すると、いつの間にか零刀月華を構えていたアルゲリッチの体が、折り紙のようにひしゃげた。 ボキバキ、ブチブチという鳴ってはいけない音を上げて、丸まった紙くずへと変貌を遂げる。


ポタポタとアルゲリッチだった紙くずから血が滴り落ちる。


「うるさいなぁ!? ポタポタポタポタと、静かにしてろよ!! このゴミクズが!? 僕が話そうとしてるのに邪魔しないでくれる!! 本当にロンデコナの血族は昔から僕の機嫌を損なわせるのが得意だよねぇ。君の先々代も先代も君の親もホント、屑ばっかで今の君のように紙くずみたいに丸めて燃やしてあげたよ!! 滑稽だったねぇ、丸まった紙くずの叫び声はッ!!」


白髪の男性は丸まった紙くず=アルゲリッチに向かって手を振った。 すると、アルゲリッチを突如現れた炎が焼き始めた。 パチパチという火花が散る音を発する。 肉の焼ける匂い。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!? あ、熱い!! 助けてくれ! リリーナ!! 助けてくれ!! リリーナぁぁぁぁ!?」

「ぅ、え...」

アルゲリッチ先輩から漂ってくる焼ける匂いとリリーナ先輩へ助けを求める絶叫に嘔吐感がきた。 私は地べたに向かい


「……おぶふぁっ。うぇっ、おうぇ……ッ」

すでに空っぽの胃からネバネバした黄色い胃液を吐き出す。 その度に、内蔵が痛めつけられる。 胃に何かを取り込みたい感覚に襲われるが、そこは自身の右手に氷剣(短刀)で突き刺し、理性を取り戻す。


「はぁ、はぁ...はぁ....」


自身の口元を拭い、立ち上がる。

血が出ている右手を氷魔法で氷結し、血を止める。


「殺す....」

リレアの瞳が復讐の色に彩られる。 黄金色の瞳が真っ黒な復讐という闇色に染まる。 それは、白髪の男性とも自我のないリリーナのような闇とは異なる闇。


「殺す? 僕を君が? 僕を殺すだって!! プッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 冗談はその燃えカスとこのゲロ女だけにして欲しいなぁ!! 」


白髪の男性は血でウェディングドレスが染まっているクリトリアの死体の頭を無造作に掴んでリレアに見せるように突きつけた。


「....せ.... 」

「はぁ? 言いたい事はハッキリ言ってくれないかなぁ?! そういう陰口やボソボソ喋るヤツって、僕嫌いなんだよねぇ。 君も、早く殺して欲しいの? それともただ僕を馬鹿にしてるの?」

「....なせ....」

「だからなんて言ってるのさ!? ハッキリ喋れよ!! この淫売クソ女!!」

「....離せって、言ってんのよ!! このくっせぇクソブスナルシスト!? あんた何か好きになる奴なんて豚ぐらいよ!! そんな力使わなきゃ女の1人も惚れさせることも出来ない勘違いクソイキリ野郎!?」

「な、き、貴様....今なんてい言いやがった? 僕の聞き間違えなら、お前はぼ、僕に向かって、クソブスナルシストやらクソイキリ野郎と、とか言ったか?」


白髪の男性の顔が怒りに染まる。


「言ったわよ、もう一度聞きたいならもう一回言ってあげるわよ!? このクソキモブス勘違いイキリナルシスト!?」


リレアは中指を立てて言った。


「あぁぁぁぁぁ?! ぶっ殺してやる!? 死ね死ねしね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」


白髪の男性は右手を何回も横に振る。

その度に、ガレキの山や空中を飛ぶ鳥などが切り刻まれる。 それは周りだけではなく、リレアにも当然及ぶ。 リレアの綺麗な顔や二の腕、太股から真っ赤な血が垂れる。 切り傷がリレアの体を徐々に痛めつける。


「お前は、僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が殺すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」


白髪の男性は長剣を握り何かを呟き始めた。


「血と血の盟約により、強欲の魔神よ! 我に宿りたまえ!!」


白髪の男性は自身の体に長剣を突き刺した。

白髪の男性から真っ赤な鮮血が飛び散る。

そして、次の瞬間、白髪の男性の姿がみるみる変わる。


白色の髪は真っ黒なストレートヘアーになり、濁ったような紅い瞳は、宝石のように輝く紫紺色の瞳に変わり、薄い胸板が膨らみ果実のような実が二つ現れ、燕尾服が紫色のドレスへと姿を変えた。


「がふぁ....フフフ...アハ...アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 私は『強欲の魔神』オルフェス•エルケナート。 よろしくねぇ!? 憎き巫女少女ちゃん」


『強欲の魔神』と名乗る狂人の女、オルフェス•エルケナートが、妖艶な笑みを浮かべて言った。





もうちょいで、本編に戻るよ!

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