7日目 巫女物語〜一柱の巫女〜第1章
疲れたー
聖女園の大聖女の部屋にて。
「それで、悪いんですけど、巫女様というのは私と瓜二つの姿をしているんですか?」
俺は向かいのソファに座る白髪の紅い瞳の美少女 アストラに言った。
「いいえ、姿は似ておりません」
アストラは首を横に振った。
「なら、何で私を巫女様と呼んだのですか?」
「それは、貴方の魂が巫女様と同じだからです」
「巫女と同じ? 私の魂がですか?」
「はい、そうです」
アストラは頷いた。 どうやら嘘はついていないようだ。
「そうですか、では本題に入る前にもう一つ質問していいですか?」
「えぇ、構いませんよ。 巫女様」
「巫女とは何者なんですか? 」
これが一番気になっていた。 あの森で出会ったアルファスとテュフェルとの会話、そして、暗い空間で出会った二人の巫女。 彼女らは何者なのか?
「少し長くなりますが、よろしいでしょうか?」
「えぇ、大丈夫です」
どうでもいい話しなら嫌だが、これはこの先重要な話だ。 少しでも巫女のことがわかるなら長くても構わない。
「えーと、まず最初に『巫女物語』を知っていますか?」
「いいえ、聞いたことがありません」
「そうですか、それではその話からするとしましょう」
アストラは何も無い空間から一冊の本を取り出した。 表紙には『巫女物語』と書かれている。
「それでは読みますね」
アストラはページを開いた。
☆☆☆☆☆
幾千億年前にあったといわれる古の世界『エンシェント』 そこには今とは異なり、文明はなかった。 それだけではなく、自然もない。 あるのは元から存在する化物と人間達。 彼らは互いに殺し殺されの死の連鎖を繰り返してきた。 そんな殺し殺されの世界を変えたのが7人の少女。 後に彼女達は巫女と呼ばれるようになる。 これから話すのは7人の少女が巫女と呼ばれるまでの物語
古の世界『エンシェント』の中心国『アーガスム』、そこに一人の少女が生まれた。 生まれた少女はとても可愛らしい赤ん坊だった。 その少女はリレアと名付けられた。
リレアの家は裕福でも貧困でもない普通の家庭だ。 父は聖騎士、母は魔法講師と共働き。 そのためリレアにもその素質があると思われていた。 しかし、そんな必然は彼女には起こらなかった。 それはリレアがまだ10歳の時。
リレアは父と剣術の稽古をしていた。
「リレア!! もっと気合を入れろ?!」
紅い短髪に強い意志が感じられる青色の瞳に右目に刀傷のあるまさに剣士の男性 レイスが叫ぶ。
その強い目に写るは尻餅をついて黄金色の瞳を潤ませている木剣を右手に握っている銀髪のツインテールの少女リレアだ。
「ひ、ヒック... む、無理だよ...パパ!?」
リレアは木剣を握っていない方の手で涙を拭きながら目の前に立つ父に訴えた。
「はぁ、リレアには剣術の才能はないか。 明日からはママのところで魔法を教えてもらえ」
父レイスはため息をついて言った。
「…うん」
リレアはここで初めて挫折を味わった。
そして次の日、リレアは母のいる修練場で魔法の勉強を開始した。 しかし剣術とは違い素質があった。
「凄いわ!! リレア! 詠唱も威力も上出来よ!! しかも禁術の更に上の零術を使えるなんて!?」
銀髪のロングに黄金色の瞳をした女神の写し鏡のような美貌をもった魔法講師の女性、リセラが叫んだ。 その目に映るのは、黄金色の瞳をキラキラさせ詠唱をするリレア。
標的は木。
「我、永久の支配者なり…
汝、刻の孤独者なり...
時と共に永久の孤独へ閉じ込めよ ....
凍れ 『零氷界刻』ッ!!」
リレアの詠唱が終わる。
すると、標的の木だけが刻を失った。
後に、禁術のさらに上の零術『零氷界刻』と名付けられる。 こうして、彼女、リレアは10歳で零術所持者と呼ばれるようになる。
それから6年後、彼女は二つ目の零術を詠唱できるようになっていた。
それはリレアが通う魔法学園の階級試験で対戦中のこと。
「悪鬼の怒りに断罪の炎で焼き漕がせ!!
『断罪炎鬼ッ!!」
リレアの向かいのクリーム色のショートボブの翡翠色の瞳をした少女が中級魔法『断罪炎鬼』を放った。
それに対してリレアは全力の魔法で答えた。
「罪の怒りと断罪の刃...
地獄の業火と断罪の劫火...
世界の全てに断罪を....
終われ!! 『終世断刃』ッ!!」
詠唱が終わる。それはまさに世界を終わらせる死の刃。触れた部分が死んでいく。 空気、床が。 しかし、
それは全教師に塞がれ、相手の少女は無傷で終わった。
こうしてリレアは二つの零術を所持する
ランクSS 零術所持者と呼ばれるようになる。
しかし、その反対に彼女を災厄の魔女と呼ぶ者もいた。
これがリレアが巫女になるまでの巫女物語 第1章。
そして、巫女物語は第2章へ。
次回は巫女物語 第2章です!




