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初日 ゲームに転生《らち》られました

眠いです

2024年、ネットゲームは仮想現実大規模多人数オンライン--通称VRMMOへと進化を遂げた。VRMMOは発売売上げが約700億を超えるほどで、いまどき持っていない大人子供はいないほどの人気ネットゲーム。

そして、そのVRMMO用のゲームソフトこそ、

『ノット•コンティニュー•オンライン』通称NCOだ。

このゲームのシステムは普通のRPGと違い、コンティニューが出来ないというスリル満載のアクション系VRMMORPGだ。しかも、治癒魔法や回復アイテムは一切なく、宿屋や街に入らない限り回復できないというある意味、鬼畜ゲーだが、そのスリルを求めて買う人達が沢山いる。 その1人が俺だ。 俺はこのゲームのクローズドβテストに当選し、発売当日にはすぐさま買って即プレイをした。 そのプレイ時間はおよそ586時間、そして、ステータスはこの通りだ。


name:Claude (♂)

JOB:オールラウンダー

Lv.:998

HP:9999

MP:9999

STR:10001

VIT:10002

INT:9996

MEN:9994

DEX:9995

AGI:9567

LUK:9953

SKILL:全習得

EXTRASKILL:9/10習得

WEAPON:破邪の魔銃剣、破邪の杖

AVATAR:黒邪のコート、黒邪のグローブ、黒邪の指輪


やりすぎてほぼカンストしている。はずなのだがこのVRMMOは最大レベルは999というものがサービス終了する1週間前に公式サイトのアップデート詳細で発表された。ちなみにこの時点で俺はあとレベル1上がれば最大レベルにNCO初めてのプレイヤーになる。


そして現在、俺はNCOクエストのラストオーダー

『覇龍の逆鱗』を達成するため、ハラスフェルの塔最深部にいる。


「えーと、確か覇龍を10体倒せばクリアだっけか?」

俺は後ろでアイテム採取をしている仲間に話しかけた。


「ん? なんか言った? クロード」


紅色のショートカットに蒼色の瞳、黒いローブと世界樹の杖を装備した少女、ヒナが

草に似たミレナの葉をアイテムポーチにしまいながら言った。 ちなみにレベルは996。魔導師だ。


「聞いてなかったのか?! 」

「何を?」

ヒナはキョトンとした顔で首を傾げた。

「はぁ、だから今回のクエストは覇龍を10体倒せばいいんだろ?」

「うん、そ〜だよ」

「そうか、とりあえず採取はやめろ、時間食いすぎだから」

「えー、いいじゃんかー」

「良くねぇよ?! サービス終了まであと1日だぞ?! それまでに999までいきたいんだよ?! しかも、さっきからお前が採取ばっかしてるから魔力切れなんだよ!? このゲーム、魔力回復するにはモンスター倒さなきゃいけないのに、残りのモンスターは覇龍10体しかいねえんだよ?! これじゃ、勝てるか分かんねえんだよ?!」

俺は自分の頭上に浮かぶHPバーとMPバーを指さして言った。


「ほんとだ」

「ほんとだ、じゃねぇよ?! こちとら魔法使えないと意味無いんだよ?! 大半が攻撃魔法だからそれが発動できないから勝てる気しねぇよ?!」

「はいはい、分かったから 仕方ないなー」

「なんで偉そうなんだよ?!」

「っと、無駄話はそれぐらいにして、来たよ、敵さん」

ヒナは奥を指さして言った。

「は? どこ.....デカァァァァァァァァァァ?!」

俺は叫んだ。それは仕方ない、なぜなら予想以上にでかいからだ。


体長はエベレストの約2倍、見た目は大きな口からのぞく鋭利な牙、硬そうな顎、瞳は血のように真っ赤に染まっており、大きな翼に黒色の鱗、巨大でとても長い先っぽにトゲトゲのある尻尾を生やしたとんでもない化物がそこにはいた。しかも、それが10体だ。


「な、なぁ、一旦帰りませんか」

「なんで? 今日中にレベル999行きたいんでしょ?」

「まぁ、そうだけど、お前のせいで魔法使えないし」

「はぁ、なら私が貴方に支援魔法かけますからそれならいいですか?」

「よし、任せろ!」

「じゃぁ、いきますよ」

「あぁ、頼む」

ヒナは俺に向けて手をかざすと、俺の周りを謎の文字列が囲み発光した。 すると、俺の頭上に、支援魔法がかけられた証拠の剣に+が書かれたエフェクトが浮かんだ。


「よし、行くか」

俺は破邪の魔銃剣を構え、まだこちらに気づいていない一番近くの覇龍に向かって走り出した。


近づくにつれ、心臓の鼓動が高鳴る。 この10体を倒せなかったらクエストは最初から。それにコンティニューは出来ない。その失敗できないプレッシャーが俺の心臓をさらに高鳴らせた。魔銃剣を握る手に汗の伝う感じがするほどに俺は緊張していた。


ここでミスれば、全てが無駄になる。そんなプレッシャーのせいかもしれない。俺は気づいていなかった。既に、俺に気付いていた覇龍が一体いたと言うことに。


「グォォォォァァァァァァォ!!」

覇龍が咆哮を上げ、巨大なトゲトゲの尻尾を思い切り横薙ぎに振り抜いた。

巨大な尻尾はハラスフェルの塔を支える円柱を破壊しながらクロードへと迫る。そして、その尻尾の一撃はクロードの横腹を抉った。


「ガァッ?!」

巨大な尻尾に抉られたクロードの体はいとも容易く壁へと叩きつけられた。火山が噴火したかのような衝撃と爆音。もし、クロードのレベルが950を超えていなければ即死だった。しかし、950を超えていたとしてもそのダメージは瀕死の状態まで与えるのは容易い。


「クソ、油断した」

俺は頭上のHPバーを見て、攻撃を食らったことを悟る。


「クロード?! 大丈夫?!」

空中から目くらまし魔法を放ちながら俺に叫んだ。

「流石にこれ以上はヤバイ。 だがこれで魔法が使えるようになった。 少し時間を稼げるか?」

俺は頭上のMPバーをチラッと見て言った。

「頑張ってみるけど、あまり持たないから早くしてね!」

ヒナは空中を飛び覇龍へと攻撃魔法を放ちながら言った。

「あぁ、任せろ」

俺は壁から体を起こし、地面に降りて言った。

「覚悟しろよ、覇龍!!」

俺は背中にかけられた破邪の杖を取り、前にかかげて詠唱を開始した。


「我が魔法は闇を喰らい邪気を祓う力なり。

聞くがいい 聖ミカエルの祈りを」

すると、破邪の杖が光り、ハラスフェルの塔最深部をすべて包んだ。


「グギャァァァァァァァァァァ?!」

光が覇龍を包み始めると覇龍は叫び声を上げ、そして、ポリゴンの欠片となって霧散した。

残されたのはクロードとヒナだけ。そして、レベルアップ時の軽快な音楽と女の人の声。


『おめでとうございます、クロード様。 貴方はNCO初のレベル999に到達し、ラストオーダーをクリアした最初のプレイヤーです。そこでなんとあなた様とそのお仲間に、プレゼントがあります。 プレゼントはメールボックスに入れておきましたので、それでは』

女の声はそう言い残し消えた。そして、俺とヒナの体を文字列の光が包み、発光した。


光が消えると、俺とヒナは街に戻っていた。


「ふむ、今回のクエストはクリアしたら転移で街に戻るよう設定されているのか」

俺は納得といった顔でつぶやいた。

「ねぇ、それよりプレゼント気になるから一緒に開こうよ」

ヒナがメールボックスに送られてきた運営からのメールを押し、ピンク色のリボンで包まれた黄色の箱を持って言った。

「あぁ、そうだな」

俺もメールボックスから同じ箱を取り出して言った。

「そんじゃ、せーので開けよっか」

「任せる」

「じゃぁ、いくよー! せーの、え?」

「は?」

俺とヒナは同時にその箱を開くと眩い光が発せられ二人を包んだ。

「ちょ、な、何が起こったの?!」

「俺が知るかよ?! そ、それよりヒナ、俺の手を握れ!」

「う、うん!」

ヒナは頷いて俺の手を握った。

光は消え、周りには転移時に見える青い異空間。

「ここはどこだ? てかあの箱は何なんだ?」

俺はとりあえずメニュー画面を開こうと右手を縦に振ってみたが何も起こらない。 次第に俺はある一つの答えに辿り着く。これはゲームやアニメでたまに見る異世界転生物ならぬゲーム転生物。 しかし疑問点がある。 俺は別に死んでいない、というか箱開けたらこうなった訳なので、これはあれだ。 ゲームに転生らちられた。


いやー、最近のゲームは凄いなぁ.....じゃねぇよ?! ふざけんなよ?! 転生ってことはつまりあれだよね?! 死んだらもう終わり、死だよね?! deadだよね?! 嫌なんだけど!!

俺は逆の方へと戻ろうとしてみたが手遅れでした(´°̥̥̥ω°̥̥̥`)


俺の目に映るのはNCOのNPCと見慣れた街。

「本当にゲームに転生らちられた....」

「まぁまぁ、まだ分からないじゃないですか」

ヒナは俺の頭を撫でて言った。 あれ? なんかVRMMOにしては手の感触がリアル過ぎじゃないか?


「なぁ、試しにオッパイを触らせてくれないか?」

「へ? な、何言ってるんですかぁ?!」

「いや、ちょっと確かめたいことがべひっ?!」

思い切りビンタされました。 しかし、倫理コードは発動しない。 普通はオッパイ触ろうとしたりビンタしようとしたりすると倫理コードが出るはずなのだ。


「やはり、ここはゲームの世界で俺達はこの世界に転生らちられたんだよ ヒナ」

「へ、いや、嘘でしょ」

「嘘じゃないよ、今ヒナは俺にビンタした。 だけど倫理コードが出なかった」

「ただ単にバグじゃないですか?」

「確かめてみよう」

「え? どのようにですか?」

「ここがゲームならNPCは同じことしか喋らないはず」

「確かに」

「よし、あの娘にしよう」

俺はとりあえず近くにいた小さな女の子に話しかけるために歩き始めようとすると、思い切り耳を引っ張られた。

「いた、痛い?! 耳がぁ?!」

「クロード、なんであんな小さな女の子に話しかけようとするの?」

「それは俺がロリコンだからだ」

俺は決め顔で言った。

「うわぁ」

「素晴らしい引き顔ですねー ハハハ」

なんか心に傷おった。泣きそう。

「と、とりあえずNPCか確かめるだけだから別にいいだろ」

「はぁ、わかりましたよ」

ヒナはため息をついて言った。

「よし、話しかけるか」

俺は花を眺めているNPCの小学生ぐらいの少女に声をかけた。

「ハァハァ....き、君、ちょ、ちょと、い、

いいかな」

「ひぃ?! へ、変態しゃん?!」

「がふはっ?!」

涙を流す幼女の言葉に俺はメンタルを傷つけられた。メンタルが9954あっても幼女の言葉は俺にはそれを超えるほどのダメージなんだ。

「ご、ごめんね、このお兄さんは変態さんじゃないからねぇ?」

ヒナが優しく微笑んでNPCの幼女の頭を撫でた。

「ほ、ほんとに? こ、このお兄しゃんは変態しゃんじゃないの?」

NPCの幼女は涙を拭きながら首をかしげだ。

「俺と結婚してくげふ?!」

れ、という瞬間にヒナにノックアウトされた。

あぁ、パンツの天使が見えるよ〜 アハハハ

クロードは気絶している間、悲しき幻を見ていた。


目を開けると、楽しそうに遊んでいるヒナとさっきの幼女がいた。


( ゜д゜)ハッ! ここからだと幼女のパ、パンツが見える?! さ、最高だ


俺は萌え豚のようにハァハァしていると、誰かが俺の頭を踏みつけた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」

「クロード、あなた今、何をしていたんですか?」

頭上から聞こえてきた声はヒナの声だった。

「いや、その、幼女観察を」

素直に言ってしまった。 う、うう 死にたい。

「素直でよろしいです クロード」

「じゃ、じゃあ、許してくれるの?」

「いいえ、許しません」

「どうかご慈悲をぉぉぉぉぉぉ!!」

「問答無用!!」

「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァ?!」


✿❀✿❀

「と、さっき確かめた情報によると、さっきの幼女の名前はラティちゃんで胸はA、歳は10歳、将来の夢はお嫁さん、好きな食べ物はママの手作りパフェ、嫌いな食べ物はチキン、好きな人はママ、嫌いな人は変態さん、身長は130cm、体重は34kg、視力は両目ともA、好きな遊びはままごと、好きな男のタイプは優しい人、誕生日は7月4日、よし完璧だ」

「よし完璧だ、じゃないわよ?! その情報は、今の状況に全く関係ないでしょ?! ていうかなんで知ってんのよ?!」

「それは俺が持ってるEXTRASKILLの一つ、

幼女ロリータを見通すアイズ』を持っているからさ。 それに関係はあるよ。このスキルは今まで使ったことはあるけど機能しなかったからね。俺達がゲームに転生らちられたことを証明しているじゃないか」

「た、確かに」

「そうだろ、まぁ、ただ単にラティちゃんに興味あっただけだけどね」

「やっぱり」

「まぁ、とりあえず宿屋行こうか ヒナ」

「ええ、そうね」

この日、俺とヒナは宿屋に泊まった。

そして、俺達のゲーム世界での生活が始まる。



次回投稿はテスト後です

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