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苦悩の集

胸中にある深海へと続く愛と苦痛

作者: 時雨 小夜

 今更愛を貰っても、

 もう何処へも行けやしない。


 今更愛を貰っても、

 もう何者にも成れやしない。


 今更愛を貰っても、

 あの日が帰ってくるじゃない。


 今更愛を貰っても、

 ぼくはひとには戻れない。


 もう遅いんだ、

 遅過ぎたんだ。


 とっくに壊れたロボットに、

 螺子をあげても直りゃしない。


 とっくに倒れたこの僕に、

 水を掛けても立ちはしない。


 もう遅いんだ、

 遅過ぎたんだ。


 君が好きと僕に言っても、

 もう僕は生きられやしない。


 ただ後悔の涙だけが、

 頬を伝って落ちるだけ。


 だから何にも言わないで、

 いっそのこと見殺しにして。


 あなたの愛が遅かったのだから、

 僕の命が枯れたのだから。


 僕を悪人にしないでおくれ。

 ありきたりな一つの命にして。


 淡々と消えていった、

 たった一つの命にして。


 あなたの胸中にあるその愛は、

 もうただの武器でしかない。


 今更愛を貰っても、

 僕の四肢が裂けるだけだ。


 今更愛を貰っても、

 僕の胸が貫かれるだけだ。


 だからもう捨てておいて、

 可燃ゴミの袋に入れて。


 ボロボロのズボンと切れたTシャツと、

 穴の空いた靴下と薄汚れた帽子と、

 君の胸中にある不満と偽善と、

 嫉妬と憤怒と虚栄と憎悪と、

 ついでに僕の身体と一緒に。


 深海へと投げ捨てておくれ。


 あなたがくれたその愛が、


 いわゆる世界の愛ならば。


 あなたがくれたその愛が、


 本当にあなたの愛ならば。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは。 吐き出すことで、少しでも苦しみから解き放たれて、楽になれたらいいですね。 感情の無いロボットは、泣いたりしないと思います。 私は、感情なんかなければ楽なのにって思った…
2015/09/18 18:48 退会済み
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