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朝が来て、魔王は二度寝をす

夜。


キリーは障壁だけでなく、あたりに帝国正式採用型大砲や30mmガトリング砲をずらっと並べ、レーダーを全開にしてあたりを索敵させ、本人はぐっすりと眠っている。


プルートも若干ながら障壁を張るなどの手伝いをしたが、勇者との戦闘の疲れがどっと出て、また、負った傷を回復するために、深い眠りへと落ちている。


火は消してあり、残った燃料も容器に入れて保存してある。


つまりあたりは真っ暗だ。


そしてあたりに見えるのは、森と平原のみ。


そして複数人の人影。


それらがテントの周りを囲んだかと思うと、一斉に氷や強風、高圧の水などがテントに向かって殺到する。


だが、それらの魔法は全てキリーの障壁に阻まれ、魔素と反魔素が対消滅、大爆発を起こす。


突然の爆発の光に盗賊団がひるんだ隙に、大砲が旋回しあたりの人間に向かって照準を定める。


そのまま半径127mmという人体に対しては巨大な砲弾を毎分120発という気違いじみた速度で連射。


30mmガトリング砲はその上を行く毎分3000発という速度であたりを掃射した。


その結果、盗賊たちのまとっていた物理障壁はその圧倒的な物量にはかなく砕け散った。


そして生身の体に弾幕の嵐が襲い掛かる。


弾の当たったところから体がちぎれ、頭はトマトがつぶれるように破裂。


あたりには硝煙と血のにおいが漂い、肉片が散乱する光景が残ることとなった。









キリーは朝早く目覚めた。


そしていつものように装備品の確認から始める。


それが終わると、外にでる。


外は昨夜の惨状がそのまま残っていた。


「まったく大砲置いてあるのに突っ込んでくるとは、馬鹿なのか、あほなのか……」


キリーは肉片の元の人間たちに呆れた。


後片付けに障壁を魔素の塊に変換してみる。


すると、透明な結晶が出来上がった。


「この魔素は素粒子なのに結晶構造をとるとか、わけが分からんな」


とりあえず、残りの大砲やガトリング砲は反魔素にして同じような結晶塊にし、まわりを高密度のガラスで覆った。


ガラス球の中は、褐色の結晶になっていた。


「なかなかきれいだな」


ふたつの結晶を見比べながら、キリーはそうつぶやいた。


「お主よ、その魔結晶、どこで手に入れたのじゃ?」


急に後ろから話しかけられ、キリーが振り返ると、昨日の服装のプルートがいた。


「それに見たこともない褐色の水晶球、それはなんじゃ?」


キリーは朝から立て続けに質問される。


「魔結晶、というのか。これは昨日の障壁を魔素に変換し、塊にしたものだ。褐色のやつは反魔素の結晶をガラスで覆ったもの。こいつを相手の魔法に投げつけるだけで、ガラスが割れ、無効化できる」


「なるほどのう。その魔結晶、ほぼ純粋なものじゃな。これだけのものなら売れば金には困らんじゃろうて」


「まあ何かに使えるかもしれないから、背嚢にでもしまっておく」


「いろいろ用途もあるからのう」


そしてプルートが腕を一振りした。


あたりに突風が巻き起こり、肉片も血のにおいもどこかに飛んでいった。


「ほうっておいても見苦しいし臭いだけだからの。掃除をした」


「変換してもよかったんだがな」


「お主の手を煩わせるようなものでもなかろうて」


そういってプルートはテントに戻っていった。


「まあ、少しくらいは二度寝をさせてもいいか」







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