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旅路の途中

視点変えてみますた

「それで、まずどこへいくんだ?」


キリーがそう問いかけた。


「そうじゃな、この先をしばらく歩くことになるが、テンタクルスという街がある。とりあえずそこを目指すとしようかの」


プルートはそういいながら着替えている。


その特徴的な服装のままでは魔王とばれる。


いらぬ面倒ごとで、時間を割かれたくはないのだ。


「でも着替えはそれしかなかったのか?」


キリーは呆れている。


「しかたないじゃろ。我輩、服はこれとあと数着しかもっとらんのじゃ」


着替え終わったプルートの姿は黒のネグリジェ。


「だからといってなぜ寝巻きなんだ」


これからの行動にはふさわしくないだろう、とキリー。


「これはステータスにかなりのエンチャントがかかる代物じゃよ。寝巻きではない。それに戦闘ではこれが一番動きやすいのじゃ。あと人間の前にはこの姿で一度も出ておらんしな。」


プルートはそう答えた。


「ステータスにエンチャント?」


キリーはどうやらステータス、エンチャントという言葉が理解できないようだ。


「ステータス、ようするにその個体の能力、強さを示したものだと思ってもらえればよいのじゃ。見るにはこう、手に魔力を集中させて放出、『ステータス』と唱えればよい」


そういってプルートはキリーの目の前で自分のステータスを表示させる。


「ほう、んで、魔力ってのはどうやったらでるんだ?」


キリーには魔法はさっぱりである。


「それはじゃな、この心臓あたりに、ああお主、魔力を持っておらんのか。こことは異なる世界から来たのが原因かも知れぬが…」


プルートはそういってキリーの心臓あたりに手を当てた。


「いまから我輩の魔力を分け与えて魔核を生成するがいいかの?」


「いきなりすぎる。魔核とは何だ?」


若干あせりながらキリーはプルートをとめた。


「ああ、魔核は主にアンデットなどが持っているのじゃが、お主のように魔力を持たぬものが魔力を持つためにも使えるのじゃ。ま、人間族はそんなこと知らんがの。安心せい。体に害はない」


そういってプルートはキリーの心臓あたりに魔力を注ぎ込む。


そしてダークエルフの秘術を用いて魔核へと変化させた。


「終わりじゃ」


キリーの見た目には変化はない。


だが、キリーの体には確かに、魔力が巡っていた。


「なんか、変な感覚だ。自由に動かせる塊が体中に満遍なくある感じ、といえばいいのだろうか」


「それが魔力じゃよ。まあ違和感はじきに消えてなくなる。ではさっきのステータスを出してみるとするかのう」


そう言われ、キリーは魔力、変な塊を右手に集中させた。


「そうじゃそうじゃ、そして『ステータス』と唱えるのじゃ」


『ステータス』


そうキリーが唱えると、右手の上に浮くように、透明な板状のものが現れる。


そしてキリーの放出した魔力はそこに使われたようだ。


だが、これで終わるキリーではない。


右手の上のものが消えないようにして、すぐさまスキャナーを取り出すと、そのステータスの書かれたものをスキャンする。


そもそも何もないところから物体が出現することはありえない。


そう思っての行動だ。


そして、結果は


「未知の素粒子、か」


さきほど測定、反粒子の生成に成功した素粒子。


「このことから分かるのは、この素粒子は魔法の元だろう。さしずめ、魔素といったところか」


そして、右手の魔力を霧散する。


今度は、スキャナーで観測しながら魔法をつかう。


「魔力もまた別の物資か。これを媒介にして空間の魔素を使う、といった感じだな。」


キリーは帝国の科学力を存分に使い、魔法の仕組みを理解した。


「まあ、すべての魔法がそうとは限らないだろうがな」


「何を一人でぶつぶついっておるのじゃ」


さっきから怪しげなものを使いながら何度もステータスを開いては消すを繰り返すキリーを怪訝に思ってプルートがそういった。


「いや、これならたいていの魔法に対する対抗策ができる、とおもってな」


キリーはうれしそうに、そういった。


「なにやら興味深そうじゃな。それじゃこの『ファイアーボール』を消せるかのう」


プルートは自分の手のひらの上にこぶし大の火球を作り出した。


「おそらくはな」


そういってキリーは反魔素とも言うべきものを火球の上に自身の超能力で作り出し、落下させる。


発生したエネルギーはまた反魔素へと変えた。


そして空気中や土から金を作り出し、球状にして中に反魔素を閉じ込めた。


反魔素は空間内の魔素に触れなければ崩壊することがないのだ。


「なかなかしゃれたものを作るのう」


「これからよろしくという意味もこめて贈り物だ。魔法に放り込めば火球程度なら消せる」


ついでに贈り物にしてしまう、効率のよいことだ。


「そんなもったいないことはせんよ。ところでステータスは確認したのか?」


すっかり忘れていた、という表情のキリー。


ステータスを開く。





Killy


種族:人間族


職業:帝国軍大佐


年齢:測定不能


体力:500


魔力:20000


力:700


知力:1000


敏捷:300


物理耐性:1000


魔法耐性:0


スキル

超能力(物質)

魔力生成(魔核)

無属性魔法


称号

大佐

異世界人


無し


「だそうだ」


「ううむ、だいたい一般人の基準が各々100、体力は300ということを考えるとステータスは上の方じゃろうな。まあステータスだけならば人外どもの足元にも及ばんじゃろうが、その超能力と知識だけでどうにでもなりそうじゃの」


とプルートはそう評価した。


「さすがに軍人やっているから力と敏捷は高くないと泣ける。魔法防御0はしかたないのかこれ?」


「まあ、そちらの世界の服のままじゃからの、上から何か着れば上がるはずじゃ」


「そうか、とりあえずテンタクルスで何か買わないといけないか」


「じゃな」


「とりあえずもういくか」


「うむ、そうしよう」











「あ、もうそろそろ変化をといてもいいのう」


しばらく歩いていると、プルートがそういった。


「変化?」


「まあ見ておれ」


だんだんとプルートの姿がゆがむ。


色白だった肌の色が小麦色に。


瞳の色が青から緑に。


金色の髪は色素が抜け銀髪へと変わった。


身長が低くなった。


「お前だいぶ身長盛ってたのな」


キリーは呆れながらそう返した。


「魔王やっていると本当の姿を見られるわけにはいかんしのう。それになめられない様にする必要もある。まあ、こっちが我輩の本当の姿じゃよ」


「魔王も大変だな」


と同情するキリーであった。












それから数時間、二人はひたすら歩き続けた。


さすがに日が暮れ始める。


キリーが


「ここいらで野宿でもするか?」


と問うと


「そうじゃな。テントはもっておるかの?」


と返ってくる。


「いや、もってはいないが作れるぞ」


とキリー。


「お主のその能力は本当に役に立つのう」


とプルートは感心しながらそういった。


「んじゃテント作る間に火を起こしておいてくれ」


というと、キリーは自分の背負っている背嚢から固形燃料をとりだした。


「こいつは一晩中燃える、管理いらずの便利な燃料だ。これに火球を触れさせるだけでいい」


「あいわかった」


プルートは固形燃料を地面に置き、小さな火球を作り出して引火させた。


するとあっという間に火は焚き火と同じくらいのものとなった。


「こりゃ便利じゃのう」


「そりゃ帝国謹製の燃料ですからねっと」


その一方でキリーはテントを構築。中の空間は二人で寝るには十分な広さだ。


「ほう、十分じゃな」


「さて、次は飯にでもするか」







キリーが背嚢からただの缶詰をとりだす。


中身はツナ。


それに加え、パンと皿を土から作り出し、ツナを上にのせて食べる。


プルートもそれを見て自分の目の前の食パンにツナをのせて食べた。


「なかなかに美味じゃのう」


「戦場でも、こいつは人気だったからな」


と懐かしむようにキリー。だがここにきてから一日もたっていない。


それだけ一日が濃厚だったのだが。


「今夜の夜間警備はどうするつもりじゃ?」


「とりあえずおれは寝たい。ここ数日ろくに寝てないからな」


「ならば我輩がやろうか?」


「いや、その必要もない。テントの周りに反物質からなる障壁でも作っておけばいいだろう」


「反物質、とはいったいなんなのじゃ?」


と、プルートがたずねる。


「この世の中の物質と反物質が衝突すると、膨大なエネルギーが生まれる。その際に、物質と反物質は対消滅するんだがな。」


とキリーが昼間のお返しとして、解説を始めた。


「つまり反物質を利用すれば、敵の攻撃も相殺できる、といった感じだ。昼間に火球を消したが、あれは反魔素を用いて消した。魔素というのはこちらの、おそらく例外はあるだろうが、魔法の正体だ。つまりそれを消してやれば魔法は意味をなさなくなる」


「つまり、お主にはもう、魔法が効かない、ということかの」


「いや、そうではない。なにしろ素粒子を作るのは面倒だ。数で押されたら、相殺が間に合わなくなることもあるだろう」


とキリーは自分の見解を述べ終えた。


「ふむ、まあ魔法の対策はいくらでもあるしのう。今考えてもしょうがないことじゃ。とりあえず、食べ終わったら寝るとするかのう」


「そうだな」


そしてしばらくは黙々と残りのものを食べ、床に就いた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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