崩壊直後の各方面
よろしこ
ついに魔王を追い詰めた。
地球から召還され、早5年。
その間各地で暴れていた魔王の軍隊と激闘を繰り広げ。
ついに本丸の魔王の城へと攻め込んだ。
城内の敵はどれも手ごわかったけれど、いままでの戦いに比べれば、楽な方。
そうして、魔王を追い詰めたはずだった。
なのに、今、なぜ城が突然崩壊し、目の前にはこの世界にはないものを着た男が魔王の前に立ちふさがっているのだろう。
ようやく地球へと還ることができる、そう思っていたのに。
でもこんなことを考える前にまずは目の前の男が敵なのか判断しないと。
さっきの崩落で、こちらも傷を負ったけど、まだいける。
この機会に魔王を必ずしとめなきゃ。
突然の崩落には驚いたがまあ、おかげで九死に一生を得ることができた。
この崩落をおこしたものには感謝せねばのう。
ところで目の前の男は誰じゃ?
見慣れない服装じゃが……。
「△○□▲□×」
異国の言葉かのう。
言語翻訳のスキルを発動して。
「おい、そこの幼女」
いきなり幼女とは、魔王の我輩に向かってとんだ肝っ玉じゃのう。
面白い。
「なんじゃ、それから我輩は幼女ではない。魔王のプルートじゃ」
「魔王?ふざけているのか?」
何じゃこいつ。魔王がいるというのは常識じゃろうに
「お主、魔王も知らぬとは、どういうことじゃ?」
「んなファンタジーなもの、創作物の世界にしかいない」
ふぁんたじー?よくわからんのう。それにここが創作物の世界なわけがなかろうに。
「ここは創作物でもなんでもない、ただの現実の世界じゃぞ」
しかし、これ以上会話を続ける前に、前からいきなり火球が飛んできおった。
手を振り、障壁を作って火球をちらす。
「お前、魔王の仲間か!」
こやつ、本当にうるさいのう。戦闘中にもやれ食らえだの、死ねだの、もっと戦いに集中せんかと敵なのに何度も注意したくなったわい。
「こっちで会話をしているのにうるせえな。まあいいか。まずはお前を殺してからゆっくりとこの"魔王"に話を聞くとするか」
この男、自分の種族であろう人間族の勇者を殺なのか。
まったくもってわけが分からん男じゃ
ああそういえば忘れていた。
この鎧を着た男どもを殺してからさっきの自称魔王とかいう脳みそファンタジーお花畑なやつに話をきいてから始末する手筈だった。
しかし、この男、いけすかねえ顔だ。
イケメンとか、好青年とか、そんな感じの顔。
上司にそういうのがいたな、俺らが死地をさまよっているのに内地でリア充している、殺したくなるようなやつ。ちなみに自分の階級は大佐だった。
閑話休題。
魔王の仲間かとか叫んでいたから、まあ"勇者様"とか、そんな感じのやつなんだろう。
とりあえず、ここはさっきの"魔王"が嘘をついていなければ、ここは世界戦争真っ只中の帝国のある世界ではない。
あの世界に、魔王なぞ存在しないからだ。
まてよ、ならこの世界にいれば少なくともあの戦争に巻き込まれることはもうないのか。
隣のやつが次の日には死んでいるような、そんな地獄から逃げられるのか。
「返事がないということは、肯定とみなすぞ」
ああうるさい。
こっちが考えている最中に。
もういいや。予定通り殺すか。
"魔王"は俺の右1mの位置。
たいして"勇者"の位置はこちらから左に15m
キルゾーンか。
"勇者"の首を分解する。
さて、これで殺したはずだ。
あちらから少女、おそらく"勇者"の仲間か、の悲鳴が聞こえるが気にしない。
あんなもの、聞きなれた。
「質問の続きだ。プルートとやら。この世界では世界終末戦争というものは起こっていないな?」
とりあえずここがあの世界でないことの確認。
「おぬしの言うその戦争はこの世界ではおきておらんよ、帝国軍大隊長大佐、キリーよ」
ほう、これは驚いた。この世界にも帝国のことを知っているやつがいたのか
「勘違いするでない。いまはお主のことを黒魔法をもちいて調べたからおぬしのことを知っているだけじゃ」
「魔法?この世界には魔法が存在するというのか」
「そうじゃ。そしてここはお主のいた世界ではないよ。だいたいの「さっきはよくもおおお!!!!」
だからうるさい。面倒だ。というかなぜ生きているんだ?確かに首を分解したはずだ。まあ消し飛ばせば問題はないか。
「核爆発に耐えうる障壁はつくりだせるか?」
「お主の知識にあるものであれば、なんとか」
便利だな。魔法。
「カウント5だ。今から勇者、でいいのか?あいつに小型核ミサイルを1発撃ち込む」
「了解じゃ」
「5」
小型核ミサイルを構築する。
「4」
「うおおおおおおおおお」と勇者が突っ込んでくる。
「3」
突っ込んでくる馬鹿とその仲間たちをを巻き込むように照準を合わせる。
「2」
着弾座標設定完了。ついでに核シェルターの構築。相手もこちらのミサイルに気づいたのか、何かを唱え始める。プルートも障壁を構築し始める。
「1」
馬鹿がすんでのところで構築された核シェルターの壁に剣を打ち付けたようだ。剣が壁を切り裂いた。これも魔法の効果だろう。即座に修復するからいいが。
「Feuer」
時間切れだ。
小型核ミサイルが発射され着弾、核爆発を起こす。
今回のはプルトニウム型核分裂兵器、威力は1tレベルにまで下げてある。
帝国の主力低威力核兵器だ。
外ではさぞ轟音が鳴り響いているだろう。
地響きがこちらまで伝わってくる。
核兵器の爆発が終わるまでおよそ30分。
さて、のんびり話を聞くとしようか。
約2000字書けました~
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