歪みの先には
駄文~駄文~
キリーは、目の前で繰り広げられている光景に我が目を疑った。
何かぶつぶつと、豪華な鎧を着た男が唱えると、相手に向かって、おそらく2000Kくらいだろうか、
そのくらいの熱さの火球が飛んでいく。
飛んでいく先を見てみると、ゴスロリ調のドレスをきた幼女がいた。
その幼女が手を一振りしたかと思うと火球が不可視の壁に当たったかのように霧散した。
(一体どういうことなのだろうか。超能力か?
彼らは自分と同じ超能力者なのだろうか。
ならば消さねばならない。
彼らは我らが帝国軍には所属していない超能力者だ。
超能力者は一人で一個大隊をも相手取ることができる、極めて脅威度の高い戦力だ、放っておくわけにはいかない)
幸い、彼らはこちらに気づいた様子はない。今が奇襲を仕掛けるときだろう、とキリーは判断した。
まず、あたりの様子を脳内コンピュータともちあわせの索敵機器をもちいてスキャニングする。
あたりの地形、構成物質、敵戦力の位置等々。
スキャニングが完了すると、その結果は若干の驚きをキリーにもたらした。
建造物の構造は、大昔の城と同じような構造であった。隠し部屋もいくつかある。
生体反応は、この城には所属不明の超能力者とおぼしき5人しかいない。
この点には、キリーの驚くようなことはなかった。
だが、構成物質のほうに、未知の物質が含まれているのである。
帝国の誇る科学でも知らない物質があったとことに、キリーは驚きを禁じ得なかった。
より分析を進めていくと、これは物質の大きさから素粒子だと推測された。
判明している素粒子の種類は、アップ、ダウン、ボトム、ストレンジ、トップ、チャームのクオークに、電子3種類、ニュートリノ3種類と、光子、ウィークボソン、グルーオンというフォースキャリアー、重力子、ヒッグスボソン、それからこれらに対応する反物質。
しかしこの空間には、未知の素粒子が充満しているのである。
そして、スピン、電荷、その他量子数を測定。
次に反物質の作成を試みた。
反物質があれば、敵がこの素粒子を使ってきても相殺が可能だからだ。
量子数を弄り、反物質を作る。
次に、未知の素粒子とぶつける。
対消滅確認。エネルギーはE=mc^2と一致。
キリーは、この反物質はすぐに作れるようにとショートカットに加えた。
そうこうしている間に、男たちのほうはぼろぼろになりながらも、幼女を追い詰めていた。
幼女にいたってはもはや瀕死である。
ならば処理がより楽であろう幼女を支援し、男たちを始末した後、情報を聞き出したらあとは幼女を殺害する。そんな風にキリーは、今後の方針を定めた。
小型ミサイルを多数構築。太もものホルスターからデザートイーグルを取り出す。
小型ミサイルの照準はすべて男たち4人へ。
(なんとも無駄な服装をしているものだ。鎧なぞ、兵器の前では無力だというのに)
よっぽど、ゴスロリのあの幼女の服装のほうが動きやすいだろう、とこれから殺す相手に対してどうでも良いような感想をキリーは思った。
「…Feuer」
小型ミサイルが一斉に男たちに殺到する。
焼夷弾頭も混ぜておいたそれらは、大爆発を起こし、あたりを炎上させながら城を崩壊させた。
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