5 ばばん ば ばん ばん ばん♪
どらごん は まぐま では しなない ぞ。
おれ は ひとつ かしこくなった!
と、いうわけで、はい、翔べませんでしたわ。
いやー、なんとかなるかなーと思ったんですがねー。ダメでしたねー。ついに……とか盛り上げときながら墜ちちゃいましたわ。本能さんが仕事しなかった。てへぺろ。
重力に牽かれ、墜ちた先は溶岩の海。深いし熱いし纏わり付くしでパニック状態に陥ったものの、いつまで経っても死ぬ気配がないことに気付き浮上。冷静になってみると熱いは熱いがそれほどでもない。熱いけど熱くない少し熱い泥風呂のような感覚。
風呂はいいよね。命の洗濯とはよくぞ言ったものだよ。あ~、生き返る。
しかし贅沢を言えばこんな粘度の高いドロドロの風呂より温泉みたいなお湯を浴びたい。ないかな、温泉。活火山だし、山の周りを探せばあるかも知れないけど……。
上を見上げる。
大きく開けた火口の向こう側、空は遠い。
「翔ぶ練習……すっかなぁ」
前世の死因は過労だった。だからと言うわけでもないが、今生では違う生き方をしてみたい。趣味に生き、怠惰にすごし、自堕落に生きる。無理はしない。頑張らない。
けど、そう言う生き方を望んでも、努力しないってのは違うみたいだ。この溶岩と岩壁しかない火口に一匹で生きるのは寂しいし、耐え難い。
外に出たい。
一度考えてしまえば、もう気持ちに歯止めはつけられなかった。
食べるものもない、娯楽もない、そして誰もいない。折角生まれ直したというのに、こんなのってあるか!
畜生! 畜生っ!
壁際まで泳ぎ、爪を立てて張り付く。そして羽を広げて、こびり付いた溶岩をふるい落とし、そのまま前後に羽ばたき続ける。
「ちくしょおーーーーーーー!」
気付けば、思わず叫んでいた。ずっとずっと、叫びながら羽ばたき続けた。