4 翔べ! ドラゴン
みっちりしている。
ふてくされ、怠惰に過ごす毎日。
寝るしかできないと決めつけ、その通り寝て過ごした。
その間にも体はすくすくと成長する。この狭い足場の上で。寝返りも打てないほどに。
何も食べていないのに体積は増え、たまごに比べて大きめに作られていた巣に、今や体がみっちみち。
「あ、これ寝てる場合じゃねぇな」
と流石に焦りを覚えた今日という日。
もはや手遅れである。
この巣は限界だ。耐えられないよ。
俺の忍耐が、ではなく、土で自然に作られただけのこの足場が! 俺の体重に! ドラゴンの重さに耐えられない!
このまま何もせず、ただ足場が崩れるのを待つか。
否!
そこにあるのは死。眼下に広がる溶岩へのダイブ。鱗を焦がし、肉を焼き、骨すら溶かす大自然の脅威。
もはや猶予はない。ならばやるべきことは一つだ。
俺は背中に意識を集中し、羽を広げる。
生まれたての時はあんなに頼りなく小さかった羽も、体の成長に合わせて大きくなった。
……翔べるっ! 俺は! 翔ぶ! 巣立つ! そして……生きるのだ! この火口の向こう側! 大空の下で!
アイ、キャン、フラーイ!
思いっきり地を蹴り翔び立つ。崩れゆく足場、落ちていく巣。
そして俺はついに……。