11 フラグが立った
前話があまりにもアレなので、本日は二話連続更新。
まだ読んでない人は前の話から見てね。
アレってのは、アレですよ。あんまり短かったかなって思って。
雑談してたら猿顔が発狂したなう。
少し落ち着いて。あなた、疲れてるのよ。
はて、何がいけなかったのだろう。
昏倒後、拉致。
生き埋めにされ三日放置。その間目の前にはドラゴンの死骸。
実は生きていたドラゴン。話は通じない。突然珍味の話をしだす。材料は猿。
うーん? 相手の身に立って考えてみたが、よく分からんな。発狂する要素があっただろうか。
――いや、本当は分かっている。分かっているけど面倒臭いので分からない振りをすることにした。
おいたんどうしておきなこえだすの? ぼくわかんなーい。
てなもんだ。
ふぅ、リアル0歳児で助かった。成人してたらブタ箱で臭い飯をごちそうになるところだったぜ。
このあと改めて尋問を行ったわけだが、すごく……従順でした。
◆
問い:あの馬野郎は本当に魔王ですか?
答え:はい、魔王です。ジルダリアス様は六大魔王の中でも一番の武闘派
として有名です。
問い:え、魔王って六人もいるの?
答え:はい、六魔王様が魔界を分割統治されています。
問い:その魔王がなぜ人類領域の中腹まで?
答え:我らがジルダリアス様は人類領域との境界の西側を統治されてい
ます。
しかし、この度は人類側に不覚をとり、境界線の一角を破られて
しまいました。
そこでジルダリアス様は汚名を返上すべく、少数精鋭を引き連れ
て人類領域の攻略に乗り出されたのです。
問い:その結果、どこぞの国のお姫様を追い回していた、と?
答え:セントス国のスーシャ姫は、我らがワスナ国に攻め入った攻略軍
の軍師です。故に、攻略軍を返り討ちにして逆に追い込んだ今、
彼の女を捕らえて見せしめにするつもりでした。そうして初めて
此度の汚名は雪がれるのです。
問い:それをよく七匹でやろうとしたな……。
答え:無論、少数精鋭とは言え、当初は三千を超える規模で攻め入りま
した。しかし、人類領域の境界線の西、ヴァノス国を滅ぼすにあ
たり我が軍も甚大な被害を受け、残ったのはジルダリアス様と僅
かばかりの近衛の兵だけとなりました。
問い:……人類領域の国、一個亡くなっちゃったの?
答え:はい。
問い:その時点で国に帰れば良かったんじゃ?
答え:ワスナ国は武の国。征く道はあれど退く道は持ちません。故に、
攻め入らば死ぬまで突き進むのみなのです。
問い:それ、お前らの国も滅びるんじゃ……?
答え:王の座は既にご子息であるビエダラ王子に譲位されています。ジ
ルダリアス様が見事名誉の戦死を遂げられた後は新たな魔王を名
乗られることでしょう。
問い:おお、クレイジー……。戦う度に神風アタック。よくぞ今まで存
続してきたな、ワスナ国。
答え:今までは邪神様と女神の力が拮抗しており、両陣営共に迂闊に攻
め込むことは出来ませんでした。
ところが昨今、何故か神のご加護は消えて無くなり、境界線上で
の衝突が激化していったのです。
「あれ、お前ら、邪神死んだの知らんの?」
「……………………え?」
「しかしこりゃ思ったより深刻だなぁ。早く手を打たにゃどっちか滅びるぞ」
猿顔は何に驚いたのか、口を開けたまま固まっている。
そして俺はと言えば、今後の計画を練り直して思案中である。
お世辞にも俺のおつむは出来があんまりよろしくない。
なにせ今生は産まれ持った頑強な身体を使いゴリ押しでやってきた。そしてなんとかなってきた。
更に言えば前世でも実家暮らしの家業手伝い。コンビニ傘下のチェーン店で働く、労働階級である。ずばり、あんまり頭を使ってこなかった。そういうの、人任せにしてきた。
うーん、困った。どうしよっかなー。
問い:ちなみに、武闘派集団の君らは『負けた相手に従う』みたいなル
ール持ってる?
答え:…………は! あ、い、いえ。我らは『敗北、即ち死』と考えま
す故。
問い:その割には君、随分従順ですけどね。
答え:……逆に言えば、死んでいなければ負けではないので。
ふーん。屁理屈じゃねーかって気もするが、責めるのも可哀相かな。
……ん? ひょっとしてこいつ、俺が油断するまで待って寝首掻くつもりか?
ん~……いいけどね。油断してても負けそうにないし。
さて、フルの輝く未来のために、どういう計画でいきましょうかね。
誰か、頭の良い奴でもいれば……あ~……ん~?
その時俺の脳裏に天恵閃く。
そういや、いるね、頭の良い人。
セントス国の軍師姫が。




