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3 食う、寝る、遊ぶ

 良いニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?


 ふふふ、では良いニュースからだ。

 なんと今生では、空腹を感じないということ。生まれて幾日か経ち、疑念は確信へと変わった。全く腹が減らない!

 ドラゴンと言えば巨体。生まれたての赤子といえど、その成長のためには大量の栄養が必要なはずだった。しかし、どういう理屈か知らないが、腹の虫は仕事しないし、体は少しずつ成長していた。

 つまりこれ、狩りからの解放! 正直「飯の用意が面倒臭い」と一人暮らしの学生よろしく不満を覚えていたものだが、杞憂であった。炊事なんて必要なかったんや! ビバ、ドラゴンの体。全くすばらしい種族に生まれたものだぜ。


 では、次に悪いニュースだ。

 上を見上げれば、火口が天に向かって伸びている。その高さたるや、俺の身長の何倍に及ぶものか。

 下を見下げれば、一面のマグマが広がっている。ドロドロに溶けた溶岩。確か表面で千度くらいだったか。地球の中央で六千度って話だしな。

 そんな中、俺に許された行動範囲はこの巣が作られた足場だけ。羽はあるもののまだ飛べないし。

 おーっとっとっと、どうするよこれ。「なにもしないでいい」のと「なにもできない」のとは大きな隔たりがあるですのことよ。

 遊んで暮らせて超ハッピー、と思いきやあっさり足払いを食らって転がされた気分だ。そんなのってないや。なにが無期限の夏休みだ。気分はすっかり無期懲役。こうなってくると「食事の用意がいらない」のも「食べる楽しみがない」に早変わり。


 詰んだ。

 早くも今生詰んだ。


 俺に残された選択肢は、もう「寝る」ことしかない。

 ぐぬぬ、くやしぃのぅ、くやしぃのぅ。


 斯くなる上は寝るしか御座らん。寝る子は育つという金言を信じて、ただひたすらに、空を飛べるようになるその日まで。俺には……寝ることしか……。

 うぉぉ……、お、おやすみなさい……。

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