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過労死から始まるドラゴン転生  作者: questmys
一章 幼生期
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22/79

15 タンク

予約投稿間違っててちょっと更新遅れました。

えろうすんまへん。

「ふーむ。結局自警団には参加するんじゃな? ありがたいが……危険じゃぞ」

「はい、覚悟の上です」

 フルは決意も固いといった表情で頷いた。

 じいさんがこちらを見ているので、首を振って返事をする。フルを説得すると息巻いて出たのにこの様だ。少々気まずいですわ、おほほ。


 さて、家族を説得した上で、改めて自警団のまとめ役であるじいさんに報告に来たのだが――フルは何事か相談があるとも言っていた。一体何だろう。

 チラと見上げるとフルは俯いて口をもごもご動かしている。言い難いことなのだろうか。

 次にじいさんへと視線を向ければ、様子がおかしいことに気付いたのか、あちらから話を持ちかけてくれた。

「どうしたね。何か言いたいことでもあるのかのう」

「はい……あの、少し言い難いんですけど……」


 ◆


「魔法が安定しないとな?」

「はい。コートの怪我を治した時は、自分でもびっくりするくらい集中できてて、ただの【ヒール】なのにみるみるうちに怪我が治って……でも、そのあと何度試しても、あの時みたいに魔力が集められないんです」

「ふぅむ……確かにあの時はたいしたものじゃったのう。わしも目を見張ったわ」

 そうなのかー。でもフルは魔法初心者なんだし、不慣れなことにムラが出るのは仕方ないんじゃないかね? それか、俺を助けるために必死だったから、とか。ほら、俺、愛されてるし?

 ああ、でも、なんか、才能有るとか言われてる人が躓いてるのがちょっと嬉しいとか、俺ってやっぱ小物だわ。ごめんね。

「ものは試しじゃ。ちとここでやって見せてもらえんかの?」

「は、はい」

 フルは呪文を唱えて魔力を集中させる。俺とじいさんはそれを感知して視るのだが、うん、基準が分からん。そうだな、じいさんが【ヒール】を使った時よりちょっと少ないくらいかな。

 じいさんを見上げて「これすごいの?」と目で訴えかける。返答は首の横振りだ。

「やっぱり、駄目でした。わたし、あれだけ回復魔法が使えるなら、と思って志願しました。でも、これじゃあ足手まといにならないでしょうか」

 不安げな瞳をじいさんに向けるフル。自信を無くしてしまったのだろうか。少々の同情を感じてしまう。

 しかし俺達にとってはチャンス。申し訳ないが、ここで自警団への入団は諦めてもらおう。それがいい。「分かってるよな?」と目で合図。

「そう気落ちするでない。十分使えておるよ。なにより、前線で戦う者達にとっては『回復役(ヒーラー)が居る』というだけで心強い。お前さんは立派に役に立つ」

 はい、出ました、空気読めてない。残念賞としてじいさんの足を踏んでおきまーす。

「痛いのう。何するんじゃチビ」

「ガルルルルル」

「こ、こら! コートったら……。ごめんなさい、バルシェンさん。今治します」

「いや、ええよええよ、たいしたことないわい」

 本人もこう言ってることだし、治すことないさ。

 屈んでじいさんの足を治そうとするフルの肩に手を乗せ引き留めようとする。が、フルは呪文を唱え始めでしまい――その魔力がグングンと高まり集中していく! なんじゃこりゃ!

「お――おお、こ、これは!」

「できた……?」

 はー、確かに凄い。とんでもない魔力量だ。先ほど使った分の三倍も四倍も高い。フルの身体を厚く覆い尽くしている。

 これが才能なのか……。

「……なるほどのう」

 じいさんは「合点がいった」という様子で何度も頷いていた。それから俺の肩に手を置き、フルから引き離す。

 え、なになに? なんですか?

「さて、もう一度、やって見せてくれ」

「え? は、はい!」

 再びの回復魔法。しかし今度はいつも通り。ふーむ、やはり慣れの問題なのだろうか?

「駄目でした」

「いや、それでええんじゃ。次はこのチビに触れながらやって見せてくれ」

「コートに?」

 疑問に思いつつもじいさんの言葉に従い、俺に触れながら呪文を唱え始める。

 するとどうしたことでしょう、今度は大成功だ! つい先ほどじいさんに対して使った時のように魔力が高まり、手の平に集まっていく。

「……これって――」

「気付いたかのう」

 二人とも真剣な顔をして俺を見る。

 な、なんスか? 俺の顔に何かついてる?

「やれやれ、当の本人が気付いておらんのか。

 フルが大魔力を集中できる時の条件は、お前さんが触れるくらい傍にいた時じゃ」

 なんですと?

「フルは他人の魔力は感知できるのかね?」

「いえ、できません」

「わしから見ると、チビに触っている所からフルへと過剰な魔力が流れ込んでいた。

 チビ自身は魔法を使えないようじゃが、呪文を唱えれば魔力は発動していたし、その量も並のものではなかった」


 それってつまり――俺の特殊能力?

 自分では扱えない魔力だが、他の人の魔力増幅器(アンプ)となって超魔力を発動させることができる。魔法に対する強化(バフ)能力、それこそが俺の持つ特殊な能力(ちから)である、と! そういうことか!


「このチビは大きな魔力容器(タンク)なのじゃ。触れることで、その身に蓄えられた膨大な魔力を引き出し、使うことができる」


 ――あ、これ違う。なんか便利なアイテム扱いされてる!

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