表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第1部:第2章
72/199

第72話 「休日初デート5」

ええと。本日2度目の更新なので、前の話を読んでいない方はそちらを先に読むことをお勧めします。

「えへへ、誉められちゃいました」


 朱玄しゅげんさんの点検が終わり。

 俺は、俺の隣で顔を綻ばせている澪雫みおを見つめた。


 先ほどまで、点検の作業を見学しようとのぞいていたわけだが、朱玄さんは鞘から取り出して刀を2回ほどひっくり返して『空気を拭き取るように』さっと何かを施し、すぐに澪雫へ返したのだ。


『点検するまでもない。大切に扱われているし、手入れはなされていたし、刃こぼれは見つからなかった。完璧』


 きっと、今も澪雫の頭の中では先ほど朱玄さんに言われた言葉を反芻しているのだろう。

 プロの武器職人、それも彼女の剣を作った家系の現代当主にべた褒めされたのだ、普通は喜ぶ。


 俺だって、もし言われたら小躍りするだろう。


「こう言うのも、本当に楽しいものです。……ありがとうございますね」

「俺は何もしてないけれど」


 というわけで、今はまた先ほどのように日本刀系統のブースにいた。

 澪雫が欲しがっているのは、日本刀を手入れするための道具……なのだが。


「えっと。これは魔剣の一種なんですよね」

「多分。少なくとも関帝白玄はくげん傑作は魔剣しかないって聞いたことがある」


 関帝白玄とは、朱玄さんの父親で前代関帝家当主だ。

 俺は直接あったことがないが、隠居しているらしい。


 この世に数々の有名な魔剣を排出した人であり、20年前には父親の陣営に大きく貢献したという。


「としたら、少なくとも魔剣用の物を買わなければ。……でも、種類が多くてよく分からないです」

「本当だ、多いなぁ……」


 大型のスーパーで売られている、ドリンクの種類くらいには物があってどれがどれだか分からない。

 店員に聞いた方がいいんだろうけれども、……周りを見回してもいない。


零璃れいりくんに訊くのがいいのでしょうか」

「……それもいいと思うけど。……とりあえず、ここで買うのは止めておくか?」

「そうですね。分からない物を買っても無駄になっては困りますし」


 ちなみに、今までどうやって手入れをしていたか訊けば、俺の母親から貰った物を使っていたらしい。

 俺の母親……つまり【剣聖】の涼野すずのれいは、朱玄さんにわざわざ手入れの仕方を教わりに行っていたらしいから、その辺もよく分かっているんだろう。


「うー。……商品番号くらいは、師範から教わるべきでした」

「使い果たしたのか?」

「ちょうど、この前……」


 この前、っていったら恐らく公式試合だな。

 魔剣なんて、滅多に抜く物じゃないし……。


 あれ、でも澪雫ってこの2本の魔剣しか常備していないんだ。

 ……サブウエポンは必要ないのか。


「予備の刀は、必要ないのか?」

「んー、どうしましょう」

「その2本を受け取る前は、何を使っていたんだよ」

「練習用の模擬刀を使っていました。実際の戦闘が行われるのは、よっぽどのことがない限りは学園に入学してからでしょう?」


 確かに。

 一般的には、16歳までは日本の場合一般人も能力者も同じ場所で授業を受ける。

 それは一般的な話で、正直……零璃とかは中学に行っていないだろうなとは思う。


 しかし、義務教育なんてよく言ったものだ。

 それが適応されるのは、一般人だけだって20年前に決まってからいろいろと変わった、らしい。


 俺はよく分からないけれども、能力者の【能力育成機関】に16歳で入学することを義務づけられたのもそのころだ。

 能力者は能力者、一般人は一般人でそれぞれ完全に違う人生を歩むように今の世の中は出来ている。


 あと3世紀も過ぎれば、能力者の数は総人口で80%に届くらしいし……。

 この世界が、完全に能力者社会になるのも遠くない話だろう。


「……何か考え事ですか?」

「おっと。……何でもないよ」


 思ったよりも時間が過ぎていたらしい。

 俺が顔を上げると、そこには半ば心配そうに、半ば不安そうな顔でこちらをみる澪雫の姿があった。


「何か欲しい物は?」

「今のところは、大丈夫です」


 彼女に質問をしながら、俺はショーケースに入っていた刀の値段をさりげなく確認した。

 能力の干渉をされていない刀は一番高くても200万、干渉のある刀はその倍以上か。


 安いものでは5万から。だが澪雫に似合うのはきっと上の方だろうな。


「じゃ、とりあえず店を出て何処か休めるところを探すか」

「はーい」


 澪雫がうなずき、俺が彼女の手を取ると少女は顔を少しだけ赤らめた。

 まだ、慣れてはいないようだな。すぐに慣れられても困るけれど。


「ネクサス君の手って、思ったよりも大きいのですね」

「……そう?」

「はい。……剣の練習は、なされてるんですよね?」

「下手だぞー?」


 ご謙遜を、と澪雫は俺が冗談を言っていると思っているのか、ほほえんでいるけれども。

 ……残念ながら、澪雫の思っているレベルよりも格段に下だと思う。


 

お聞きしたことがあるのですが、この更新ペースでよろしいでしょうか?


週1回以上確定、とは言っておりますが、もっと増やしてもいいというのなら増やします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ