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蒼氷のゼニス  作者: 鶴琉世乃
第1部:第2章
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第71話 「休日初デート4」

やっぱり、日常パートのほうが筆が進みます。


デートはあと……3話くらいかな。


よろしくお願いします

「武器店に行きませんか?」


 澪雫みおとファーストフード店を出たところでどこに行きたいか聞くと、彼女はそう答えた。


 武器店。つまり、澪雫の刀とか銃とかが売ってる場所である。

 もちろん武器を買うときは身分証明書が必要だし、俺達の場合は天王寺学園に通っているという証明書……つまり学生証も必要だ。

 だが、どちらかと言えばこの世界、武器は手に入りやすい。


 能力をもたない一般人は万が一能力者におそわれたとき、対抗手段という物は必要だろうしそれは能力者も対能力者として使うときが多々ある。

 そんな中でも、日本や俺の出身国はそういう犯罪が少ない。


「そうだな、ちょっと見ていくか」

「この近くに、関帝家の鍛冶本店と風庵寺コンポレーションの武器店が別方向にあるのですが、どちらがお好みですか?」


 関帝家と風庵寺家、この二つでこの世界の能力者武器はシェアが8割だったか。よく分からないがとにかくこの世界で有名なメーカーだ。

 関帝家はもちろん、零璃れいりの家である。

 あんなかわいい顔をして、彼も確か武器を作ることは出来ないとしても改造・修理くらいはできるとかなんとか。


 風庵寺は、基本的に遠距離武器だな。

 というか近代武器? と一般的には言われるたぐいを作っている場所だ。


 簡単にSFっぽいのが風庵寺、ファンタジーっぽいのが関帝家と考えればそれでだいたいあってる。


「本店ってことは、でも朱玄しゅげんさんいるかな」

「どうですかね?」


 昨日あったばっかりだし、今日の朝に別れたばっかりではあるが。

 運が良くて彼が店にいたら、割り引きしてくれるかもしれない。


「よし、関帝家のほうにいこう」

「はい、了解です!」


 らじゃっ! と敬礼してみせる澪雫。

 その姿は、妙に様になっていて美しかった。


 和服もいいが、軍服を着用していてもいいのかもしれない。

 ていうか一度着て貰いたい。今度言ってみよう。


「そういう表情も出来るんだな」

「……んぅ?」


 敬礼のあと、一瞬だけ彼女が浮かべた表情は何とも説明のしがたい顔をしていた。

 いたずらをした後の子供みたいな、何というか。

 今まで表情だけを見ると俺よりも年上に見えていた彼女の容姿が、一気に幼くなった気がした。


「いや、なんでもない。ところで気になっていたんだが、その敬語はなんとかならないのか?」

「なりませんね。幼少期からこうでしたし……」


 成らないのか。

 ……なら、仕方がないな。









「お、いらっしゃい」


 朱玄さんは、そこにいた。


 確かに、笑顔で俺達を見つめている。

 ……社長って、安楽椅子で座って居るものではないのか。


「本店っていっているが、正直ここしかないしな」

「あー。あれ、零璃は?」

「零璃はもう天王寺学園に帰ったぞ」


 ちょっとだけ残念だ。


 しかし、このかなり広いはずの店内でも「狭い」と感じてしまうほどの量。

 初めてここには来たが、もうなんと言えばいいのか分からない。


「……澪雫ー?」

「ここですここです」


 店内には人がほとんどいない。

 そりゃあそうだろう、ここは高級店ということもあるがそもそも「武器店」なんだから。


 能力者関係の人くらいしか普通の人は来ない。

 そもそも、立ち寄ろうとも思わないだろうが……。


「はわわ」


 この澪雫の、目の輝きと言ったらもう。

 もちろん彼女が眺めているのは日本刀系統のあるブースである。


「質がいいですね、やっぱり」

「どれくらい?」

「学園に売っている物がゴミに見えてくるくらいです」


 ああ、察した。

 学園に売っている物は、学園故に大量購入しているからか、質はそこまでよくない。

 作っているのはしかも、大量生産だとか言っているし。


「ここの商品は、一品一品私たちが心を込めて作っているからな」


 ふふん、と胸を張る朱玄さん。ちょっと、キャラじゃないです。

 ここは、確かオーダーメイドも受け付けているんだっけか。


 魔剣を本気で頼もうと思えば、7~8桁は下らないだろう。

 今、澪雫が俺の母親から受け継いでいる【イザナギ】と【イザナミ】っていう小太刀は、前代の関帝家当主が作った最高傑作らしい。


霧氷むひょう澪雫、と言ったか」

「はい」

「もし構わないのであったら、だが。私がその刀を点検してもいいだろうか」


 ほぁ? と一瞬思考停止をした少女、澪雫。

 そして、無言で何かを堪えるように顔を俯かせると、すぐに2本の鞘に収まった刀を差し出す。


「……こちらにくるといい」


 開発部に、案内してくれるようだ。

 澪雫、すっげー嬉しそうな顔をしているな。


 あー、これは分かるぞ。

 母親に対して彼女が向ける顔だ。

 長年憧れていた、たとえばアイドルなどに向けるキラキラとした顔である。


 でも、なんだかいやな感じはしないんだよな。

 不思議と、でも彼女の顔がやはり愛でたくなるほどに可愛い。

 ちょっと、たとえば7桁くらいの円なら貢ぎたくなるほどには魅力的な顔を惜しげもなくさらしている。


 これで男と交際をしたことがないと彼女が言ったところで、誰が信じるというのだろうか。

 幼少期からとんでもなく狙われそうだな。

 ……誘拐しようとしても、幼少期から強かったらしいから恐らく返り討ちにあっていただろうが。


「その顔、本当にいいな」

「……ネクサス君なら、幾らでもどうぞ」


 ああー、聖女だな本当に。

 呆けそう。いやもう見とれている時点で何ともいえない。

この章はほのぼのさせたい、です。



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