第65話 「凱旋ディナータイム6」
最近は別作品に力を入れていて、少々更新が遅くなってしまって申し訳ありません。
これからも頑張って更新します!
「ゼオンさん、お久しぶりです」
俺の親と、ヴァロッサの親の談笑は終わったらしく、俺たちは彼女の両親に挨拶をすることにした。
ヴァロッサの父親が、俺の親の親友のゼオン・C・デスロスト。アンティークゴールドの髪の毛を長めに伸ばしている精悍な中年男性である。
そして彼女の母親が、トパーズさん。夫と同じように、金色の髪の毛を伸ばしたおしとやかな女性だ。
「おー、久しぶりだなネクサス」
「おひさしぶりー」
ちなみに、俺のフルネームの一説に「ゼオン」というのがあるが、この人のことを指していたりする。
確かゼオンさんは若いころ、正義感にあふれた熱血男だったらしい。
だからといって、悪人をそのまま業火で焼き尽くしたという逸話は、どうかと思うが。
正直、やりそうで怖い。
「ここにいるメンバーはほとんど、戦争で何人となく人を殺しているからな……。正直、心に傷が残っている人は全員があてはまるだろうし、大切な人を亡くした人も居る」
だからこそ、こういうときに集まって心を安らげるんじゃないか、とゼオンさん。
ゼオンさんも、いとこを目の前でなくしているらしいし。
「あ、最近ヴァロッサはどう?」
そう俺に話しかけてきたのは、トパーズさんである。
俺の母親と比べるのもなんだと思うが、こっちの母親は『剣聖』というだけあって超前衛。
逆にトパーズさんは補助的な後衛を得意としていたらしい。
「ヴァロッサが、『学園にネクサスが入ってから私をかまってくれなくなったー』ってダダをこねているの」
「えっ」
「氷羅ちゃんがね、あの時はずっとあれだったし……」
うん、確かに。
第二のお姉さんみたいな感じはあったけれど。
確かにあったけれど。
逆依存されていないか? 俺って。
さすがに自信過剰だろうか。そんなことはないと思いたいけれども。
「とにかく、うちの娘を頼む。手籠めにしてしまっても構わない」
「えっ」
冗談だ、とトパーズさんとゼオンさんはくすくすと笑う。
が、その目が笑っていない限り本気らしい。
確かに、入学時は相性が最悪かと思われていた澪雫とも、今は付き合っているんだよな。
これが、元からある程度相性というか、好感度が上がっている状態だからなぁ。
いったい、どうなることやら。
「とにかく、よろしくね」
「まあ、善処はしたいと思います」
たちの悪い答弁みたいになってしまったが、今のところは澪雫との生活を堪能したいしな。
「ん、いたいた。澪雫は何をしていたんだ?」
「紅さんに連れられて、神御裂家のご夫妻と挨拶をさせていただいていました」
俺の質問に答える澪雫の首筋には、僅かながらあせが流れていた。
そのため、俺はとりあえずそばにあったコップを手に取り、冷水を入れて彼女に渡す。
「あ、ありがとうございます」
「大丈夫か?」
「はいっ」
今回の返事は、無理をしているというよりはこの場を楽しんでいると言った感じだな。
よかった。最初のほうは緊張で見ているこちらが怖かったけれども、今なら大丈夫だろう。
「どうだった?」
「冬月さんって、本当にクールビューティな感じだったんですね」
澪雫の言っているのは、紅の母親の事だな。
能力者って、本当にどうなってるんだろうな。
本当に、アンチエイジングが個人差は少々あるとはいえかなり普通の人よりも活発だ。
そのため、本当にある意味でひどい人は年齢が変わっていないのではないかと思ってしまったりもする。
「それにしても、こういうところって本当にいいですね。ありがとうございますね」
澪雫が、楽しんでくれているんだったら。
俺も、もっと楽しまないとな。
「あとちょっとしたら花火が始まるって言ってたし待つ?
「そうですね。先に場所をとりましょ」
場所も何も、何か道具を使うんじゃなくて能力を装飾用にして打ち上げるっていうものだからな。
場所を取りようがないっていうのが正直な感想。




