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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第1部:第2章
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第54話 「斬術ブレイドダンス2」

 さて、俺の異名登録も終わったことだし。

 澪雫みおに、神御裂かんみざきについて聞くことにしよう。


「神御裂の名前を知らないのです?」

「俺が、日本で知っている能力剣舞ブレイドダンスの派閥は、『涼野流』と『小山流』だけだ」

「そうですね、それですよ?」


 は?

 俺は訳が分からず、彼女のほうを振り向いた。

 澪雫は少々得意げに、ふふんと鼻を鳴らす。


 もちろん、そんなことは俺にしか見えていないわけだが。


「小山家は、20年前。あの日から『神御裂家』になったんです」

「……それはどうして?」

「なぜなんでしょう。おそらく、今までの伝統だけではこれからやっていけないと思ったからではないでしょうか?」


 それは、新しい風潮を取り入れていった方がいいと思ったのか。

 それとも、小山っていうありきたりな名前じゃいけないと思ったのか。

 よくわからないけれど、確か小山家……じゃなくて神御裂家も英雄の一つとして名を連ねているからな。


「まあ、小山では苗字が名前に負けていると考えたのかもしれませんね、あそこの師範は」

「よくわからないんだが、どういうことだ?」


 俺が澪雫にきくと、彼女は「本当にネクスト・アルカディア様の息子なのです?」とかなりの真顔で俺に訪ねてきた。

 俺が小山家のことをしらないだけで、なぜここまで言われるのか分からなかったが、どうも親父は今の神御裂家当主と仲が良かったらしい。


 俺は知らないけど。


「だって、俺の親父の交友関係ってとんでもないんだぞ……」

「その交友関係の中で、アルカディア様に特別な感情を抱いていた女性が代表して4人おられるのは?」


 なぜ、ここで俺は父親の自慢話を他人の口からきかなければいけないんだ。

 ……まあ、親父には学生時代、男女問わず人気があったことは知っているし、少なくとも今の俺のような状態ではなかったはずだ。


「関係ないんじゃないか?」

「それが関係あるから言っているのですよ。……えっと、師範である涼野すずのれいさん、南雲なぐも華琉はるさん。今は八神先生と結婚したので八神華琉になってますね」


 えっ。

 さすがにそれは知らなかったなぁ。


「あとは天鵞絨てんがい雨海みうさん。ここの理事長ですね。そして最後に神御裂かんみざき冬月るな


 ああ、なるほどね。

 確かに、『小山冬月』よりも『神御裂冬月』のほうが様にはなっているな。


 って親父、相手全員、若いころからの有名人じゃないか。

 魔性数値EXか何かか、本当に。


「学生時代、ネクスト様に告白した人数は男女合わせて100人とも聞いていますし」

「男女!?」

零璃れいり君みたいな、人も居たんでしょうね」


 いやいや、零璃は自分を男だとちゃんと認識していただろうに。


 まあとにかく、と澪雫は一息つく。


「とにかく、そこの師範の姉妹と知り合いなので、声をかけてみるというのはいかがでしょうか?」

「ふむ」


 ……でもなぁ。

 俺は一つの事態に気づき、うなずきかけた首を元に戻す。

 澪雫は、それに気づいてくれたようだ。


「何か、気にかかることでもあるのですか?」

「澪雫の刀は、どこまで届く?」

「ええっと、私の場合『属性能力』を加算しても、10メートルほどでしょうか」


 『涼野流剣術』は、もともと剣を高速で振り斬撃を遠くに飛ばすというのを取得させるのもある。

 母親の場合、親父の加護もあってか半キロくらいは飛ばせるが、一番の門下生でもこの程度か。


「……後衛が圧倒的に足りない」

「と、いいますと?」

「俺は……あえて言うが万能。能力でなら近接も遠距離もいける」

「はぁ」


 だが、と俺は開いた掌を彼女に見せながら、親指を曲げた。


「澪雫は近接だな」

「そうですね」

「零璃も近接だ」


 たぶん、1年の中では一番強固な楯じゃなかろうか。


「そして痕猫あとねこ刑道けいちは遠距離」


 あの人もたぶん万能の領域に入るんだろうが、属性の特性上範囲攻撃が碇石だろう。

 そうなると、やっぱりこうなってしまう。


「今は、近2遠1だろ。そしてそこに、あわよくば姉妹どちらも入ってくれれば?」

「あぅ」


 魅烙が入ってくれていたらなぁ……。

 偵察要員も作ったほうがよかったのだろうが、日本の交友関係は少ないんだ。


「まあ、入ってきてくれるだけでもいいんだけれども」


 足りない分は、俺が何とかカバーすればいいんだよな?

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