第49話 閑話 「英雄の帰国」
次回から第2章、発足します!
「もう、帰るのか」
俺は、寂しそうな顔をしている王牙と、華琉を見つめて少しほっこりした。
今、ここは空港だ。
俺と冷は、もう少しで帰国ということになっている。
「なんでそんな、寂しそうな顔をしているんだよ」
「いや。この数年、来日する機会が少なかっただろ?」
そんなことは、決してないはずなんだが。
俺のばあい、お忍びで日本に最低、1年で6回は来ている。
そのせいか、ネクサスや氷羅には「いきすぎ!」って言われていたり、その程度には。
「どうせ来週もこっちに来る予定があるし、大丈夫だろう」
「来週?」
「招待状、来ているだろう?」
そう、来週も俺と冷はこの日本に、来れる。
今回みたいにかしこまったほうではなく、プライベートのほうで。
「ああ、これのことか」
「久しぶりに全員が集まる。またその時に会おう」
もう、あのときから20年か。
こんなに時間がたっていたとしても、俺たちの交友関係はまだ続いている。
「あなた、そろそろ時間だよ」
ちょっと考えに没頭していたら、冷がちょんと肩をつつく。
思えば、冷と結婚しても20年。
天王寺学園の時代に、彼女を幸せにしたくて結婚を申し込んだんだが、俺は結局どうだったんだろうか。
まあ、20年たっても俺にべったりな状態を考えるに、特に心配しなくてもよさそう、だが。
「さて、じゃあまた来週」
「……これだけを聞いてると、高校時代の週末みたいだねっ」
確かにそうなんだが。
俺もいろいろと国、じゃなくて仕事があるし王牙も華琉も学園の教師でしかも、今の時期ちょうど公式試合も終わったころだ。
てんてこ舞いのはずなのに。
「まあ、とにかく」
俺たちの世代は、揃いも揃って今幸せを勝ち得ているだろう。
が、もう俺たちの時代は終わった。
「あ、王牙」
「あ?」
「氷羅とネクサスのこと、頼むな」
特にネクサス。あいつ絶対に無理するから。
良くも悪くも、俺と冷に性格はかなり似ているからな。
むちゃしやがる、本当に。




