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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第1部:第1章
44/199

第44話 閑話 「英雄が、英雄になった日」

1000文字程度の短い短編です。

親の世代を書くのは、ネタバレにならないか少々不安ですが……。

「終わった?」

「ああ、終わったよ」


 涼野すずのれいの問いは、きちんとネクストに届いた。

 破壊されつくして、瓦礫の山と化した東京。


 そんな荒廃しかけた世界。

 そこに立つのは、戦争の勝者。


「なあ、冷」

「ん?」

「俺たちは、この戦争で何を得たんだ」


 ネクストは、すべてが終わった東京の街並みを。

 唯一残ったビルの最上階で、ネクサスら20人は見下ろしていた。


 総ての終ったあと。


 何も残らない、そこで。


 ネクストは、自分の彼女に問いかける。


「俺はいったい、何人殺したんだ。その中で何人、俺たちと違う正義を持って、何人……」


 しかし、ネクストは知っている。

 全員、だと。


 この戦争は、正しくは戦争ではなく、国際紛争なのだ。


 一般人と一般人が戦争をする第1次、第2次とは違う。

 能力者と能力者が戦った、第3次戦争。


 そこに巻き込まれた。……巻き込まれた?


「他の人たちには、関係ないことなんだよ。……あの人たちが考えているのは、自分たちが守られたって、それだけ。……ネクスト君は、今日から」


 今日から。【英雄】になるの、と冷。

 その単語の意味は、一体何を示しているのだろう。


 18歳のネクストには、全くもってわからなかった。


「死んだ人たちは戻ってこない、そのくらいわかっているのに」

「だからこそ、俺たちは。次の世代にはこんなことがないようにしないと、絶対に」


 そうNEXTの言葉を引き継いだのは、すすけた紅の髪の毛を払った青年だ。

 名前を、関帝かんてい朱玄しゅげんという。

 零璃れいり赫良かくらの父親になる男だ。


「ネクスト、お前は一人じゃない。それは前々から言っているはずだろう。……【ソキウス】を率いて、この戦争を終わらせた。それは事実なんだから」


 この日を持って、【ソキウス】という「仲間」を意味した同盟アライアンスは、伝説となった。


 そして、ネクスト・アルカディアを含む世界を救った20人は、最終的に12の姓に落ち着く。


 その中で、呼ばれるようになったのは【英雄12家】。


 代表であるネクストは【生きる伝説】となり、世界に大きな影響を及ぼす存在となる。







「本質は変わらないのにな」

「……ん?」


 今日も、某国の巨大な城に。


 ネクストは、冷や仲間たちと色々な会議を繰り返し、時には世界中を飛び回っている。


 世界を、二度とあんな状態にしないように。


 英雄は、休まるところを知らないが、休むところを与えられても拒否したのだ。

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