第40話「第1回公式試合 その後3」
「第1回公式試合のまとめをしよう」
今、俺と零璃、魅烙、澪雫と痕猫刑道は。
俺の部屋で打ち上げのようなものをしていた。
する事は簡単、みんなで食材や飲み物を買ってきてプチパーティだ。
「結局、最後まで残っていたのは痕猫君だったね、1年生では」
「出来るだけ戦いを避けていただけだから。それよりも関帝零璃もすごかったじゃないか」
零璃と痕猫刑道は早速、昨日の状況をそれぞれ誉めあっている。
確かに、二人すごかったけど。
魅烙と澪雫は、レモンティーでグラスを鳴らしている。
同盟のことについては、痕猫刑道以外全員がしっていることだ。
零璃は最初から乗り気だったし、澪雫は所属していた同盟が解散させられ俺の方に入ってくれるといってくれた。
魅烙は入りたがっていたが、姉さんが「結成時から半永久的な協定を結ぶ」という名目上の妥当に収まっている。
同盟を結成するには最低でも5人が必要で、今の状態だと2人足りないんだよな。
洸劔を誘いたいこともあるけど、彼は彼でなんかいろいろ大変そうだから。
ということでだ。
「ところで痕猫君」
「刑道でいい」
「刑道君、頼みがあるんだ」
さて、零璃が痕猫刑道に勧誘を始めた。
俺は傍観するだけでいいだろう、なんだかんだうるさくいっても面倒になるだけだし。
「ネクサスくん、何が飲みたい?」
「ん、何でもどうぞ」
「んー、はいっ」
渡されたのは二人と同じレモンティーか。
俺は澪雫と魅烙にそれぞれ乾杯をして、二人をみる。
きょとんとする魅烙と澪雫。
どちらも別の美しさがあり、どちらも否応のつけようがない美少女だ。
「何でもないよ」
「そう?」
「そうですか?」
二人のタイミングもばっちり。
これは、なかなかだな、本当に。
「わかった、僕も参加させてくれないか」
「本当?」
勧誘の方は成功したらしい。
それをみて魅烙が一人悲しそうな顔をする。
「……魅烙も、参加したかったにゃ」
久しぶりに漏れ出た猫語は、いつもの明るいものではなく。
底抜けに寂しそうな、そんな声だった。
まあ、姉さんに再度掛け合ってみるか。
俺はそんなことを思いつつ、ぽんぽんと彼女の頭をなでる。
「ところで、もう同盟名は決まっているんだろう?」
「ああ、決まってるよ」
俺の返事に、痕猫刑道は「ほぅ」と首を伸ばした。
名前に意味があることを、きちんと理解している証拠だ。
「【ソキウス】」
「……えっ、それはマズくないか?」
痕猫刑道じゃなくても、そういうことだろう。
理由はわかっている。でも。
「俺は伝説の同盟【ソキウス】代表の息子だから」
「いや、それはわかっているんだが。……あの、暗黙の了解としてされているのは知っているか?」
ん、それは知らなかったな。
彼の話を聞くに、今まで同盟名を【ソキウス】にした同盟はすべてほかの弾圧をうけてつぶされていったらしい。
「でも、それってバックがいなかったからの話だろ?」
「お、おお」
「今回は同盟【楽園】が最初から協定を結んでくれるし、少なくとも俺にはネームバリューってものがあるだろうからさ」
「そうなの、かねぇ」
少々不安げだが、最終的に弾圧されるも何も最終的には実力次第だからな。
それを理解しているが、わかりたくないのか首を振る痕猫刑道。
しかし、最終的には。
「……わかったよ。……これからよろしくお願いします」
この人はよくわかってる。
……さすが、学園長の息子といったところか。
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「ねえ、何で八神魅烙をネクサスの方に渡さなかったの?」
「なぜだと思う? ヴァロッサ」
私は、あえて自分の答えを言わずにヴァロッサに聞き返す。
ヴァロッサはいっつもネクサスに甘い。
何で甘いんだろ。弟分にみていたこともあるし、そもそも家族ぐるみで仲がいいからなぁ。
「試練を与えるため?」
「それもあるけど。魅烙ちゃんが、私たちと一緒にいて成長する幅と。ネクサスと一緒にいて成長する幅が違うと思うの」
「と、いうと?」
彼女のその質問は、本当にわからないのか、わかっているけど私の意見を聞きたいのか。
おそらく後者だけど、どうしようかな。
「なんでもない」
「……逃げたね」
うん、逃げた。
「とにかく、私たちは一番上だから、これからもこの調子でがんばらないと。特に、ルールを把握できなくて負けないようにしてね」
「……うー!」
気まずいのは知ってるけど、しょうがないからね。
私たちには、やらないといけない義務って言うのがあるし……ね?
第1章の本編はこれで終了。ここまで読んでいただけた方、感謝感謝です!
次話からは1章の簡単なまとめを書いて、閑話を数話書く予定です。
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